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■「いのちの海 知床」関勝則写真展 (10月16日まで)

2007年10月16日 00時19分19秒 | 展覧会の紹介-写真
 海の生物の写真というと、南国のイメージがあるけれど、知床の海がこんなにも鮮やかで多様な色彩に満ちているとは、思いもよらなかった。
 巨大なイカ、ただようクリオネ、海底を埋め尽くすカニ、さまざまに擬態する魚たち、力尽きたカラフトマス…。
 さらに、植物プランクトンがぼーっと光る流氷の底部など、北の海とは思えない。
 ネイチャーフォトとして一級品なのはもちろんだけど、モティーフのことをいったん頭から消し去って、抽象画として見てもおもしろいのだ。

 筆者は、おもわず関さんの写真集「いのちの海 知床」を衝動買いしてしまった。
 これで2310円はお買い得だと思う。
 さすがアイワード、印刷も高度だ。

 写真集を買えば、写真展はむりして見なくてもいいという考えもなりたつ。
 ただ、本よりも会場のプリントのほうが、若干明るめにプリントされているようである。
 また、オオカミウオの夫婦をとらえたユーモラスな写真など、別のコマがえらばれている場合もあるので、あした(16日)時間に余裕のある方は、どうぞ北海道新聞まで足を運んでいただきたい。
 そこで、あなたの知らない世界が、かならず見られるはずだから。

 それにしても、知床って、あらためてすごいと思った。
 この生命の豊かさはどうだ! とにかく、いろんな動植物がひしめきあっている感じだ。
 たとえば、日本海の底はヒトデばかり多くて、こんなに魚類はいないだろう(もぐったことないけど、たぶん)。
 これは、流氷など、いろんな要素が絡み合って、奇跡のように実現しているものなのだろう。
 写真集にも、アザラシの屍骸とオジロワシなど、食物連鎖の厳しい現実から目をそむけないで、撮った写真が載っている。
 人間がこの豊かな生命の循環を壊さないようにしなくてはいけないな、と思った。 

07年10月4日(木)-16日(火)10:00-18:00(最終日-16:00)
道新プラザ・ギャラリー(中央区大通西3、北海道新聞社1階)


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5 コメント

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Unknown (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2007-10-17 23:49:01
 sueさん、ありがとうございます。

>氏は写真集を作品紹介のためのある種のカタログと考えているということでした

 柴田さんクラスになると、そういうことなんでしょうね。

 ただ、写真集は、それもひとつの「作品」ではないかとわたしには思えます。
 画集が、いくらがんばっても「本物」にはならないのと違って、写真展も写真集も「プリント」であることが共通していますから、そう思うのかもしれません。

 オリジナルプリントの大切さは承知しているつもりですが、油絵と同様、なかなかおいそれと買えるものではないので…。

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写真集とプリント (sue)
2007-10-17 00:16:19
本来写真集と写真展はかなり異なる発表媒体であると思われますので、写真家はそれぞれのよさを生かすべく、最大のパフォーマンスを追及しているはずです。以前木村兵衛賞受賞作家である柴田敏雄さんのワークショップでオリジナルプリントを見せていただいたときにおききしたのですが、氏は写真集を作品紹介のためのある種のカタログと考えているということでした。日本ではいまだ写真の売買については欧米ほど盛んではないのが残念なことですが、柴田氏の説明では欧米のコレクター向けに写真集を使っているという風にうけとりました。そしてオリジナルプリントと写真集の圧倒的な画質の差をその場で確認できましたので、それもなるほどと思いましたが、これはちょっと特殊な例かもしれません。これとは別に、写真集で完結できる場合もかなりあります。というか写真集はそれなりの独自な世界を作っていると思っています。ブックデザイナーの鈴木一誌さんの写真集作りに対するお考えを記された興味深い最近の著作があります。なお夕張の写真で注目された風間健介さんはオリジナルプリントのよさを広めようとして、とても廉価(大4切バライタ紙1万円、レジンコート紙6切千円!)で販売していますが、写真集(写真集「夕張」、ブックデザインは前述の鈴木氏)も素晴らしい完成度であることは梁井さんもご存知と思います。みなさんもここは今一歩踏み込んでみてはいかがでしょう。写真集を求めるだけでなく、気に入ったものをプリントで買うというのが作家活動の最大の支援になるでしょう。
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Unknown (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2007-10-16 21:56:06
>うさぎさん
 こんばんは!
 こういうコメントは、北海道美術ネットらしくてうれしいですね。
 いろんな展覧会について、多くの人が自由に意見を言い合えるようになればおもしろいと思います。

>パセリさん
 おひさしぶりです!
 ほんとうに美しい写真でしたよね。
 そういえば絵はがきは50円と、ずいぶん安かったです。
返信する
私はつつましく絵はがき。 (パセリ)
2007-10-16 15:00:59
色鮮やかな海綿、腔腸動物、魚類を支えているのが
地味な植物プランクトンなのです。
本当に美しい写真でした。
返信する
こんばんは(^^)/ (うさぎ)
2007-10-16 01:56:56
先日拝見してきましたが、
とても素敵な写真展でした。
歯の欠けたオオカミウオは、愛嬌たっぷり
関さんが発見されたというカジカは、宝石みたい~♪
知床の海の生き物たちが、
本当にキラキラと輝いていました(^ー^)
この豊かな自然の営みを大切にしていきたいですね。
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