汽水空間 ~言葉と次元の力学系へ~

身体で体感する言葉の世界をお届けします(*´∀`)♪

みやすけの詩 木枯らし

2010年10月10日 | 初期中期の詩
遠のいて行く 意識と記憶
下々に群がっている崇拝者に 少女はその眼を強張らせている
首元に流れる空気に伝わる 音の無い有機物の声
そしてその木枯らしの舐める葉に張り付いている
あなたの華奢な身体

そのどれもが洗礼された事物なのだとすれば
それは後に有害な蒸気となり失せて
視界を遮断する粘着物になるだろう
そしてこの窓から身を乗り出して溜息を吐いている一人の男
琥珀色をした瞳の奥には 漠然とした灰色の闇が混沌としている
だがこの男はその事に気がつかない
ただその盲目の狂気の中で 己自身の妄想と戦いながら
日々を食いつないでいるだけなのだ
その手足に漲る汗の冷たさ 快楽はここにも存在した
男はこの屈辱に耐える事は出来ない
瞬時に吹き払われる命の軽妙さ
その命でさえも怯えている現実の薄情さ
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