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映画 ラストエンペラー(1987) 中国王朝最後の皇帝の数奇の人生を描く

2025年01月16日 | 映画(ら行)
 中国最後の王朝である清の最後の皇帝であり、後に満州国の皇帝にもなる愛新覚羅溥儀(あいしんかくら ふぎ)の波乱万丈の人生を描いた映画が今回紹介するラストエンペラー。違う国家をまたいで2回も皇帝になるとは、羨ましい奴だと思いきや、全く権力を持たしてもらえない名ばかりの皇帝に就かされる溥儀の人生が哀れに感じさせるストーリー。彼の人生には我が国日本も大きく関わっているだけに、非常に興味が惹かれる伝記映画である。

 激動の中国近現代史を駆け抜ける溥儀の人生を描いたストーリーを簡単に紹介しよう。
 1950年、中華人民共和国の都市となったハルビンにおいて、ソ連の抑留から帰ってきた多数の中国人の中には戦争犯罪人として溥儀ジョン・ローン)の姿もあった。政治犯罪人収容所へ送られた彼は所長から厳しく尋問されるのだが、彼が語る内容とは。
 溥儀は3歳にして時の権力者であった西太后から、清の皇帝に就かされる。しかし、皇帝とは名ばかりで紫禁城の中では大人達も自分の言うことを聞いてくれるが、紫禁城の外のことは何にもわからなかった。やがて彼のもとにイギリスから教育係としてレジナルド・ジョンストンピーター・オトゥール)がやって来る。ジョンストンは溥儀に外の世界のことも教え、2人は良き師弟関係で結ばれることになる。
 しかし、北京政変によって溥儀たちは紫禁城を追い出され、日本の租界地である天津に身をおくことになる。そこで溥儀は甘粕(坂本龍一)と知り合うが、そのことは溥儀が満州国の皇帝になる切っ掛けを与えるのだが・・・

 本作が凄いのが紫禁城を実際のロケ地に使用できたことだろう。よく中国共産党が許したと思うのだが、そのお陰で観ている我々も紫禁城を見学している気分にさせ、また映像にも効果を発揮している。紫禁城でのシーンの豪華さは西洋の人々の興味を惹きつけたようだが、溥儀のくらしは寂しさが募る一方。皇帝とは名ばかりで古いしきたりに従わせられる息苦しさが伝わってくる場面が多々ある。実母との別れ、乳母であり初恋の人との別れなんかは憐れみが伝わってくる。紫禁城から一歩も外に出してもらえない生活から溥儀の孤独さが伝わってくる。
 満州の皇帝になった時はもう立派な大人になっているから、満州国のために権力者として振る舞えるのかと思いきや、ここでも日本に都合のいい傀儡で済まされる。皇帝の座に就いても権力を持てないお飾りの扱いになっていたとは本当に悲劇の人だと感じさせる。
 正直なところ満州の皇帝になってからは大した見せ場はなく、個人的にも首をかしげたくなるようなシーンも多く出てきて興ざめしてしまったが、まあイタリア人監督が満州国と日本の関係を描こうとしたらこの程度の視点しかないのだろう。
 しかし、ラストで溥儀が紫禁城を訪れるシーンは感動させられた。皇帝の座から庭師として一般市民に叩き落された溥儀だが、無念さを表現しながらも慎ましく生きてきた喜びを感じさせる。まさかこんな最後でコオロギが活躍するとは思わなかった。
 他には本作を知って中国の歴史に詳しくなれるとは思わないが、宦官についての豆知識が得られる。
 皇帝に対しての魅力は感じないが、中国の激動の時代を通して、家族、友情、出会いと別れと言った普遍的なテーマに共感が得られるラストエンペラーを今回はお勧めに挙げておこう

 監督は巨匠ベルナルド・ベルトルッチ。この監督のパワーを感じさせるのが5時間越えの力作1900年、他には暗殺のオペラ暗殺の森シェルタリング・スカイがお勧め

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