木版をフロッタージュしたり、昆虫の細密画を描いたり、一般的な画家とはちょっと異なる作品を、個展や毎年1月のグループ展「New Point」で発表してきた菅定さん。
昨年8月から迷路づくりにハマり、ちょっと中断した時期はありますが、毎日ひとつずつタブレット端末で制作して、インスタグラムで発表しているというからびっくりです。
朝起きてかきはじめ、昼休みに続きを作り(菅さんは札幌で団体職員をしているそうです)、帰宅後に完成させるとのこと。
筆者も昔、迷路づくりに凝っていた時期があるので、気持ちはわかるのですが、15カ月も続けているのはすごいと思います。
会場には、油彩に描き起こしたもの、凹凸のある木版にしたものも含めて38点が展示されています。
冒頭画像の下段中央は、米国の抽象画家フランク・ステラが死去した今年5月に追悼の意味をこめて制作したもの。彼が1967年ごろに取り組んでいたミニマルアートの作品と同じく白い線を塗りのこして描いており、アートクラスタには絶対に受けると思うのですが「反響はなかった」と菅さんは言います。
迷路をつくるにあたっては、通路をほかの通路にくぐらせたり、またがせたりといった「立体化」はしないことを、自分に決めているそうです。
それ以外は、さまざまな形状をしていて実に多彩です。
ところで、個人的な話になりますが、若いころはともかく近年は、遊びやゲームに興じることのほとんどない日々が続いています。
電車などに乗ると、となりにすわった人がスマートフォンでゲームなどをしているのをよく見かけます。
それはべつに人の自由なのですが、筆者はだいたい本を読んでいるか外の景色を見ているかのどちらかなのです。
筆者は貧乏性で、その傾向は時間についてもおなじです。ゲームなどをしている暇があったら、じぶんに不足している知識や教養を得なくては…とあせってしまうのです。
われながら、おもしろみのない人間だと思いますが、総じて自分に自信がまったく持てず、足りない頭脳を補うには勉強するしかないので、いたしかたありません。
そういうわけで、会場に来る前は、迷路と聞いてもそんなものを解くのは時間の無駄ではないかという気が、正直していました。
しかし、実際に解いてみると、迷路を解く行為ととってもよく似ている行為があることに気づきます。
それは絵画を見る際に視線を動かすことです。
絵画にとって視線誘導は重要な要素であるのは、いうまでもありません。
かつて絵画を語る際はフォルムや色彩のことが中心でしたが、ここ最近は、見る人の視線をいかに長く滞留させ、いかにスムーズに回遊させるかが、重んじられるようになってきているのではないでしょうか。
そうなると、迷路の順路を目で追うことは時間の無駄で、画布に描かれた風景や人物像を目で追うことは意義のある活動であるということになりますが、これはいかにも無理な理屈です。
作者は言います。
つまり、迷路を解くことと、絵画をじっくりと見ることとは、つまるところ同じ種類の行為なのです。
菅さんは愛知県立芸術大学の大学院を修了したのち、北海道に渡り、北見、岩見沢、上川管内美深町などに住んできました。筆者も転勤族だったので、北見で会ったこともあります。
これまた筆者と同じく2022年に札幌に戻り今後は引っ越す予定はないそうです。
2024年11月7日(木)~11月25日(月)午後0時30分~午後10時30分(日月火曜と祝日は~9時)、ラストオーダーはフード午後8時30分、ドリンクは9時30分(いずれも日月火曜と祝日は1時間半繰り上がり)
CAFÉ ESQUISSE カフェ エスキス(札幌市中央区北1西23)
Instagram : @sadamukan
https://www.facebook.com/sadamukan505/
過去の関連記事へのリンク
Gift 展 (2016、画像なし)
■木版フロッタージュの菅定(かん・さだむ)展 (2014)
【告知】菅定作品展 (2011、岩見沢)
■菅定 新作展 vol.2 (2010、北見)
Facebook : https://www.facebook.com/CAFE.ESQUISSE
Instagram : @cafeesquisse
Twitter(現X) : @cafeesquisse
・地下鉄東西線「円山公園駅」5番出入り口から約460メートル、徒歩5分
・同「西18丁目駅」1番出入り口から約570メートル、徒歩8分
・ジェイ・アール北海道バス「北1条西20丁目」から約320メートル、徒歩4分
※ていねライナー、都市間高速バスは通過
・ジェイ・アール北海道バス、中央バス「円山第一鳥居」から約460メートル、徒歩5分
※全便が止まります
・ジェイ・アール北海道バス、桑11 桑園円山線(JR桑園駅-円山公園駅ー啓明ターミナル)で「南1条西22丁目」降車、約230メートル、徒歩3分
昨年8月から迷路づくりにハマり、ちょっと中断した時期はありますが、毎日ひとつずつタブレット端末で制作して、インスタグラムで発表しているというからびっくりです。
朝起きてかきはじめ、昼休みに続きを作り(菅さんは札幌で団体職員をしているそうです)、帰宅後に完成させるとのこと。
筆者も昔、迷路づくりに凝っていた時期があるので、気持ちはわかるのですが、15カ月も続けているのはすごいと思います。
会場には、油彩に描き起こしたもの、凹凸のある木版にしたものも含めて38点が展示されています。
冒頭画像の下段中央は、米国の抽象画家フランク・ステラが死去した今年5月に追悼の意味をこめて制作したもの。彼が1967年ごろに取り組んでいたミニマルアートの作品と同じく白い線を塗りのこして描いており、アートクラスタには絶対に受けると思うのですが「反響はなかった」と菅さんは言います。
迷路をつくるにあたっては、通路をほかの通路にくぐらせたり、またがせたりといった「立体化」はしないことを、自分に決めているそうです。
それ以外は、さまざまな形状をしていて実に多彩です。
ところで、個人的な話になりますが、若いころはともかく近年は、遊びやゲームに興じることのほとんどない日々が続いています。
電車などに乗ると、となりにすわった人がスマートフォンでゲームなどをしているのをよく見かけます。
それはべつに人の自由なのですが、筆者はだいたい本を読んでいるか外の景色を見ているかのどちらかなのです。
筆者は貧乏性で、その傾向は時間についてもおなじです。ゲームなどをしている暇があったら、じぶんに不足している知識や教養を得なくては…とあせってしまうのです。
われながら、おもしろみのない人間だと思いますが、総じて自分に自信がまったく持てず、足りない頭脳を補うには勉強するしかないので、いたしかたありません。
そういうわけで、会場に来る前は、迷路と聞いてもそんなものを解くのは時間の無駄ではないかという気が、正直していました。
しかし、実際に解いてみると、迷路を解く行為ととってもよく似ている行為があることに気づきます。
それは絵画を見る際に視線を動かすことです。
絵画にとって視線誘導は重要な要素であるのは、いうまでもありません。
かつて絵画を語る際はフォルムや色彩のことが中心でしたが、ここ最近は、見る人の視線をいかに長く滞留させ、いかにスムーズに回遊させるかが、重んじられるようになってきているのではないでしょうか。
そうなると、迷路の順路を目で追うことは時間の無駄で、画布に描かれた風景や人物像を目で追うことは意義のある活動であるということになりますが、これはいかにも無理な理屈です。
作者は言います。
迷路を目で探索する、つまり、経路を視覚をつかってなぞることが、画面の細部まで観察することにつながり、より長い時間をかけて絵と向き合い、画面と対峙することになる。この事によって、観者は作者が描いている行為をより追体験しやすくなるのではないかと考えています。
つまり、迷路を解くことと、絵画をじっくりと見ることとは、つまるところ同じ種類の行為なのです。
菅さんは愛知県立芸術大学の大学院を修了したのち、北海道に渡り、北見、岩見沢、上川管内美深町などに住んできました。筆者も転勤族だったので、北見で会ったこともあります。
これまた筆者と同じく2022年に札幌に戻り今後は引っ越す予定はないそうです。
2024年11月7日(木)~11月25日(月)午後0時30分~午後10時30分(日月火曜と祝日は~9時)、ラストオーダーはフード午後8時30分、ドリンクは9時30分(いずれも日月火曜と祝日は1時間半繰り上がり)
CAFÉ ESQUISSE カフェ エスキス(札幌市中央区北1西23)
Instagram : @sadamukan
https://www.facebook.com/sadamukan505/
過去の関連記事へのリンク
Gift 展 (2016、画像なし)
■木版フロッタージュの菅定(かん・さだむ)展 (2014)
【告知】菅定作品展 (2011、岩見沢)
■菅定 新作展 vol.2 (2010、北見)
Facebook : https://www.facebook.com/CAFE.ESQUISSE
Instagram : @cafeesquisse
Twitter(現X) : @cafeesquisse
・地下鉄東西線「円山公園駅」5番出入り口から約460メートル、徒歩5分
・同「西18丁目駅」1番出入り口から約570メートル、徒歩8分
・ジェイ・アール北海道バス「北1条西20丁目」から約320メートル、徒歩4分
※ていねライナー、都市間高速バスは通過
・ジェイ・アール北海道バス、中央バス「円山第一鳥居」から約460メートル、徒歩5分
※全便が止まります
・ジェイ・アール北海道バス、桑11 桑園円山線(JR桑園駅-円山公園駅ー啓明ターミナル)で「南1条西22丁目」降車、約230メートル、徒歩3分