東京医科歯科大学難治疾患研究所幹細胞医学分野の西村栄美教授と松村寛行助教、大学院生の劉楠さんら研究グループは、同大学院皮膚科学分野の並木剛准教授らとの共同研究で、皮膚の老化の仕組みが、幹細胞競合による恒常性維持機構の疲弊によることをつきとめた(4月4日発表)。
組織・臓器の老化は、日々発生する内因性・外因性の損傷やストレスがその誘因となることが知られている。しかし、通常多少のストレスを受けても直ちに皮膚に老化細胞が蓄積して高齢者のような皮膚にならず、何十年という長期にわたってその若さと機能を維持し続ける。こうした組織や臓器の恒常性を維持する機構として幹細胞システムが知られている。皮膚表面の表皮をはじめ上皮組織は活発な新陳代謝を行っており、多くの幹細胞クローンが消滅する一方で一部の残存クローンが増大する現象が共通して観察される。この幹細胞の消滅と残存は一見ランダムに見えることから「中立的幹細胞競合」と呼ばれている。しかし、それが生涯にわたって本当に中立的におこる現象なのか、むしろ選択的に適応度の高い細胞を選択する細胞競合を反映しているのかについては明らかにされていなかった。
本研究では、実際に生体内の幹細胞の動態と運命を解析することにより、表皮幹細胞においてストレス応答性の幹細胞競合が起こっていること、特に幹細胞と基底膜を繋ぐヘミデスモソーム構成成分であるXVII型コラーゲン(COL17A1)の発現がゲノムストレス/酸化ストレス誘導性のタンパク質分解によって生理学的に変動し、その結果、個々の幹細胞におけるCOL17A1の発現量に有意な差異を生じていること、その差異が幹細胞分裂の様式に差を生じることで、幹細胞間における細胞競合を引き起こすことを明らかにした。
マウス成体内でのin vivo多色幹細胞クローン分析とin vitroの3次元細胞培養モデルなどを駆使することにより、COL17A1高発現細胞が水平方向に対称性分裂して基底膜上で増幅する(勝者幹細胞クローンとなる)のに対して、加齢によりCOL17A1を失った細胞(低発現細胞)は非対称分裂(縦分裂)を連続して行いながらヘミデスモソーム構成分子やヘミデスモソーム構造を失って基底層との係留が減弱していく過程が観察された。その結果、限られた空間内で両者が互いに競合しあうこととなり、後者は次第に基底層(ニッチ)から排除され分化を経て皮膚表面から排除されることが明らかになった。これらの敗者クローンは、酸化ストレスやゲノムストレスに続くDNA損傷応答を経てCOL17A1の発現減少、ヘミデスモソームの消失を引き起こし、基底膜からの微小剥離により皮膚から排除することも明らかになった。したがって、COL17A1高発現細胞が表皮幹細胞として長期にわたって維持されており、COL17A1レベルのより低い低品質細胞を皮膚から排除し続けるなかで、自身も次第にCOL17A1の発現を失ってしまうため細胞競合が減弱して表皮の細胞競合が減弱して表皮の老化が顕著となることが明らかになった。
さらに表皮の角化細胞以外に表皮内でメラニン色素を産生している色素細胞や表皮の基底膜下に分布する繊維芽細胞などに着目して解析したところ、表皮幹細胞の細胞競合が反復されるなかで、表皮基底層から排除されていく敗者クローン細胞集団に囲まれていた色素細胞も周囲の敗者細胞と一緒に排除されること、ならびに基底膜下の真皮内の線維芽細胞も表皮幹細胞におけるヘミデスモソームの構築変化と並行して消失していくことが観察された。このような真皮浅層の繊維芽細胞の消失は真皮の細胞外マトリックスの構築にも変化を及ぼして深部に波及しうるため、臓器としての老化へと繋がっていくものと考えられた。
表皮幹細胞においてCOL17A1を恒常的に発現させた高週齢マウスを解析すると、皮膚の老化の抑制効果ならびに再生促進効果が得られた。さらにCOL17A1の発現を誘導する低分子化合物によって皮膚の再生促進効果が得られており、今後皮膚老化の新規治療的戦略や予防へと繋がることが期待される(特許出願中)。他の臓器の上皮組織においても同様に幹細胞競合が臓器の恒常性と老化を制御している可能性や、その制御が健康長寿に繋がる可能性も考えられるため、今後の広がりやあらたな展開が期待される。
◆用語
〇表皮幹細胞
皮膚の最外層に位置する表皮は、その大部分が表皮角化細胞(ケラチノサイト)で構成されている。表皮角化細胞は基底層で分裂したのち、分化しながら皮膚表面に向かって移動し、角層を形成してバリア機能を担っている。表皮基底層に位置する細胞は未分化でその多くが自己複製するため表皮幹細胞と呼ばれていることが多いが、生体内でどの細胞集団が長期にわたり幹細胞として機能するのかについては正確には明らかにされていなかった。
〇ヘミデスモソーム (半接着斑)
上皮細胞が基底膜に接着する接着装置の一種で、多くの細胞膜裏打ちタンパク質が複合体を形成している。
上皮細胞を膜貫通性に基底膜へと繋げて係留する。
〇XVII型コラーゲン(COL17A1)
ヘミデスモソームの構成分子の一つ。表皮においては基底細胞が発現する膜貫通性蛋白。その先天性の欠損により表皮真皮接合部が不安定化し、接合部型表皮水疱症を発症し、皮膚の萎縮、脆弱性、びらん、色素異常、脱毛などを引き起こす。
〇細胞競合
組織中で近接する同種細胞間で相対的に環境適応度の高い細胞が低い細胞を集団から排除する現象。
朝から晴れた。とても風が強い、ボウシが飛ばされる!。
白い板壁の塀の上から黄色の花が沢山垂れさがっている。花はラッパ型の1cm程の小さく、ジャスミンに似た芳香がある。名は”カロライナジャスミン”。”カルフォルニアジャスミン”と呼ぶことがあるが、これは間違い。この花は、サウスカロライナ州の州花になっている。”カロライナジャスミン”には、一重咲き品種と八重咲きの品種があり、この花は一重咲き。”ジャスミン”という名前が付けられているが、モクセイ科ソケイ属(Jasminum)の「ジャスミン」とは全く違う種で、マチン科ゲルセミウム属である。
”カロライナジャスミン”は全草(根・根茎に特に多い)に有毒成分(ゲルセミシン、ゲルセミン、センペルビリンなど)を含む有毒植物である。お茶などに利用すると、中毒(脈拍増加、呼吸麻痺、中枢神経刺激作用、血圧降下、心機能障害)の症状。名(カロライナジャスミン)の由来は、ノースカロライナ州・サウスカロライナ州生まれのジャスミンのような香りがする花から。因みに、マチン科・リンドウ科・キョウチクトウ科の植物の多くは有毒植物である。
カロライナジャスミン(Carolina Jasmine)
学名: Gelsemium sempervirens
別名:ゲルセミウム、イエロージャスミン、イブニングトランペット、トランペットフラワー
カロリナソケイ、ニセジャスミン、センペルヴィレンス
マチン科ゲルセミウム属
常緑つる性低木
原産地は北アメリカ南部
つる長は3m~6m
開花時期は4月~5月
組織・臓器の老化は、日々発生する内因性・外因性の損傷やストレスがその誘因となることが知られている。しかし、通常多少のストレスを受けても直ちに皮膚に老化細胞が蓄積して高齢者のような皮膚にならず、何十年という長期にわたってその若さと機能を維持し続ける。こうした組織や臓器の恒常性を維持する機構として幹細胞システムが知られている。皮膚表面の表皮をはじめ上皮組織は活発な新陳代謝を行っており、多くの幹細胞クローンが消滅する一方で一部の残存クローンが増大する現象が共通して観察される。この幹細胞の消滅と残存は一見ランダムに見えることから「中立的幹細胞競合」と呼ばれている。しかし、それが生涯にわたって本当に中立的におこる現象なのか、むしろ選択的に適応度の高い細胞を選択する細胞競合を反映しているのかについては明らかにされていなかった。
本研究では、実際に生体内の幹細胞の動態と運命を解析することにより、表皮幹細胞においてストレス応答性の幹細胞競合が起こっていること、特に幹細胞と基底膜を繋ぐヘミデスモソーム構成成分であるXVII型コラーゲン(COL17A1)の発現がゲノムストレス/酸化ストレス誘導性のタンパク質分解によって生理学的に変動し、その結果、個々の幹細胞におけるCOL17A1の発現量に有意な差異を生じていること、その差異が幹細胞分裂の様式に差を生じることで、幹細胞間における細胞競合を引き起こすことを明らかにした。
マウス成体内でのin vivo多色幹細胞クローン分析とin vitroの3次元細胞培養モデルなどを駆使することにより、COL17A1高発現細胞が水平方向に対称性分裂して基底膜上で増幅する(勝者幹細胞クローンとなる)のに対して、加齢によりCOL17A1を失った細胞(低発現細胞)は非対称分裂(縦分裂)を連続して行いながらヘミデスモソーム構成分子やヘミデスモソーム構造を失って基底層との係留が減弱していく過程が観察された。その結果、限られた空間内で両者が互いに競合しあうこととなり、後者は次第に基底層(ニッチ)から排除され分化を経て皮膚表面から排除されることが明らかになった。これらの敗者クローンは、酸化ストレスやゲノムストレスに続くDNA損傷応答を経てCOL17A1の発現減少、ヘミデスモソームの消失を引き起こし、基底膜からの微小剥離により皮膚から排除することも明らかになった。したがって、COL17A1高発現細胞が表皮幹細胞として長期にわたって維持されており、COL17A1レベルのより低い低品質細胞を皮膚から排除し続けるなかで、自身も次第にCOL17A1の発現を失ってしまうため細胞競合が減弱して表皮の細胞競合が減弱して表皮の老化が顕著となることが明らかになった。
さらに表皮の角化細胞以外に表皮内でメラニン色素を産生している色素細胞や表皮の基底膜下に分布する繊維芽細胞などに着目して解析したところ、表皮幹細胞の細胞競合が反復されるなかで、表皮基底層から排除されていく敗者クローン細胞集団に囲まれていた色素細胞も周囲の敗者細胞と一緒に排除されること、ならびに基底膜下の真皮内の線維芽細胞も表皮幹細胞におけるヘミデスモソームの構築変化と並行して消失していくことが観察された。このような真皮浅層の繊維芽細胞の消失は真皮の細胞外マトリックスの構築にも変化を及ぼして深部に波及しうるため、臓器としての老化へと繋がっていくものと考えられた。
表皮幹細胞においてCOL17A1を恒常的に発現させた高週齢マウスを解析すると、皮膚の老化の抑制効果ならびに再生促進効果が得られた。さらにCOL17A1の発現を誘導する低分子化合物によって皮膚の再生促進効果が得られており、今後皮膚老化の新規治療的戦略や予防へと繋がることが期待される(特許出願中)。他の臓器の上皮組織においても同様に幹細胞競合が臓器の恒常性と老化を制御している可能性や、その制御が健康長寿に繋がる可能性も考えられるため、今後の広がりやあらたな展開が期待される。
◆用語
〇表皮幹細胞
皮膚の最外層に位置する表皮は、その大部分が表皮角化細胞(ケラチノサイト)で構成されている。表皮角化細胞は基底層で分裂したのち、分化しながら皮膚表面に向かって移動し、角層を形成してバリア機能を担っている。表皮基底層に位置する細胞は未分化でその多くが自己複製するため表皮幹細胞と呼ばれていることが多いが、生体内でどの細胞集団が長期にわたり幹細胞として機能するのかについては正確には明らかにされていなかった。
〇ヘミデスモソーム (半接着斑)
上皮細胞が基底膜に接着する接着装置の一種で、多くの細胞膜裏打ちタンパク質が複合体を形成している。
上皮細胞を膜貫通性に基底膜へと繋げて係留する。
〇XVII型コラーゲン(COL17A1)
ヘミデスモソームの構成分子の一つ。表皮においては基底細胞が発現する膜貫通性蛋白。その先天性の欠損により表皮真皮接合部が不安定化し、接合部型表皮水疱症を発症し、皮膚の萎縮、脆弱性、びらん、色素異常、脱毛などを引き起こす。
〇細胞競合
組織中で近接する同種細胞間で相対的に環境適応度の高い細胞が低い細胞を集団から排除する現象。
朝から晴れた。とても風が強い、ボウシが飛ばされる!。
白い板壁の塀の上から黄色の花が沢山垂れさがっている。花はラッパ型の1cm程の小さく、ジャスミンに似た芳香がある。名は”カロライナジャスミン”。”カルフォルニアジャスミン”と呼ぶことがあるが、これは間違い。この花は、サウスカロライナ州の州花になっている。”カロライナジャスミン”には、一重咲き品種と八重咲きの品種があり、この花は一重咲き。”ジャスミン”という名前が付けられているが、モクセイ科ソケイ属(Jasminum)の「ジャスミン」とは全く違う種で、マチン科ゲルセミウム属である。
”カロライナジャスミン”は全草(根・根茎に特に多い)に有毒成分(ゲルセミシン、ゲルセミン、センペルビリンなど)を含む有毒植物である。お茶などに利用すると、中毒(脈拍増加、呼吸麻痺、中枢神経刺激作用、血圧降下、心機能障害)の症状。名(カロライナジャスミン)の由来は、ノースカロライナ州・サウスカロライナ州生まれのジャスミンのような香りがする花から。因みに、マチン科・リンドウ科・キョウチクトウ科の植物の多くは有毒植物である。
カロライナジャスミン(Carolina Jasmine)
学名: Gelsemium sempervirens
別名:ゲルセミウム、イエロージャスミン、イブニングトランペット、トランペットフラワー
カロリナソケイ、ニセジャスミン、センペルヴィレンス
マチン科ゲルセミウム属
常緑つる性低木
原産地は北アメリカ南部
つる長は3m~6m
開花時期は4月~5月
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