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ブールデル「雄弁」 旭川の野外彫刻(41)

2021年04月23日 17時36分33秒 | 街角と道端のアート
(承前)

 このシリーズ、前回が4月6日のアップで、あまりに間隔が開きすぎてしまったので、ここらで1回投じておこうと思います。

 フランス近代彫刻の巨匠で、ロダン、マイヨールと並び称されるアントワーヌ・ブールデル( Antoine Bourdelle ; 1861~1929年)の登場です。

 道立近代美術館のロビー正面と、旭川、函館、帯広の3美術館の入り口前にどーんと鎮座しているので、道内の美術ファンで知らない人はいないのではないでしょうか。


 ブールデルはロダンの弟子を務めましたが、のちにロダンの影響下を離れ、写実主義とギリシャの理想主義とを兼ね備えたような力強い人物像をつくるようになりました。

 この作品は1923年の制作。

 旭川叢書『あさひかわの彫刻』によると、アルゼンチン建国の父といわれるアルヴェアル将軍の記念像につく4人の勇者のひとりということです。
 道立には「力」、函館には「自由」、帯広に「勝利」が設置されています(函館には、このシリーズとは別に、ブールデルの「サッフォー」も置かれています)。

 ブロンズ製で、375×108×98センチ。
 彫刻の森美術館(箱根)のほか、福岡市博物館には4体がそろっているそうです。

 旭川美術館のオープン時(1982年)の設置で、同館は開館記念展もブールデル展でした。

 しかし、この4体が従者だとしたら、アルヴェアル将軍像ってどれぐらい巨大なんでしょうかね。
 こちらのサイトによると

アルヴェアル将軍の騎馬像のほうも「馬」だけが日本にあります。高崎市の「群馬の森」のなか、群馬県立近代美術館の正面入口近くに置かれている《巨きな馬》がそれです。将軍は乗っていません。>

とのこと。


 それにしても、「雄弁」「力」というタイトルをつけるあたり、近代彫刻の行き方とは非常に異質なものを感じます。
 徳目を擬人化して人間の形にするのは、バロック的な態度といえばいいのでしょうか。
 作品自体は量塊性に富んでいるので、美術館の正面に据えるモニュメンタルなものとしては合っているのかもしれませんが。

 ただ、なんでもかんでも擬人化してしまう昨今の日本のオタク文化とは、案外近いものがあるといえなくもなさそうです。

 はっと開いた右手。
 なにかに呼ばれたように少し上の方を振り返って見るしぐさ。
 そして、向かって左側に立つ石碑のような板。

 いったいなにを表しているのか。
 くわしい解説があれば、読みたいところです。








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