日本人で世界の〇〇と呼ばれている人間は少なかれ居るが、その中でも最もしっくりくるのが世界の黒澤。今でも世界において黒澤明の名前は燦然と輝いているのだが、なぜか日本では知らない人が多い。もう今の20代の若者たちは殆ど知らない人ばかりで、俺よりチョット世代が上の50代のオジサン達ですら知らない人の方が多いかもしれない。もはや黒澤明監督の映画は日本の文化であり、もっと多くの日本人に黒澤映画を観てもらうために俺は頑張るんだ。
黒澤明監督の戦後間もない初期の傑作と言えば今回初回する映画酔いどれ天使。結核で死にそうになっている若いヤクザと昼間から飲んだくれている貧乏な町医者が喧嘩しながら交流を深めていくストーリー。タイトル名はもちろん後者の方を指しているのだが、俺から見れば天使というよりも小汚いオッサン。髭面で毒づきながら病人の診断をしているようなお医者さんは、今頃は見かけない。そんな場面からも戦後の時代を感じさせる。
しかし、本作の後に黒澤明監督は次々と傑作を連発するが、彼の映画の特徴が最初に色濃く出たのが本作。社会悪を絶対に許さないテーマ、大げさな対決シーン、音楽の使い方、巧みなストーリー展開、そして三船敏郎の初の黒澤作品への出演。まさに黒澤イズムの原型が詰まっている作品だ。
それでは戦後の混乱した時代ながらも、何かとエネルギッシュな時代の息吹を感じさせるストーリーをできるだけ簡単に紹介を。
昼間から酒を飲み、世間に恨みがあるのか少々口が悪い貧乏な町医者である真田(志村喬)。しかし、彼には病人とは真摯に向かい合い、自分で『俺みたいなのは天使みたいなものさ』と一寸だけ笑えるギャグをかましてくる。
そんな真田の病院に夜分遅くに、若いヤクザの松永(三船敏郎)がやってくる。真田は撃たれた鉄砲玉を取り除いてやるのだが、松永が咳き込んでいる様子から診察してやると、どうやら結核の疑いが出てきた。しかし、松永は親切な真田に対して『俺の体に悪い部分があるなんて嘘をいうな』と胸倉をつかんで詰め寄る。そんな松永を真田は『お前みたいな人間のクズはもう来るな』と追い返す。まるで子供同士の喧嘩だ。
大きな病院で診てもらった松永はやはり結核だった。しかし、それでも血気にはやる松永は真剣に治療しようとしない。真田はヤクザは嫌いだが、なせか松永の内面には憎めない部分があり、彼の病気を治してやろうと思うのだ。
しかしながら、松永の兄貴分の岡田(山本礼三郎)が刑期を終えて出所してきた。そこからは松永の威厳は一気に低下、情婦はすっかり自分から逃げ出して岡田の元へ走り、縄張りが自分から岡田の物に譲渡されることになる計画をチラッと聞いてしまった。すっかり落ち目になった松永は博打にのめり込み、ついに吐血。身心ともにボロボロになった松永は真田の家で養生することになる。真田の家で匿まわれていた美代(中北千枝子)はかつて岡田から人生をめちゃめちゃにされた女性だった。岡田が美代を探しており、ついに真田の病院に居ることを嗅ぎつける。
もう色々とショックですっかり威勢を無くしてしまった松永だったが、真田に迷惑をかけてしまったことを後悔し、自ら岡田の元へ対決をしに行く・・・
偉そうに威張っているヤクザだが自分の体に病気で侵されているとしると、ショボい奴になってしまう。俺の知っている議員には『だいたい市民は何でも政治家に頼り過ぎなんですよ』と偉そうなことを言っているが、それなのに道路わきで自分の名前と顔が写っている自民党の旗を持ちながら、お辞儀ばかりしている奴がいる。普段はたかが議員のくせに自民党の旗を持っている時はプライドを捨てられる卑屈さは、本作のヤクザの連中と大して変わらんと思って見てしまった。
もう死にかけの松永の行動の結末は途中から読めてしまうが、対決シーンがなかなか凄い。黒澤明の対決シーンは泥んこになるのが特徴だが、本作はペンキまみれになって対決する。そして、この対決のケリの付いた後のショットがなかなか凄い。そして、医者の言うことを聞かずに兄貴分が居るとことろへ乗り込んで死に場所を求めているかのような生き方をしている松永と、その反対の位置づけとして女学生(久我美子)の存在があるが、この女性を持ってきたことによって陰惨な暴力の世界に、人類の希望を感じさせるエンディングが素晴らしい。これだから人間って素晴らしいし、俺も生きようと頑張れる。
戦後の息吹のエネルギッシュさを感じ、今観ても楽しいし、面白い。黒澤明監督のヒューマニズムドラマにどっぷりハマりたい人にはお勧めだ
監督は日本のみならず世界映画史を代表する黒澤明。彼のお勧め作品は多数あるのだが、まだ彼の作品を見ていない人は七人の侍は絶対に観ておけ。ヒューマニズを謳いあげた作品なら生きる、社会派サスペンス映画なら天国と地獄がお勧めです。
黒澤明監督の戦後間もない初期の傑作と言えば今回初回する映画酔いどれ天使。結核で死にそうになっている若いヤクザと昼間から飲んだくれている貧乏な町医者が喧嘩しながら交流を深めていくストーリー。タイトル名はもちろん後者の方を指しているのだが、俺から見れば天使というよりも小汚いオッサン。髭面で毒づきながら病人の診断をしているようなお医者さんは、今頃は見かけない。そんな場面からも戦後の時代を感じさせる。
しかし、本作の後に黒澤明監督は次々と傑作を連発するが、彼の映画の特徴が最初に色濃く出たのが本作。社会悪を絶対に許さないテーマ、大げさな対決シーン、音楽の使い方、巧みなストーリー展開、そして三船敏郎の初の黒澤作品への出演。まさに黒澤イズムの原型が詰まっている作品だ。
それでは戦後の混乱した時代ながらも、何かとエネルギッシュな時代の息吹を感じさせるストーリーをできるだけ簡単に紹介を。
昼間から酒を飲み、世間に恨みがあるのか少々口が悪い貧乏な町医者である真田(志村喬)。しかし、彼には病人とは真摯に向かい合い、自分で『俺みたいなのは天使みたいなものさ』と一寸だけ笑えるギャグをかましてくる。
そんな真田の病院に夜分遅くに、若いヤクザの松永(三船敏郎)がやってくる。真田は撃たれた鉄砲玉を取り除いてやるのだが、松永が咳き込んでいる様子から診察してやると、どうやら結核の疑いが出てきた。しかし、松永は親切な真田に対して『俺の体に悪い部分があるなんて嘘をいうな』と胸倉をつかんで詰め寄る。そんな松永を真田は『お前みたいな人間のクズはもう来るな』と追い返す。まるで子供同士の喧嘩だ。
大きな病院で診てもらった松永はやはり結核だった。しかし、それでも血気にはやる松永は真剣に治療しようとしない。真田はヤクザは嫌いだが、なせか松永の内面には憎めない部分があり、彼の病気を治してやろうと思うのだ。
しかしながら、松永の兄貴分の岡田(山本礼三郎)が刑期を終えて出所してきた。そこからは松永の威厳は一気に低下、情婦はすっかり自分から逃げ出して岡田の元へ走り、縄張りが自分から岡田の物に譲渡されることになる計画をチラッと聞いてしまった。すっかり落ち目になった松永は博打にのめり込み、ついに吐血。身心ともにボロボロになった松永は真田の家で養生することになる。真田の家で匿まわれていた美代(中北千枝子)はかつて岡田から人生をめちゃめちゃにされた女性だった。岡田が美代を探しており、ついに真田の病院に居ることを嗅ぎつける。
もう色々とショックですっかり威勢を無くしてしまった松永だったが、真田に迷惑をかけてしまったことを後悔し、自ら岡田の元へ対決をしに行く・・・
偉そうに威張っているヤクザだが自分の体に病気で侵されているとしると、ショボい奴になってしまう。俺の知っている議員には『だいたい市民は何でも政治家に頼り過ぎなんですよ』と偉そうなことを言っているが、それなのに道路わきで自分の名前と顔が写っている自民党の旗を持ちながら、お辞儀ばかりしている奴がいる。普段はたかが議員のくせに自民党の旗を持っている時はプライドを捨てられる卑屈さは、本作のヤクザの連中と大して変わらんと思って見てしまった。
もう死にかけの松永の行動の結末は途中から読めてしまうが、対決シーンがなかなか凄い。黒澤明の対決シーンは泥んこになるのが特徴だが、本作はペンキまみれになって対決する。そして、この対決のケリの付いた後のショットがなかなか凄い。そして、医者の言うことを聞かずに兄貴分が居るとことろへ乗り込んで死に場所を求めているかのような生き方をしている松永と、その反対の位置づけとして女学生(久我美子)の存在があるが、この女性を持ってきたことによって陰惨な暴力の世界に、人類の希望を感じさせるエンディングが素晴らしい。これだから人間って素晴らしいし、俺も生きようと頑張れる。
戦後の息吹のエネルギッシュさを感じ、今観ても楽しいし、面白い。黒澤明監督のヒューマニズムドラマにどっぷりハマりたい人にはお勧めだ
酔いどれ天使[東宝DVD名作セレクション] | |
黒澤明,植草圭之助 | |
東宝 |
監督は日本のみならず世界映画史を代表する黒澤明。彼のお勧め作品は多数あるのだが、まだ彼の作品を見ていない人は七人の侍は絶対に観ておけ。ヒューマニズを謳いあげた作品なら生きる、社会派サスペンス映画なら天国と地獄がお勧めです。
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