大滝村の時代から毎年開かれている全国規模の公募展。
ことしは、特別審査員に重要無形文化財保持者の伊勢崎淳氏をむかえたことが影響してか、昨年より4割も多い140点の応募がありました。
ちなみに、もうひとりの特別審査員にベテラン彫刻家の米坂ヒデノリさん、審査委員長は毎年、道内の女性陶芸家の草分けである中村照子さんです。
財政難の自治体が増えて文化・芸術の予算削減が続く中で、合併後も変わりなく開催されていることをまずは歓迎したいと思います。(このままつづけばいいんですけどね…)
今回の特徴は、上位入賞作品がほとんど皿か、平らな鉢になったこと。
中村さんは「偶然です」と苦笑されていました。
大賞の小山耕一さん(東京)「銀彩滴垂文大皿」は、図録の伊勢崎さんの総評によると
「上絵をした後、樹脂で文様を作りいらないところをフッ素で溶かして除去する」
という、独自の技法で作られているとのこと。
渋く沈潜した色合い。堂々たる大皿です。
金賞は小山真吾さん(岡山)「備前緋襷(ひだすき)大鉢」。
白っぽい土の部分と、緋襷のオレンジ色の対照があざやかな、オーソドックスな備前です。
銀賞は高井秀樹さん(函館)「灰釉結晶彩(けっしょうさい)平鉢」。
春の伝統工芸新作展に出ていたものと類似作品だと思います(記憶違いだったらすいません)。
輪郭のぼけた、うろこのような文様が、中央に向かうにつれて雲のひび割れのような文様にうつろっていきます。これが、貫入と微妙な響き合いを生んでいます。
以上が上位3点です。
あとは、筆者が気に入った作品について。
室蘭民報社賞の岩井純さん(仙台)「六華(りっか)天目釉鉢」。
図録の写真ではまったくわかりませんが、ものすごく深い群青でした。しかも、その群青の中に、銀の星がちらばっているのです。中央部の白っぽい部分との境目あたりの青もみごと。
これも図録では表現しきれていませんが、北海道放送社賞の飯村富皇(とみお)さん(茨城県笠間市)「辰砂(しんしゃ)大壷」の朱色もあざやか。
辰砂ならではの色合いでした。ただ明るいだけではなく、下部ではしだいに黒っぽくなっていくのがうまいです。
伊達商工会議所会頭賞の坂上竹造さん(大阪府和泉市)「焼締窯変線彫文(せんぼりもん)壺」。シンプルな壺です。釉薬は薄い織部でしょうか、垂れ具合が、オーソドックスではありますが、表面に変化を生んでいます。
一般入選者では、加茂千秋さん(旭川)「容」が、この展覧会では少数派のオブジェ。ユーモラスで、道内でも、こういう作風の人はあまりいないと思います。
上田文子さん(網走管内美幌町)「象嵌「モレウ」広口壺」。アイヌ文様を取り入れ、すっきりとまとめています。
考えてみれば、服飾分野やアクセサリーではよく見るこの文様、陶芸ではめずらしいかもしれません。
上田さんは昨年、「吹墨遠山壺」で銀賞にかがやいています。その上でなおあらなた展開に挑む姿勢には、敬意を表します。
このほか、海藤慎治さん(札幌)「片手付やぶれ花器」の大胆な造形、伯谷巌さん(同)「雪の詩」の北国らしい景色、齋藤智佳さん(苫小牧)「唐草水差」のかわいらしい造形などが、目を引きました。
07年9月29日(土)-10月14日(日)10:00-17:00
大滝工芸館(伊達市大滝区三階滝町)
■2006年(作品の画像なし)
ことしは、特別審査員に重要無形文化財保持者の伊勢崎淳氏をむかえたことが影響してか、昨年より4割も多い140点の応募がありました。
ちなみに、もうひとりの特別審査員にベテラン彫刻家の米坂ヒデノリさん、審査委員長は毎年、道内の女性陶芸家の草分けである中村照子さんです。
財政難の自治体が増えて文化・芸術の予算削減が続く中で、合併後も変わりなく開催されていることをまずは歓迎したいと思います。(このままつづけばいいんですけどね…)
今回の特徴は、上位入賞作品がほとんど皿か、平らな鉢になったこと。
中村さんは「偶然です」と苦笑されていました。
大賞の小山耕一さん(東京)「銀彩滴垂文大皿」は、図録の伊勢崎さんの総評によると
「上絵をした後、樹脂で文様を作りいらないところをフッ素で溶かして除去する」
という、独自の技法で作られているとのこと。
渋く沈潜した色合い。堂々たる大皿です。
金賞は小山真吾さん(岡山)「備前緋襷(ひだすき)大鉢」。
白っぽい土の部分と、緋襷のオレンジ色の対照があざやかな、オーソドックスな備前です。
銀賞は高井秀樹さん(函館)「灰釉結晶彩(けっしょうさい)平鉢」。
春の伝統工芸新作展に出ていたものと類似作品だと思います(記憶違いだったらすいません)。
輪郭のぼけた、うろこのような文様が、中央に向かうにつれて雲のひび割れのような文様にうつろっていきます。これが、貫入と微妙な響き合いを生んでいます。
以上が上位3点です。
あとは、筆者が気に入った作品について。
室蘭民報社賞の岩井純さん(仙台)「六華(りっか)天目釉鉢」。
図録の写真ではまったくわかりませんが、ものすごく深い群青でした。しかも、その群青の中に、銀の星がちらばっているのです。中央部の白っぽい部分との境目あたりの青もみごと。
これも図録では表現しきれていませんが、北海道放送社賞の飯村富皇(とみお)さん(茨城県笠間市)「辰砂(しんしゃ)大壷」の朱色もあざやか。
辰砂ならではの色合いでした。ただ明るいだけではなく、下部ではしだいに黒っぽくなっていくのがうまいです。
伊達商工会議所会頭賞の坂上竹造さん(大阪府和泉市)「焼締窯変線彫文(せんぼりもん)壺」。シンプルな壺です。釉薬は薄い織部でしょうか、垂れ具合が、オーソドックスではありますが、表面に変化を生んでいます。
一般入選者では、加茂千秋さん(旭川)「容」が、この展覧会では少数派のオブジェ。ユーモラスで、道内でも、こういう作風の人はあまりいないと思います。
上田文子さん(網走管内美幌町)「象嵌「モレウ」広口壺」。アイヌ文様を取り入れ、すっきりとまとめています。
考えてみれば、服飾分野やアクセサリーではよく見るこの文様、陶芸ではめずらしいかもしれません。
上田さんは昨年、「吹墨遠山壺」で銀賞にかがやいています。その上でなおあらなた展開に挑む姿勢には、敬意を表します。
このほか、海藤慎治さん(札幌)「片手付やぶれ花器」の大胆な造形、伯谷巌さん(同)「雪の詩」の北国らしい景色、齋藤智佳さん(苫小牧)「唐草水差」のかわいらしい造形などが、目を引きました。
07年9月29日(土)-10月14日(日)10:00-17:00
大滝工芸館(伊達市大滝区三階滝町)
■2006年(作品の画像なし)
おおたき陶芸展は、紅葉の時期ってのがいいです。名所がすぐそばだし。
洞爺もつづけばいいなあ。