静岡県立漁業高等学園は、創立50年。一流の漁師になる近道です。

漁師をめざして、がんばっている生徒たち。
30歳までの若者が全国から漁業の街、焼津に集っています。

昔の漁師、これからの漁師

2018年08月10日 11時39分47秒 | 所感

生徒のいない夏休み中は、ブログが盛り上がらなくてすいません。
学園の様子を知りたい方は7月までのブログを御覧ください。
タイトルの一覧はこちらです。
https://blog.goo.ne.jp/gyogaku/arcv

私は伊豆の漁村出身です。
小学校の一学年は60人。
同級生の親はほとんど漁師でした。
私の家も祖父までは漁師。
周りではいろいろな漁業が営まれていました。

私が生まれたのが1960年。戦後から15年です。
戦争の間、漁業が中断していたので海はに魚があふれていました。
加えて食糧難だったり、動物性タンパク源である肉類も高価。
魚は高く売れました。
中学を出て漁師になった人の方が、勤め人より給料が良いのが普通でした。
片田舎の漁村でも生活水準はそれほど低くなかったんですよ。

私が生まれてから、その後に県の水産技師になる1984年くらいは水揚げは右肩上がり。
漁業は大繁栄です。
そして1985年ころにピークとなり、後は下がり続けます。
つまり、私は就職してから衰退する漁業の世界を見てきました。
魚の資源は減り、価格も昔と変わらない・・・
漁師にとっては大変な時代となりました。
漁師の数も、漁協の数も減っています。

それでも、漁師を目指す皆さん、未来が暗い訳ではないのです。
いつの時代も、何の資格も技術もなくて稼げる仕事はあります。
でも、それがずーと続くことはありません。
外国人も増えていく中で、これからの漁師は技術や資格が大きな武器になります。

朗報もあります。
漁業の世界では、資格があったり、技術を学んできた人が本当に少なくて貴重です。
学園でしっかりと学ぶことは、限られた人しかできません。
一年に20人の限られたエリートです。
どんな産業であっても、優秀な人材は必ず生き残るものです。
その人たちが、力のある産業を作っていきます。

学園の卒業生が漁業現場で活躍することで、底力のある漁業を作られます。
そのために、我々職員は生徒のがんばって生徒を育成します。

学園で学ぶのは海技士という船乗りの資格と、漁業現場で必須の技術です。
そして寮生活を通じて養うコミュニケーション力。
未来の漁師にとって、大事なことばかりです。

写真は実習棟にあるロープ加工の見本です。
左から右に、加工が進みます。


学園の実習は「飽きるな、あきらめるな」です。
早く覚える人は飽きるし、覚えるのが苦手の人はあきらめてしまいます。
何度も繰り返さなければ体が覚えることはできません。
繰り返すことで、誰でも必ず習得できます。


学園見学のお申し込み、入学のお問い合わせは電話、Eメールで。
電話 054-626-0219
Eメール gyogaku@pref.shizuoka.lg.jp

8月のオープンキャンパスの申し込みを受付中です!
詳しくはホームページをご覧ください。
申し込み者が21日に集中しています。できれば22日にご参加いただけるとうれしいです。
www.pref.shizuoka.jp/sangyou/sa-940

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漁師という仕事を選ぶこと

2018年08月09日 09時00分00秒 | 所感

漁業学園に入学する人に一番必要な条件。
それは漁師という職業を選んだと言うことです。

学園はもともと、中学卒業者がくる学校でした。
昔の漁村では漁師になることは普通のこと。
特別な人が高校進学していました。
特に考えることもなく、漁師になる人が多かったんですね。
あるいは中学を出て漁師になるか、それ以外か?の二択です。

現在は漁師に限らず、二択で仕事に就くのは少ないはずです。
下手をすると、高校、大学を出てもやりたいことが決まらずニート...と言うこともあります。
仕事を選ぶことができるのは良いことです。
でも、選択肢が増えたことで、逆に決めることが難しくなりました。

私が思うに、仕事は運命的なもので、出会い、きっかけ、ひらめきが大事です。
例えばテレビを見て
「漁師はかっこいいな」
と思ったり、あるいは
「海の上で働いてみたい」
と、ふと思ったり。
そこから「えいや!」と決めることも必要です。

あとは学園に来て、技術と知識を身につけ、自分の適性にあった漁業に就けばよい訳です。
人生の岐路では、自分では分からない力が働くこともあります。
でも、少しでも安全な道を歩みたいなら、学園が力になります。

写真はロープの扱い方の実習。
長いロープがぐちゃぐちゃに絡んだことがありませんか。
絡んだロープをほぐす方法です。
あらかじめ先生が絡ませておき、生徒がほぐしてみます。
まずは自由にやらせ、それから先生がコツを教えます。


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学園見学のアドバイス

2018年08月08日 08時50分46秒 | その他

オープンキャンパスを含む学園の見学も夏休み期間中が最盛!
せっかく来ていただくのですから、有意義なものにして欲しいです。
そこで、見学に来たときのアドバイスをさせていただきます。

はじめに当たり前ですが、大事なこと。
あなたの人生にとって、学園は目的ではありません。
漁師になるための手段です。
そのための場所として適しているかを考えてください。
学園の一年が、その後の人生に役に立つかどうかです。

学園に来ていただくと、始めに学園のことをスライドで説明します。
このとき
「どんな漁師になりたいの?」
と最初に伺うことがあります。
思っているとおり答えてください。
具体的なイメージがなければ、そう言ってください。
私が説明する内容を調整します
そして、疑問点はすべて質問すること。これも大事。
分からないことを分からないままにしないでください。
「聞くは一時の恥」
ですよ。
言葉の意味が分からなければ「○○が分かりません」と言ってくださいね。

次に寮をご案内します。
ここでは自分が生活するイメージを作ってください。
一人が使うことができるスペースは限りがあります。
でも、漁船に乗ればもっと狭くなりますよ。
ロッカーの大きさを確認して、荷物の量を考えてください。

そして、教室や実習棟を見学します。
ここは自分を鍛える場所です。
この場所で、自分ががんばれるかを想像してください。
どんなことを授業や実習でやるのか、質問を考えておくのも良いです。
オープンキャンパスでの模擬授業も同じ。遠慮なく質問してくださいね!

保護者の方も疑問点は全部聞いてください。
「こうゆう子ですが大丈夫?」
「漁師は出会いが少ないのでは?」
あるいは、費用面、病気の時...など。

どうでしょう?
何も考えずに見に来るよりは、入学の参考になりませんか?

そして、保護者の方と見学する場合、どうしても質問するのは保護者の方が中心になってしまいます。
そこで私は意識的に入学希望者本人に話しかけます。
自分の思っていることを答えてください。
お互いの理解が進みます。

学園に来る前に、メールなどで聞きたいポイントを私に連絡してくれれば私も助かります。
しっかり準備をしてお答えしますよ!

写真はロープ実習です。
学園では30種類の結び方、つなぎ方を覚えます。
これは基本。他にやります。
例えば万力結び。トラックの荷台に固定する方法なのでトラッカーズヒッチとも言います。


これは、習ったロープワークの応用。
防舷材(船の側面にある衝撃吸収材)を設置するやり方です。


学園生がいると、引っ越しでは大活躍ですよ!

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漁師を育てる専門校に来る意味 1

2018年08月07日 13時16分27秒 | 学園紹介

今の世の中、情報を得るのは簡単です。
スマートフォンでグーグル先生やウィキペディア先生に聞けば、ほとんどのことを教えてくれます。

ところが漁師という仕事はちょっと違うんですね。
漁師の仕事を考えると
 港を出る・・・帰港して水揚げ
大事な・・・部分がブラックボックス(なぞ)となっています。
さらに漁師になる方法なんて、まして学校があることなんて知られていません。

昔は親も漁師だったので、子供が漁師になると言っても問題ありませんでした。
今は子供が「漁師になりたい」と言うと、親も学校の先生もビックリ。
漁師の仕事はブラックボックス。どんなものか分からないからです。。
ましてや言い出した子供の方も、漁師の仕事が良く分かっていないことがほとんど。
なぞだらけの世界です!

こんなときに、学園は役に立ちますよ。
学園の職員はブラックボックスの中、つまり漁業現場を良く知っています。
漁師に必要なことを具体的かつ的確にアドバイスできます。

学園の生徒は漁業のことを一から勉強できます。
どんな漁業があり、それはどんな仕事なのか?
学園では公平な視線で学ぶことができます。これが大事。

例えば漁業就業支援フェアに行けば、いろいろな漁業の情報が得られます。
でも、ブースにいるのは漁業会社の人たち。
自分の漁業の紹介は詳しくしてくれます。
でも、他の漁業の良いところをどれだけ話してくれるでしょうか?
話に出てこない大変なことがあるかも知れません。

例えばクルマを買う時はどうでしょう。
好きなクルマを、他車と比較せずに購入するのも一つの方法です。
でも、高価な買い物です。
普通は複数のメーカー、複数のクルマを比較検討します。
性能と値段のバランスも大事です。

自分の仕事を決めるなら、クルマを買うより慎重になるべきです。
学園は1年かけて比較検討ができます。
しかも、売る側の息のかかっていない、購入者の立場にあるアドバイザー(学園職員)つきです
ただし
「あなたはクルマの運転に向いていない」
あるいは
「そんな大きいクルマより、小さい来るが合っているよ」
と辛口のアドバイスが出ることもあります。
これも、漁師になる専門校だからできることの一つです。

他にも、ありますが長くなるので別の機会に。

写真は焼津水産高校で5月に行う実習船やいづの出航式です。
全生徒が参加するので華やかです。
実習船の出航は年になんどもありますが、全生徒が来る出航式は1回です。


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創立50年、学園入学者の変化

2018年08月06日 13時41分32秒 | 学園紹介

土曜日、そして今日で合計3人の高校生が見学に来てくれました。
2年生、3年生、4年生(定時制)と年齢はバラバラ。
それでも、3人とも漁師になる希望があることは同じです。
いつものように、私から「漁師はいいぞー」とは話しません
むしろ、大変なことをお話しして、それでも漁師を目指すなら学園に来て欲しいとお話ししました。

さて今日は、入学者と学園がどの様に変わってきたかのお話しです。
学園は約50年前の大きな海難事故を教訓に、優れた漁船員を育てるために作られました。
その当時、県に一校しなかない水産高校に行くのは大変なことでした。
また「漁師に頭はいらない」が、多くの漁村の認識でした。
つまり、漁村で高校進学する人は少なかったのです。
だから1年間で、漁師の技術、船乗りの知識を授ける学園は大きな意味がありました。
40人定員でスタートしましたが、最盛期は60人以上の受験がありました。
水産高校受験の滑り止めでもありましたが、それ以上に
学力的にも、経済的にも水産高校などに進学できない漁師の卵が集う学校でした。

その後、高校進学率が急激に上昇。
漁村でも、ほとんどの中学生は高校進学するようになりました。
学園は水産高校の滑り止めから、高校に進学できない人たちの受け皿に変わります。
受験者もどんどん減り、定員を20人に削減。
それでも、入学者が3人ということもありました。
中には親が子供の意向を無視して入学を決め、
「入学式の日に、学園の門から中に入ってこない」
「夜、寮を抜け出してしまう」
といったことも起きたようです。
これが、約10年前。
入学者の減少で、存続を問われることもありました。

高校も単位制、通信制など多様となり、高校に進学できないことを理由に学園にくることも減少。
学園は優秀な人材を求めて、入学者を徐々に高校卒業生にシフト。
全国から漁師希望が集まるようになりました。
ピークは3年前で30人を超す受験がありました。
長引く不況もあって、確実に仕事があることも魅力であったと思います。
そこから、景気が好転、求人が増えることで学園受験者も減少。
昨年、今年と残念ながら1名の定員割れの状況です。
それでも、純粋に漁師を目指す人が増えてきました。

漁業現場も外国人労働者が増えました。
かつての学園は、労働力として生徒を育ててきました。
今は違います。
海技士資格があり、大型船の幹部になれる人を育てています。

こんな風に、変わってきているので学園の地元の方は
現在の状況を知ってビックリすることが少なくありません。

生徒の質が上がると、我々職員も授業の質を上げる必要があります。
工夫を凝らして、毎年、内容を向上させています。

写真は静岡市の三保造船所を見学で撮影したもの。
大型漁船を作る造船所のスケールがわかると思います。
この大きさを感じるの大事な勉強です。



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