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日本遺族通信 平成23年7月号の遺書と九段短歌

2011年07月23日 13時54分45秒 | 日本遺族通信

      
                 平成23年7月 靖国神社社頭に掲示された遺書
                  京都市出身 陸軍兵長 倉本 和三郎 様 (35歳)
                   昭和19年7月13日 中國湖南省にて戦死 合掌

「戦地からの葉書」 をご紹介させていただきます。
奥様に宛てた最後の  

子供等ハ達者デアルカ。
百姓仕事ヤ、工場仕事モ大変忙ガシイ事ト思ヒマス。
出来ル丈気張テ働クノガ、銃後ノ務メデス。
寒ク成ッテ来マシタカラ、風邪ニカカラヌ様注意。
又、火ノ用心ニ特ニ気ヲ付ケル事。
村ノ務メヤ、交際ハ十分ニナサイ。
     (中  略)
自分ハ、非常ニ元気デ御奉公シテ居リマス。
以上一部分を転載させていただきましたが、お子さま方を気遣い、奥様に全てを
託すお気持ちに父が重なり涙が溢れます。

私達遺族は散華された多くの英霊に追悼の誠を捧げ、後世に語り継ぐ使命を担い、悲しみを歌に詠んでおります。
今号にも全国から鎮魂の歌が寄せられましたのでご紹介させて頂きます。
お目を通して頂けましたら幸に存じます。

     碑に刻みし夫の名も久し六十六年の空し歳月             角田市 妻
     日々生きて人生の岐路に立った時母だったらと今も問ふてゐる   さいたま市 遺児女性
     父さんーと呼ぶ友見れば寂しがる幼き吾を母は見ぬ振り        甲州市 遺児女性
     上官に請はれ唄ひき「秋田おばこ」ききしはこれのみ亡き夫の唄    横手市 妻
     ソロモンの洋上碧く波高し右舷左舷にトビウヲの舞ふ       富士吉田市 遺児男性
     父亡きに辛き昔を振り返る七十年われの歩み来し方             青森県 遺児女性
     シベリアで父を弔ひくれし人に感謝の思ひ持ちて吾生く         大阪市 遺児女性
     幼日に父を亡くせし妻とわれひたに働き今を安らぐ          南相馬市 遺児男性
     折節に思ひ出しをりシベリアの同志と励みし収骨の日々         出雲市 妻
     吾四歳白木の箱を胸に抱く戦死の父はかくも軽きかと         うきは市 遺児男性
     戦死兄命日迎へ七十年激動忍び未だ夢を見る              京都市 遺族
     山里に受け伝へたる村の笛田畑守りて穏やかなりし          名古屋市 遺児女性
     戦没者遺児らは乗りて七千余キロ海に祈りき十二日間を         千葉市 私
  (70首め)  

今尚、被災地では最愛の人たちを瓦礫の中、必死で家族の写真を探す遺族の姿があります。
66年前の遠い昔の出来事を綴りますことに迷いもありますが、父の温もりを知らずに育った悲しみは生涯忘れるとができません。
この度、新たに犠牲になられた多くの皆様、特に遺児の皆様に心から声援を送りたく存じます。

九段短歌に投稿開始から6年を迎えております。
この間、毎月のように掲載して頂けますことに何よりの励みと感謝を申し上げております。
勉強不足で拙い歌ですが、100首まで投稿出来ますように学んで参りたく思っております。

コメント (4)
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