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■富田知子展 (4月26日まで)

2008年04月25日 22時23分55秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 富田さんは札幌在住で、行動美術と全道展の会員。
 時計台ギャラリーでは5年ぶりの個展となる。
 その間、2004年にはギャラリーどらーる(閉廊)で、05年には深川のアートホール東洲館や函館で個展をひらいているが、筆者は見ていない。

 美術作品は見た瞬間が勝負だ-という意味のことを言った美学者がいた。
 良し悪しは一瞬でわかる、というのである。
 富田さんの絵を見ると、そのことばを思い出す。
 彼女の絵は、見てただちに、作品が持っている力が、こちらにずしんと伝わってくるような絵だ。
 良さを言うのに、くどくどと説明はいらないような気がする。
 色数をしぼって画面に統一感を出していることや、すばやい速度の筆あとや飛沫が縦横無尽に躍っていることや、重厚な色とシンプルなかたちでトルソを描いて人間存在を象徴させていることや、マチエールの堅牢さなどについていくら書いても、富田さんの絵の良さについては、なにも語れていないように思うのだ。




 色数が少ないといっても、たぶんこの滝のような「白」の背後に、いろいろな色が隠されているように思う。
 また、富田さんの絵には羽根を着けたトルソ(人物)がよく登場するが
「天使というよりも希望の象徴のようなものです」
と富田さんは言う。
 なるほど、両翼のついた人物は誰もいない。

 背後には格子状に線が縦横にひかれている。
 マスキングテープをそのまま使うと、冷たく機械的な感じになるので、わざとテープのふちが直線にならないように切って使い、しかも格子の間隔をすこしずつ変えて、変化を出している。




      

 「渇いた伝言」。
 2006年に惜しまれつつ早世した美術家、坂本順子さんへの鎮魂を込めて描かれた作品という。


           

 小品が見られるのも、公募展ではない、個展ならではの楽しみ。
 右の作品は「風景」。
 デフォルメされた木々がいかにも富田さんらしい。


           

 こちらはコラージュ。
 指の間に目つきの鋭い猫の写真が組み込まれている。

 小品は支持体に紙が使われているものが多いが、画材は油絵の具。「アクリルって、使ったことないんですよ」


 出品作は次の通り。
「葡萄のある静物 II」27.3×22
「空箱と少女」
「雲と天使」27.3×22
「不思議な今」26×49
「作品」35×23
「Dream Box II」46×31
「追憶」39×39
「青いリズム」35×36
「混沌」32×33
「光の領域 I」44×52
「渇いた領域」182×227
「黒い雲」162×227
「渇いた伝言」182×227
「Dream Box I」31×31
「渇いた伝言 2007」194×194
「空飛ぶ箱」29×50
「葡萄のある静物 I」22×15
「黒い雲」30F
「白い雲たち」44×52
「気の領域 II」19×39
「風景」30F
「渇いた伝言 2005」182×227
「渇いた伝言」194×130 


08年4月21日(月)-26日(土)10:00-18:00(最終日-17:00)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A


□函館での個展(絵画堂のサイト) http://www10.plala.or.jp/kaigadou/tenrankai26.htm

行動展北海道地区作家展(08年2月)
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