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入歯の手入れを毎日しないと過去1年間の肺炎のリスクが1.3倍高い

2019-11-07 | 健康・病気
 令和元年10月28日東北大学大学院歯学研究科の発表。
 研究の背景
 肺炎は高齢者において死因の上位を占めている。嚥下機能及び免疫機能が低下する高齢者では、飲食物や唾液などが肺に入ることによる「誤嚥性肺炎」を発症するリスクが高く、誤嚥時に口腔内の微生物も一緒に肺に到達することにより、肺炎が発症すると考えられている。そのため入院患者や介護施設入所者に対して「口腔ケア」を実施することで、肺炎を予防できることが報告されてきた。しかしながら、誤嚥による肺炎発症のリスクは地域在住高齢者でも高く、口腔内を清潔に保つことは地域在住高齢者においても誤嚥性肺炎の予防につながると考えられる。
 高齢者では歯の喪失に伴い、入れ歯(義歯)を装着している者が多く、義歯の表面には「デンチャー・プラーク」と呼ばれる細菌などからなる有機物が付着しており、それらが誤嚥により肺に到達し、肺炎を引き起こす可能性がある。
 対象と方法
 2016年に実施されたJAGES(Japan Gerontological Evaluation Study; 日本老年学的研究)調査に参加した要介護認定を受けていない65歳以上の高齢者の内、義歯を使用している71,227人を対象に義歯の清掃頻度と過去1年間の肺炎発症の有無の関連を横断研究で調べた。義歯の清掃頻度は「毎日入れ歯の手入れをしていますか?」という質問に「はい」または「いいえ」で答えてもらった。分析に際して、無回答の項目を統計学的に補完した上で、交絡因子として性別、年齢、喫煙歴、等価所得、教育歴、現在歯数、ADL、脳梗塞・認知症の既往、肺炎球菌ワクチンの接種を用いて傾向スコアを算出し、逆確率による重みづけを用いたロジスティック回帰分析を行い、仮想的に対象集団の背景因子を同じにしたときに義歯を毎日清掃する人としない人で肺炎発症のリスクが異なるかを評価した。
 研究のポイント
 〇口腔ケアが誤嚥性肺炎の予防に有効であることは、入院患者及び介護施設入所者を対象に多くの研究で明らかにされている。しかし、地域在住高齢者においても口腔衛生状態を保つことが誤嚥性肺炎予防につながるかは明らかにされていなかった。
 〇本研究から要介護状態にない地域在住の高齢者においても、入れ歯の手入れを毎日はしない人は毎日手入れをする人に比べて、過去1年間に肺炎を発症した人が1.3倍多いことが明らかとなった。
 結果
 対象者71,227人のうち、過去1年間に肺炎を発症したと答えた人は2.3%、義歯を毎日は清掃しない人は4.6%であった。また、義歯を毎日清掃する人では過去1年間に肺炎を発症した人は2.3%であった一方、毎日は清掃しない人では3.0%であった。さらに75歳以上の人に限ると義歯を毎日清掃する人では過去1年間に肺炎を発症した人は2.9%であった一方、毎日は清掃しない人では4.3%と肺炎発症のリスクが高くなった。また、傾向スコアを用いた統計解析により、65歳以上の全対象者では義歯を毎日は清掃しないことにより、リスクが1.30(95%信頼区間:1.01-1.68)倍高く、また、75歳以上の人に限ると1.58(95%信頼区間:1.15-2.17)倍高くなることが示された。
 いればの清掃頻度と過去1年間の排煙発症との関連(N=71,227)
  毎日いればの手入れをする 1.0
  毎日はいればの手入れをしない 1.30(65歳以上全対象者)
  毎日はいればの手入れをしない 1.58(75歳以上のみ)
 本研究の意義
 現在、誤嚥性肺炎予防のための口腔ケアは入院患者や介護施設入所者などリスクの高い人に対して行われている。しかしながら、高齢者の大部分を占めている地域在住の高齢者においても誤嚥性肺炎発症のリスクはある。今回の研究で示された義歯の清掃を含め、地域在住高齢者の口腔衛生状態も清潔に保っていくことが、日本人全体の誤嚥性肺炎の発症を減らしていくことにつながると考えられる。
 要介護状態にない人でも、入れ歯を使っている人は、手入れを毎日行うことが肺炎の予防につながる可能性がある。また定期的に歯科医院で、義歯の状態のチェックや、家庭でとれない歯石などの入れ歯汚れを除去してもらうことも大切だと言える。

 街に出かけた。
 街路樹の”イチョウ”を見る。黄葉し始め、樹の周辺に黄葉が散り始めている。もう少し秋が深まると、黄葉が散り、道路が黄色の絨毯となる・・綺麗だ。”イチョウ”の実も落ち始める・・”イチョウ”は雌雄異株、実は雌株にのみになる。
 因みに、”イチョウ”は「生きている化石」植物の一つである。イチョウ類は、約3億年前(古生代後期)に出現し、中生代に最も繁栄した。
 イチョウ(銀杏、公孫樹、鴨脚樹)
 イチョウ科イチョウ属
  裸子植物門イチョウ綱の中で唯一の現存している種
 落葉高木
  広葉樹にも針葉樹にも属さない
 雌雄異株 実は雌株にのみになる
 中国原産、鎌倉時代の渡来説が有力
 開花時期は4月~5月
  花粉は風で運ばれる(風媒花)。結実は9月~10月


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