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■チームラボ★アイランド 踊る!美術館と、学ぶ!未来の遊園地 (2017年1月1~17日、札幌)

2017年01月17日 01時17分17秒 | 展覧会の紹介-現代美術

 大がかりな美しいコンピュータグラフィックスでインタラクティブアートを展開する日本の「チームラボ」の展覧会が札幌でひらかれている。
 ファクトリーホールの「踊る! 美術館」、アトリウム1階の「学ぶ!未来の遊園地」に各3点が展開されている。

 会場は撮影オーケーだから、こうやってブログに写真をはることもできるし、チームラボの作品は大量にユーチューブにアップされているから、アウトラインをつかむことはできる。 


追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、そして分割された視点 - Light in Dark


 でも、こればっかりは、実際に体験しないと、わからないと思う。
 この作品は、五つの横長のスクリーン(奥、中、手前)に映像が投影されるもので、アニメ「超時空要塞マクロス」などで有名になった「板野サーカス」へのオマージュだという。

 たしかに、視点が自在に移動する立体的な描写を見ていると、船酔いしそうだ。
 光線が走り、カラスが舞う。宇宙空間が見る人を取り囲むように。


 テレビなどでは「学ぶ! 未来の遊園地」がよく紹介されていることもあって、子ども向けのイベントだと思っている向きも少なくないようだが、大人が行っても楽しめる。
 というか、「踊る! 美術館」のほうは、主催者による長大なテキストが会場にパネル展示されており、大人こそが見るべきだと思う。
 西洋的な透視図法による世界認識を相対化する、興味深いテキストなのだが、会場ではなかなか落ち着いて読むことができないので、これは図録か小冊子にして、じっくり読めるようにしてもらいたかった。




 順番が前後したが、最初に見られるのは「花と人、コントロールできないけれども、共に生きる」。

 さまざまな花の絵が投影された壁に手をかざすと、花が開いたり散ったりする。




 二つめの作品「世界はこんなにもやさしく、うつくしい」。

 これは、映像で上からおりてくるさまざまな漢字(花、虹、金など)に手をかざすと、それに対応する動画が画面のどこかに現れるというもの。
 いったい、どういう仕組みなんだろうと、あらためて考えさせられる。

 筆者は同作品を茨城県の県北芸術祭で見ており、しかも、札幌では1面のスクリーンだったのに対し、茨城ではこの3倍ほどの広さの部屋をぐるりと取り囲んでいたので(しかも観客は数人)、正直、今回はちょっと物足りなかったです(笑)。

 茨城の展示に比べて今回不満だったのは、それぞれのスクリーン(投影壁面)の高さが足りなかったこと。
 これが足りないと、「作品に包み込まれる」という感覚が不足するのだ。

 とはいえ、チームラボ以外では、まず体験することができないアートであることは確かだ。


 さて、アトリウム奥の「学ぶ! 未来の遊園地」のほうは、それほど広い空間ではなく、大勢の親子連れでごった返していた。
 子供向きなのは、こちらの会場のほうだろう。



 とくに人気だったのは「お絵かき水族館」。
 クラゲやイカ、カメなどの輪郭があらかじめ描かれた紙が用意されており、これにクレヨンで自由に絵を描いて、係員に渡す。
 係員がスキャナーで取り込むと、壁面の映像に、さっき描いたクラゲやイカが登場して、ランダムに泳ぎだすのだ。

 筆者が描いたクラゲも、その後数分間、横長の大きなスクリーンでゆらゆらと漂っていた。
 しだいに右へと移っていき、画面から姿を消して、あらたにほかの人が描いた魚介類に場所をゆずっていくのだ。



 これは「つくる! 僕の天才ケンケンパ」。
 ケンケンパという、子どもの遊びとインタラクティブアートを合体させたもの。

 自ら、ケン、ケン、パのパターンを作ることもできるし、作らなくてもケン、ケン、パを足で踏んで遊ぶこともできる。

 さすがにこれは、大人はやっていませんでした。

 靴をはいたまま体験できるのがポイント高い。
 海外では「靴を脱ぐ」という作品は提示しづらいというのも一因なのかもしれない。

 ほかに「小人が住まうテーブル」も、大勢の人が、天井から投じられる映像に戯れていた。


 いずれにしても、ここに現代アートの最先端のひとつがあるのは間違いない。
 油絵もブロンズもかつては最先端のテクノロジーだった。それを思えば、いま現在の最先端テクノロジーを駆使した作品を見ないという手はない。
 しかも、最先端であることによって、従来の「ものの見方」をアップデートしようという意図が込められた作品なのだから。

(追記)両会場を結ぶトンネル内にも作品があります。お見逃しなく。

2017年1月1日(日)~17日(火)午前10時~午後8時(入場午後7時半)
第1会場:サッポロファクトリーホール、第2会場:サッポロファクトリー アトリウム1階(札幌市中央区北2東4)

一般1200円、小学生以下700円
親子ペアチケット1200円、アフター5ペアチケット(午後5時以降大人2人)1600円





http://www.team-lab.com/

□札幌展のサイト http://exhibition.team-lab.net/sapporo/


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