俺のカラオケの十八番の曲で長渕剛のしゃぼん玉の中で『帰りたいけど帰れない~、戻りたいけど戻れない~』という歌詞があるが、その部分は自然と俺も熱い気持ちをぶつけて歌う。まあ、俺個人のことは、はっきり言ってどうでもよく、今回紹介する映画望郷のジャン・ギャバン演じる主人公の気持ちが、まさにそれ故郷に対する熱い想いが痛いほど伝わってくる映画だ。
内容は、遠く北アフリカのアルジェリア(当時フランスの植民地)のカスバ(現在世界遺産に登録されています)に住み着いてしまったジャン・ギャバン演じる主人公が『あ~、今すぐにでもパリに帰りて~』と嘆きまくるお話。だったら直ぐにパリに帰れば良いじゃんと思ったりするが、実はこのジャン・ギャバン演じる主人公は強盗30件以上、銀行襲撃2件も引き起こしている大悪党という設定。早い話がパリから遠くカスバに逃亡中の身。うっかりパリに帰ろうとすれば、警察から徹底マークされているために即逮捕されてしまう暗黒街の超大物だ。
しかし、俺が見たところ、この超大物犯罪者だが非常にカスバでの生活を満喫しているように見える。カスバの住人からは非常に慕われているし、自由気ままに生活しているし、しっかり彼女もいるし、近くには海が見えて、地中海性気候だから天気も良い。そして、複雑に迷路のように入り組んだカスバの街自体が要塞の役目を果たしており、警察に捕まる心配がない。なんだかとっても羨ましい生活をしている。
しかも、犯罪経歴だけを見ていると、とても怖そうな人物を想像してしまいそうになるが、これが実はなかなかの好人物。部下からは非常に尊敬され、義理や人情に篤く、非常に礼儀正しい。善と悪のギャップの差が激しい男だが、そんな男だからこそ望郷の念に捉われている様子が非常に切ない。
しかも、途中から男ならば『この気持ち、わかる~!』と叫びたくなるような、ドラマチックなメロドラマが展開するのだから、たまらない
さて、非常に特異な街であるカスバを舞台にした、哀愁漂うストーリーとは如何なるものか。
あらゆる人種が集い(その中には中国人もいる)、路地はまるで迷路のように入り込んでおり、家々は丘陵の斜面に適当に建てられており、まるで東洋と西洋が混雑している様子が怪奇な雰囲気すら漂うカスバの街。パリで数々の犯罪を実行し、カスバの街に逃げ込んできたぺぺ・ル・モコ(ジャン・ギャバン)だが、街の住人には慕われており、東洋人のイネスという愛人がおり、部下もいるように、何時の間にかカスバの帝王のように君臨していた。しかしながら、フランスの警察やアルジェリアの警察のマークが厳しく、ぺぺ(ギャバン)が一歩でもカスバの外へ出ると即逮捕されそうな状況だ。
次第にぺぺ(ギャバン)はカスバの生活に飽きてきて、カスバの外へ出てみたいと気が起きてくるが、そんな時にパリジャンヌのギャッビー(ミレーユ・バラン)がやって来る。ぺぺ(ギャバン)はギャッビー(バラン)にすっかり一目惚れ。しかも、パリジャンヌの彼女と話している内に益々故郷パリへの想いが募ってくる。ぺぺ(ギャバン)とギャッビー(バラン)は愛し合い、翌日2人はまたカスバの街で会う約束をする。
すっかりルンルン気分のぺぺ(ギャバン)は再びギャッビー(バラン)がやって来るのを楽しみに待っていたのだが、待てど待てどやって来ない。ついに我慢の限界に達してしまったぺぺ(ギャバン)は自らギャッビー(バラン)に会うために、カスバの街から出てしまう・・・
それにしても1930年代のフランス映画は哀愁が漂い、本当に胸にグッとくる映画が多い。そんな中でも本作は男心がくすぶられる傑作だ。ぺぺ(ジャン・ギャバン)とギャッビー(ミレーユ・バラン)の会話の中で、お互いがパリのあらゆる名所を言い合うシーンがあるが、これぞフランス映画の真髄を見せ付けるシーン。帰りたいけれど、帰れない気持ちが思いっきり伝わってくる名演出シーンだ。
そして、有名すぎるラストシーン。途中までは羨ましい奴だと思って観ていたのに、そんな気持ちが一気にぶっ飛んでしまうシーン。俺の心の叫びがこの世の中において全く届かないが、そんな思いをしている男性はきっと俺だけではないはず。まさにそんな思いが凝縮されたラストシーンを観ることができる。
男心の切なさがガンガンと響き、涙が出てこなくても心の中はびしょ濡れになってしまうフランス映画の名作望郷は男ならば絶対にお勧めだ
監督はフランスの名匠ジュリアン・デュヴィヴィエ。まさにフランスらしい映画を撮る監督。他に、これまた人生の哀歓を感じさせる舞踏会の手帖がお勧め。不思議な人間の繫がりを感じさせる巴里の空の下セーヌは流れるも良い感じです。同じジャン・ギャバン主演で地の果てを行く、他ににんじんもお勧め。
主演はフランス映画界の大スタージャン・ギャバン。顔が良いとは思えず、演技が上手いとも思わないが、とにかく渋くて、存在感で魅せる俳優。この人のお勧め作品は多数。とりあえず思いつくまま羅列しておきます。
地の果てを行く、地下室のメロディー、現金に手を出すな、ヘッドライト、夜霧の港、レ・ミゼラブル、われら巴里っ子、大いなる幻影(これは超お勧め)など。
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内容は、遠く北アフリカのアルジェリア(当時フランスの植民地)のカスバ(現在世界遺産に登録されています)に住み着いてしまったジャン・ギャバン演じる主人公が『あ~、今すぐにでもパリに帰りて~』と嘆きまくるお話。だったら直ぐにパリに帰れば良いじゃんと思ったりするが、実はこのジャン・ギャバン演じる主人公は強盗30件以上、銀行襲撃2件も引き起こしている大悪党という設定。早い話がパリから遠くカスバに逃亡中の身。うっかりパリに帰ろうとすれば、警察から徹底マークされているために即逮捕されてしまう暗黒街の超大物だ。
しかし、俺が見たところ、この超大物犯罪者だが非常にカスバでの生活を満喫しているように見える。カスバの住人からは非常に慕われているし、自由気ままに生活しているし、しっかり彼女もいるし、近くには海が見えて、地中海性気候だから天気も良い。そして、複雑に迷路のように入り組んだカスバの街自体が要塞の役目を果たしており、警察に捕まる心配がない。なんだかとっても羨ましい生活をしている。
しかも、犯罪経歴だけを見ていると、とても怖そうな人物を想像してしまいそうになるが、これが実はなかなかの好人物。部下からは非常に尊敬され、義理や人情に篤く、非常に礼儀正しい。善と悪のギャップの差が激しい男だが、そんな男だからこそ望郷の念に捉われている様子が非常に切ない。
しかも、途中から男ならば『この気持ち、わかる~!』と叫びたくなるような、ドラマチックなメロドラマが展開するのだから、たまらない
さて、非常に特異な街であるカスバを舞台にした、哀愁漂うストーリーとは如何なるものか。
あらゆる人種が集い(その中には中国人もいる)、路地はまるで迷路のように入り込んでおり、家々は丘陵の斜面に適当に建てられており、まるで東洋と西洋が混雑している様子が怪奇な雰囲気すら漂うカスバの街。パリで数々の犯罪を実行し、カスバの街に逃げ込んできたぺぺ・ル・モコ(ジャン・ギャバン)だが、街の住人には慕われており、東洋人のイネスという愛人がおり、部下もいるように、何時の間にかカスバの帝王のように君臨していた。しかしながら、フランスの警察やアルジェリアの警察のマークが厳しく、ぺぺ(ギャバン)が一歩でもカスバの外へ出ると即逮捕されそうな状況だ。
次第にぺぺ(ギャバン)はカスバの生活に飽きてきて、カスバの外へ出てみたいと気が起きてくるが、そんな時にパリジャンヌのギャッビー(ミレーユ・バラン)がやって来る。ぺぺ(ギャバン)はギャッビー(バラン)にすっかり一目惚れ。しかも、パリジャンヌの彼女と話している内に益々故郷パリへの想いが募ってくる。ぺぺ(ギャバン)とギャッビー(バラン)は愛し合い、翌日2人はまたカスバの街で会う約束をする。
すっかりルンルン気分のぺぺ(ギャバン)は再びギャッビー(バラン)がやって来るのを楽しみに待っていたのだが、待てど待てどやって来ない。ついに我慢の限界に達してしまったぺぺ(ギャバン)は自らギャッビー(バラン)に会うために、カスバの街から出てしまう・・・
それにしても1930年代のフランス映画は哀愁が漂い、本当に胸にグッとくる映画が多い。そんな中でも本作は男心がくすぶられる傑作だ。ぺぺ(ジャン・ギャバン)とギャッビー(ミレーユ・バラン)の会話の中で、お互いがパリのあらゆる名所を言い合うシーンがあるが、これぞフランス映画の真髄を見せ付けるシーン。帰りたいけれど、帰れない気持ちが思いっきり伝わってくる名演出シーンだ。
そして、有名すぎるラストシーン。途中までは羨ましい奴だと思って観ていたのに、そんな気持ちが一気にぶっ飛んでしまうシーン。俺の心の叫びがこの世の中において全く届かないが、そんな思いをしている男性はきっと俺だけではないはず。まさにそんな思いが凝縮されたラストシーンを観ることができる。
男心の切なさがガンガンと響き、涙が出てこなくても心の中はびしょ濡れになってしまうフランス映画の名作望郷は男ならば絶対にお勧めだ
望郷 [DVD] | |
ジャン・ギャバン,ミレーユ・バラン | |
ファーストトレーディング |
監督はフランスの名匠ジュリアン・デュヴィヴィエ。まさにフランスらしい映画を撮る監督。他に、これまた人生の哀歓を感じさせる舞踏会の手帖がお勧め。不思議な人間の繫がりを感じさせる巴里の空の下セーヌは流れるも良い感じです。同じジャン・ギャバン主演で地の果てを行く、他ににんじんもお勧め。
主演はフランス映画界の大スタージャン・ギャバン。顔が良いとは思えず、演技が上手いとも思わないが、とにかく渋くて、存在感で魅せる俳優。この人のお勧め作品は多数。とりあえず思いつくまま羅列しておきます。
地の果てを行く、地下室のメロディー、現金に手を出すな、ヘッドライト、夜霧の港、レ・ミゼラブル、われら巴里っ子、大いなる幻影(これは超お勧め)など。
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当ブログにコメント&トラックバックありがとうございました。
>故郷に対する熱い想いが痛いほど伝わってくる映画だ。
最後の汽笛と叫びが印象的な映画でした。
ジャン・ギャバンの映画はあまり観た事がないので
ディープインパクトさんのあげた映画を今度観てみようと思います。
相互リンクの件、了解いたしました。
こちらこそよろしくお願いいたします。