小樽郊外に「日日工房」を構え、札幌はもちろん国内外で盛んに発表を続けている染織造形家の加藤祐子さんが、東京と大阪の知人作家に声をかけて3人展を開いています。
ギャラリーカモカモは決して広い会場ではありませんが、巧みな配置で、ユニークな作品が並んで見ごたえのある展示になっています。
加藤さんの「やわらかな襞」。
つぎの画像は「たおやかなものたち」「フリルが見える」「布層が見える」。
布層は、地層をもじってつけた語でしょうか。
こうして見ると加藤さんは、布地の裏側に興味を抱いているように感じられます。
たしかに布地のなかには、表側よりも魅力的な裏側を持っているものもあります。
ただし、これらの作品は裏が見えるようには展示していません。
写真にはないですが「パスカルの蝶」は、他の作家からインスタレーションに使いたいという求めを受けて制作したもの。
哲学者のパスカルとは関係ありません。
創作意欲の尽きない加藤さんですが、他からの要望に応じて制作するのも楽しいようです。
東京が拠点のきたがわゆきこさん。
右手は「夢の花」です。
「ステンドグラスのような透明感を布で出したい」という思いから、ステンレスに麻を粗く編み込み、自ら染めたオーガンジーを重ねて色を表現しています。
作品によっては釣り用のテグス糸も用いているとのことでした。
左側の窓際に見えるのは「いつかの風景」シリーズで、計5点あります。
盤景のように、布を使って風景を表現していて、なんだか懐かしい感じがつたわってきます。
左下の②は小さな島、右下の③は小舟ですね。
窓から入る光によって見え方が大きく変わります。午前中が美しいそうですが、暗くなってからは別の美しさがあるそうです。
「いつかの風景」⑤です。
この灯台のある風景を見て
「なんだか北欧っぽいなあ。ムーミンやしきを思い出すなあ」
などと思っていたら、きたがわさんはアイスランドやスウェーデンに行ったことがあり、いまもスウェーデン語を習っているそう。スウェーデンでは芸術交流プログラムなどで何度もグループ展に参加しています。
左は「Moon Light (Light)」。
下にヘッドフォンが見えますが、今回の展示のために、札幌のバンド「sleepy.ab(スリーピー)」のギタリスト山内憲介さんが作曲した音源が聴けます。
インストゥルメンタルで、パーカッションも入っていないようでしたが、オリジナリティに富んでいるのに聴きやすい、良い音楽だと思いました。
きたがわさんの個展なら会場で流すのでしょうが…。
ギャラリー前の木にも、きたがわさんの色とりどりの布が細工してあります。
そういえば「いつかの風景」にも、枝が使われていました。
きたがわさんは、枝と枝のあいだのかたちに着目して布をつけてみるというあそびを、NHK教育テレビ「キミなら何つくる?」に出演して行ったこともあるそうです。
最後は大阪の岸田めぐみさん。
岸田さんの作品はすべて眼鏡をあしらっています。
小さい作品にも、いずれも眼鏡がかかっており、徹底ぶりがうかがえました。
2024年11月10日(日)~16日(土)午前10時~午後5時、17日にワークショップ
GALLERY kamokamo (札幌市南区真駒内幸町1-1-15 Instagram : https://www.instagram.com/studiokamokamo/)
□ kato-yuko.com
□岸田めぐみWebsite https://kissi-meg-web.jimdosite.com/
岸田めぐみ Instagram @kissi_meg
□Yukiko Kitagawa https://yukiko-k.com/
きたがわゆきこ Instagram @yuki__kita
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・地下鉄南北線「真駒内駅」から約750メートル、徒歩9分