某所で招待券を入手したので行ってきました。
昨年も鑑賞したようですが、まったく記憶にありません。
会場を歩いていても知らない名が大半です。道内は毎日系に出品している書家が多いためか、見るためのいとぐちになるような作品に出合えないのです。
筆者は書もしろうとですから、どう見るのが正しいのか、だんだんわからなくなってきます。
たとえば冒頭画像は、道内にもお弟子さんがいてときどき作品を拝見する機会のある高木聖雨最高顧問の作品です。右は『漢書』郭泰伝から取った「魁偉」、左は老子による「善く戦う者は怒らず」の楚系(春秋戦国期の楚国系統)だそうです。最高顧問、顧問、常任総務の計13人については作品が全国を巡回し会場で「鑑賞ガイド」が無料で配られ、そこに字釈なども載っているので、筆者でも読めるのです。
たとえば、筆者の目には、「魁」の力感あふれる剛毅な線質に比べると、「偉」の、とくににんべんの縦線などは線質が柔和だと感じます。
個人的にはそろえたほうが統一感が出て良いと思うのですが、それはしろうとのあさはかな考えであり、一つの作品にいろいろな線があったほうが良いという見方のほうが一般的で、正しいのでしょうか。
昨年も鑑賞したようですが、まったく記憶にありません。
会場を歩いていても知らない名が大半です。道内は毎日系に出品している書家が多いためか、見るためのいとぐちになるような作品に出合えないのです。
筆者は書もしろうとですから、どう見るのが正しいのか、だんだんわからなくなってきます。
たとえば冒頭画像は、道内にもお弟子さんがいてときどき作品を拝見する機会のある高木聖雨最高顧問の作品です。右は『漢書』郭泰伝から取った「魁偉」、左は老子による「善く戦う者は怒らず」の楚系(春秋戦国期の楚国系統)だそうです。最高顧問、顧問、常任総務の計13人については作品が全国を巡回し会場で「鑑賞ガイド」が無料で配られ、そこに字釈なども載っているので、筆者でも読めるのです。
たとえば、筆者の目には、「魁」の力感あふれる剛毅な線質に比べると、「偉」の、とくににんべんの縦線などは線質が柔和だと感じます。
個人的にはそろえたほうが統一感が出て良いと思うのですが、それはしろうとのあさはかな考えであり、一つの作品にいろいろな線があったほうが良いという見方のほうが一般的で、正しいのでしょうか。
そんなことすらわからないで書を見ているのかと、しかられそうですが…。
読売書法展は全国最大規模の書展で、8月23日~9月1日に東京で開かれた後、京都、名古屋などを巡回し、札幌は7都市目。次の九州展(福岡)が最終会場です。
漢字、かな、調和体、篆刻の4部門だけで、調和体は毎日書道展や道展でいう詩文書、近代詩文にあたります。漢字の大字書は少なく、墨象、前衛もありません。
北海道からの出品も毎日展に比べると少ないうえ、道展で見たおぼえのある人の名も減っているような気がしました。
画像は、道内では幹部クラスの書家で、右は八巻水鷗(鷗は鴎の正字)参与、左は阿部和加子理事です。
釈文が添えられていました。
「春雨に争ひかねて我が宿の桜の花は咲き初めにけり」
「朝日いま上らむとしてくれなゐに東なかばを染めぼかしたり 清水比庵」
八巻さんは万葉集から。
阿部さんは右上を大きくあけ、ちらしというか、字の配置が大胆です。
道内続き。
右は加藤正叙理事。
「戦争の火 あの真夏の戦後 戦争の火をはくな」
と釈文にあります。
ここまで気持ちの入った調和体の作品は、じつは会場では少数派です。
左は菅原京子理事。
「山の上にたてりて久し吾もまた一本の木のここちするかも」
佐々木信綱の歌です。
ほかに渡辺翠波、北彰子、戸澤秋亭…といった諸氏の作が並んでいました。篆刻の上山天遂さんも良い場所に掛かっています。
会友阿部和男さん。
書壇の流行とか、うまく書いてやろうという気持ちとか、そういうものとまったく無縁のところで書かれている作品。
珍しいタイプの作品で、これを見るのが、個人的に読売書法展の楽しみです。
「書は人なり」という古い言葉が脳裏に浮かび、背筋が伸びる思いがします。
大門玉泉さんが一般のところに交じって展示されていたことに、意外の感を抱きました。
道内から、10代の篆刻が大量に入選していましたが、高校の授業か何かで取り上げたのでしょうか。
このほか、或る部屋に、「勝一郎の文より」と明記した調和体の作が三つも四つもありました。
おそらく『大和古寺風物詩』の一節だと思われます。引用個所はすべて違っていましたが、書風は共通するものがあるように感じました。
最終日の10日午前11時から会場で席上揮毫会が開かれる予定です。
なお、会場の写真撮影は、商用以外はOKでした。SNSなどにアップする場合は、作者名などをちゃんと書くようにとのことで、これは安易なアップの歯止めとして案外良い作戦かもしれません。
□ https://yomiuri-shohokai.com/index.html
2024年11月6日(水)~10日(日)午前10時~午後6時(最終日5時)
札幌市民ギャラリー(札幌市中央区南2東6)
過去の関連記事へのリンク
■第25回(2008)
■読売書法会創設25周年記念特別展「北海道を創った人たち」展
■第24回 (2007)
■第23回 (2006)
■読売書法展の巨匠と道内出品作家による第8回北海道秀作展 (2003、画像なし)
・地下鉄東西線「バスセンター前駅」9番出口から約300メートル、徒歩5分
・ジェイアール北海道バス、中央バス「サッポロファクトリー前」から約520メートル、徒歩7分
読売書法展は全国最大規模の書展で、8月23日~9月1日に東京で開かれた後、京都、名古屋などを巡回し、札幌は7都市目。次の九州展(福岡)が最終会場です。
漢字、かな、調和体、篆刻の4部門だけで、調和体は毎日書道展や道展でいう詩文書、近代詩文にあたります。漢字の大字書は少なく、墨象、前衛もありません。
北海道からの出品も毎日展に比べると少ないうえ、道展で見たおぼえのある人の名も減っているような気がしました。
画像は、道内では幹部クラスの書家で、右は八巻水鷗(鷗は鴎の正字)参与、左は阿部和加子理事です。
釈文が添えられていました。
「春雨に争ひかねて我が宿の桜の花は咲き初めにけり」
「朝日いま上らむとしてくれなゐに東なかばを染めぼかしたり 清水比庵」
八巻さんは万葉集から。
阿部さんは右上を大きくあけ、ちらしというか、字の配置が大胆です。
道内続き。
右は加藤正叙理事。
「戦争の火 あの真夏の戦後 戦争の火をはくな」
と釈文にあります。
ここまで気持ちの入った調和体の作品は、じつは会場では少数派です。
左は菅原京子理事。
「山の上にたてりて久し吾もまた一本の木のここちするかも」
佐々木信綱の歌です。
ほかに渡辺翠波、北彰子、戸澤秋亭…といった諸氏の作が並んでいました。篆刻の上山天遂さんも良い場所に掛かっています。
会友阿部和男さん。
書壇の流行とか、うまく書いてやろうという気持ちとか、そういうものとまったく無縁のところで書かれている作品。
珍しいタイプの作品で、これを見るのが、個人的に読売書法展の楽しみです。
「書は人なり」という古い言葉が脳裏に浮かび、背筋が伸びる思いがします。
大門玉泉さんが一般のところに交じって展示されていたことに、意外の感を抱きました。
道内から、10代の篆刻が大量に入選していましたが、高校の授業か何かで取り上げたのでしょうか。
このほか、或る部屋に、「勝一郎の文より」と明記した調和体の作が三つも四つもありました。
おそらく『大和古寺風物詩』の一節だと思われます。引用個所はすべて違っていましたが、書風は共通するものがあるように感じました。
最終日の10日午前11時から会場で席上揮毫会が開かれる予定です。
なお、会場の写真撮影は、商用以外はOKでした。SNSなどにアップする場合は、作者名などをちゃんと書くようにとのことで、これは安易なアップの歯止めとして案外良い作戦かもしれません。
□ https://yomiuri-shohokai.com/index.html
2024年11月6日(水)~10日(日)午前10時~午後6時(最終日5時)
札幌市民ギャラリー(札幌市中央区南2東6)
過去の関連記事へのリンク
■第25回(2008)
■読売書法会創設25周年記念特別展「北海道を創った人たち」展
■第24回 (2007)
■第23回 (2006)
■読売書法展の巨匠と道内出品作家による第8回北海道秀作展 (2003、画像なし)
・地下鉄東西線「バスセンター前駅」9番出口から約300メートル、徒歩5分
・ジェイアール北海道バス、中央バス「サッポロファクトリー前」から約520メートル、徒歩7分