北海道の誇るアートパフォーマンス集団、近未来美術研究所が、ことしもロボット「マザー2」を会場にくり出しました。
このロボットは東洋大と共同開発したもので、研究員がキーボードを打ったことばが、顔面のところに表示されるとともに、いかにもひと昔前のアニメに登場するロボットふうの声で発せられます。
設定としては、「マザー2」は、人とのコミュニケーションが苦手な息子たち(=研究員)のかわりに「友ダチニナッテクダサイ」と、人々に呼びかける-ということのようです。
ART-MAN Galleryのブースからマザー2とともに出動する研究員たち。
「これ、何?」
と不思議そうに見つめる人々。
でも
「友ダチニナッテ」
という呼びかけには、ひいてしまいます(←そりゃ、そうだ)。
かんたんな会話を交わした後、友だちになった証に、握手をします。
マザー2からにょっと手が出てくる仕掛けはすごい。
筆者はわらって見ていましたが、よく考えるとわらってる場合じゃないですね、このパフォーマンス。
ひきこもりとかニートとかが社会現象となっている現代日本では、他人とふれあえず、パソコンのキーボードでしかじぶんの思いを吐露できない人間というのは、シャレじゃないですもん。
そして、そういう息子たちを、社会に突き放すのではなく、代わりに「友だちになって」と呼びかける母親の過保護ぶりも、なにやら日本の世相を暗示しているようです。
さまざまなハイテク機器が登場して人と人の距離を縮めたように思われる現在、かえって、それらの機器のためにコミュニケーションが不全となるという皮肉な状況を、近美はするどく照射しているのではないでしょうか。
□近未来美術研究所 http://www.kinbi.net/
□札幌インタビューマガジンの関聯ファイル
□You tube 昨年のライジングサン・ロックフェスティバルの映像