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■齋藤周個展「継ぎ」 (2018年8月15~26日、札幌)

2018年08月26日 17時47分07秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 「50歳の節目の個展です」
という意味のことが案内状に書いてあった。
 人物の後ろ姿のドローイングにカラフルな色班を組み合わせるなどして、時にはギャラリーの壁に直接ペインティングする試みも交えるなど、コンスタントな活動を続けてきた齋藤周さんもそんな年齢になったのかと、うたた感慨を禁じ得ない。
 この数年、齋藤周さんは、家族への思いや記憶などごく個人的な感情をベースにした絵画が多くなっている。
 やはり画家・高校教師であった父親(全道展会員の斎藤洪人さん)が亡くなるなど自身にとって大きな節目が訪れているからだろう。

 展示されているのは37点。
 たとえば、いちばん大きな絵が、札幌市白石区南郷にあって20年ほど前に取り壊したアトリエ兼住宅であるとか、絵に登場するニセコアンヌプリはかつて父親と行ったスキー場のある山だとか、作品の背景にある画家の個人史を知っていれば、より理解が深まるかもしれない。羊蹄山の絵も、ニセコから見たものだという。

 しかし、そういう事情がわからないと鑑賞できない絵ではないだろう。
 齋藤さんの絵は、単なる種明かしで終わってしまう絵画ではなく、なにも事情を知らない人が見てもおそらく、なにかしら感情の震えのようなものがつたわってくる絵ではないかと思う。



 斎藤洪人さんは、ニセコの山などを大まかな筆遣いで描き、風景と抽象の中間を行く絵を描く人だった。
「親父が風景画家だったから(自分は)風景を描かなかった。50歳になって、やっと素直になったんですよ」
と齋藤周さんは話す。

 ただ、筆者は、2003年に石狩のArt Warm で開いた個展「横移動の座標軸」あたりから、彼の絵に風景画的なものを感じていた。
 その個展自体が、横に細長い絵がつなげて展示されるパノラマ的なものだったということもあるが…。





 2階スペースにあった、書物を重ねた様子を描いた絵。
「継ぎ」というテーマに、本はふさわしいモチーフといえるかもしれない。知の入れ物として、後世に引き継いでいくものだから。

 まとまりを欠く文章でごめんなさい。
 

2018年8月15日~26日(日)午前11時~午後7時、月曜休み、
TEMPORARY SPACE(札幌市北区北16西5)

http://shusaito.com/

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