月曜日と火曜日は、勤務表では連休。
これ、自分で希望して入れたのだ・・・が、諸事情で、行きたかった場所へ行けなくなってしまったのだ。私は行きたいが、あちらが来るなという。よって、泣く泣く諦めた。
突然いらなくなってしまった連休。気になるのは御店のことだ。
月曜日は発注日。そして入荷日。
もしや、また、店長がカップラーメンの荷出しを・・・?
頼りの康永君は、今では飲料担当者となり、他の部門どころではない。この日は末永さん休み。遅番岸辺さん、9時から矢木さん。二人も発注日で多忙。
勤務表を見た限りでは、またまた店長がカップラーメンを運んでしまいそうな予感が・・・。
他の店舗の店長は、豆腐をバックから売り場へ運んだだけで、よろけるよ!と矢木さんは笑っていたが、こんなに動く店長は他には居ないと皆、言う。
そういえば、スタッフは9日までに印鑑を持ってくるように言われていた。
月曜日が締め切りの9日。
おお、いいね!御店へ行く理由をみ~つけた!っと。
私はプラットホームに顔を出した。
そこでは、新副店長、桃木車氏が忙しそうに荷物を積んでいた。私は彼の背後から声をかけた。
「おはようございます!」
「え?おはよう
」
「今日、お休みなんですけど、印鑑持って来ました」
「それは、それは。まあ、お入りください」
私を店長室へ誘導した直後、副店長の携帯電話が鳴った。
「あっ、俺。・・・ところで、あのさ。頼みがあるんよ。ウチの雑貨担当者が発注単位を間違えて、20ケース入荷されて・・・。うん、モニターリスト見たら、20発注してる。それで、そっちに振り替えて・・・」
どっきっ。大ベテランで完璧そうな末永さんでも、そういう事、あるんだ・・・ね。そういえば、生パン粉が意味不明にたくさん入荷されてたな。販売通知で見た記憶ない。自分で発注した記憶もございません。 (ロッキード事件だね、まるで) もしや、私が・・・。
「あの~、副店長、生パン粉、私が間違えて入荷されたんですか?」
「いや、違うよ。あれ、割り当て。ウチの店にも、たくさん来てた」
(ウチの・・・店??? ああ、そうか。前の職場の「このう店」のこと・・・ね。今でも心は「このう店
」なのかあ。そりゃ、そうだ。まだ、一週間程度だもんね、ここへきて。西村チーフも、さくらのこと「ウチの店」って呼んでるのかなあ・・・?
)
「・・・で、「生パン粉」なんですが、賞味期限が今月27日までなんです。バックにも2ケース在庫があるし、このままでは、大量に廃棄・・・」
「えっ? 何日まで・・・って!?27日??そうだな、そろそろ手を打たないと・・・」
店長室で印鑑を手渡した私に、副店長は、名前は何か?と聞いた。いつも、「鈴木さん」と呼んでいる筈ですが・・・?何を今更、聞くのだろうか?と不思議だったが、とりあえず、
「鈴木です。鈴木鈴子」
と、答えた。
「鈴木・・・鈴子さん・・・ね(^^*にこっ)」
「・・・」
私は気のせいか、固まった。
これまで、副店長(ミナミさん)が固まる人、私、
固まらせる人、という図式が成立していたような・・・気がするんですけど・・・。
新副店長、こりゃ、前職より手ごわいかも・・・。
今、思い出したが、前回、印鑑持参で店長室へ入室した際は、南副店長がお相手だった。
出勤してきたばかりの私は、
「プレーオフの試合開始が1時で、始まって45分。ホークスが気になるから(仕事しないで)帰ります」
と、申し出た。
勿論、冗談のつもりだったが、南副店長は、無言で その場に立ち尽くし、しばし、私をじ~っと見たまま固まっていたものだ・・・。
あれから、早、半年かあ~。
印鑑を返してもらうと、手ごわそうな桃木車副店長に、前回とは正反対の事を申し出た。
「私、今日、お休みなんですけど、数時間、働いて帰ってもいいですか?」
「それは、別に構わないけど。うん、いいよ。じゃ、別の休みを取って振り替えるってこと?」
「明日もまた、休みだから、休みはいらんとですけど。どちらでもいいです、企業にとって良い方で」
う~~ん。桃の木副店長も、ちょっと考えていたが、話がややこしくなるからね・・・。悩んでいるようなので、一応、前倒し発注はしてありますが、と付け足した。すると、副店長は、それなら・・・と、ゆ~っくりと、言った。
「じゃあ・・・。もしも・・・よ、もし、帰りなさいって言われたら、帰る?」
「はい。上司に言われれば帰ります」
「じゃあ、今日は、ゆっくりして^_^・・・」
私は副店長が言い終わらない内に即答した。
「いやです」
「はっ!?」
「だって、気になることがあるし・・・(店長がラーメン出してしまうかも)定番商品だけ荷出しして、(バック在庫減らした結果、どうなったか確かめてから)帰ります」
「そっ・・・そ~お? じゃ、いいよ。そうして」
「エプロンでいいですか?」
「う・・・うん、いいよ」
桃木副店長は、ちょっと引きつったような笑顔を向けた。 (ひくっ・・・
)
何があっても、最後は笑顔で締めくくり~をモットーとする、桃木車副店長、34歳。(他のスタッフから聞いた年齢)
今回は、肩叩きは無し!だった。
こうして店長室を後にした私は、ルンルン気分で更衣室へ向かったのであった・・・。
続く・・・。