過去20回の個展のうち11回を、3月29日で営業を終える大同ギャラリーで行ってきた札幌の益村信子さん。ギャラリーへの思いと感謝を込めて、ちょっと総決算的な色あいの個展となった。
大同ギャラリーはメゾネットになっている。益村さんは下のフロアに、絵画2点と、インスタレーション1点を設置。上の階には、絵画の小品5点と大作6点を並べた。両フロアをつなぐ階段の踊り場にも大作1点が展示してある。また、搬入を手伝った山内桂子さんの刺繍の小品も、協賛展示している。
どの絵も題はついていない。最初の発表時には題があったというが
「なんか、気負った題で、恥ずかしくて」
と益村さん。
そして、最初に発表したときと、だいたい同じ位置に展示したというから、ギャラリーへの思いがこもっているなあ。
一番古い絵は1992年の作。
次は95年の大作。
抽象的な球体や直線を主なモティーフにしつつも、古代ギリシャの神殿のようなものを描き入れているものもある。具象的なものが描かれているのは初期だけで、画面の大半は抽象的な図形が配されている。
宇宙的な広がりと、悠久の時を感じさせる図柄で、その雰囲気は、2000年前後に絵画からインスタレーションに転じてからも、大筋では変わっていないことが、今回の個展であらためてわかる。
「ブレていないな~ということが自分でも分かったのは良かったですね」
と益村さんは言う。
インスタレーションは、手前に、カイワレが入った透明な球体を据え、途中にコラージュを施した球体を転がしつつ、長さが異なる群青色の筒を大量かつ不規則に並べ、奥の大きな網へと空間を構成している。
これまで用いたことのある素材の中から選んでいるようで、やはり、集大成的な作品となっている感が強い。
益村さんは団体公募展に属さず、グループ展という選択肢もあまりとらず、大半の作品発表を個展で行ってきた。
しかも、大同ギャラリー、ギャラリーたぴお、札幌時計台ギャラリーでの開催が大半を占めているだけに、よく利用してきたギャラリーの閉鎖という今年の事態にはかなり困っている様子だ。
「大同ギャラリーは使用料が安いし、展示するときは外光とか壁とか、計算してやってるから、おいそれと新しいギャラリーに移るわけにもいかない。愛を感じさせるギャラリーを、まず探さなきゃ」
と話しておられた。
なお、益村さんから聞いた、大同ギャラリーの話はなかなか面白かったので、別項で紹介したい。
2016年2月25日(木)~3月1日(火)午前10時~午後6時(最終日~午後5時)
大同ギャラリー(札幌市中央区北3西3 大同生命ビル3階)
参考
□北海道を彩るアーティスト http://saruuni.blog96.fc2.com/blog-entry-503.html
関連記事へのリンク
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■野外オブジェ展in栗沢(01年)
今回のお披露目のあと、どうしたものか・・・と
考えていました。
梁井さんのところで、このように映像で取り上げて
いただけたので、ちょっと成仏できたように思います。
ありがとうございました。
しかし、ヤナイ家も豪邸でなし…。
絵をまとめて買い取ってくれるような気前の良い富豪はどこかにいないのでしょうか。
ともあれお疲れさまでした。
大同が長かったですからねぇ…。