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■いつつがり 其の壱 (2024年12月3~8日、札幌)

2024年12月06日 08時16分26秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
小川 真由美:油彩
久藤 エリコ:切り絵
孫田 敏:写真
楓月まなみ:造形アート
森吉芽衣:パッチワークキルト

という、珍しい顔合わせによる5人展。

 特徴的なことが二つあります。

・個々の作品の題が一切ないこと
・5人それぞれの作品が順番に陳列されているのでは必ずしもなく、2人の作がまじりあうように展示されていること

 違う人の作品が重なって見えることで「化学反応が起きておもしろい空間ができれば」と孫田さんは話します。
 
 
 孫田さんは、もともと大学の林学科を卒業して森林の現場で働いていた方で、その経歴を生かして、自分で採取した植物をスキャナーで画像化したものを発表しています。

 今回は珍しく、一般的なカメラで撮った風景というかスナップを9枚並べました。
 JR根室線の車窓から撮った海などがアクリル板におさまっています。
 
  
 大きな窓が西4丁目通りに面しているというギャラリーエッセの特質を生かし、ギャラリーの中からでも、外側の街路からでも見えるようにしたかったそうです。
 たしかにこういう展示は、ギャラリーエッセだからできたといえます。

(ただし、筆者が訪れた昼過ぎは逆光のため、外からはあまりはっきりとは見えなかった) 
 
 孫田さんは他に、大きな紙や布にプリントした写真作品も1点ずつ出品し、それぞれ久藤さんと楓月さんの作品のすぐ近くの天井からつるしています。 
 
 
 会場に入った瞬間、孫田さんによるスキャナーアートだと勘違いしたのは小川さんの絵画3点でした。

 小川さんは京都造形芸術大(現京都芸大)の通信制を卒業していますが、横浜や京都のグループ展に参加したぐらいで、札幌の同大OB展などには出品したことがありません。
 たまたまひょんなことから孫田さんと知り合い、初めて札幌で発表することになったそうです。

 
 
 遠目には写真のように見えますが、近づいて眺めると筆触の跡が意外とはっきりしています。
 
 おだやかな光のなかで、存在感をしっかりとたたえるまつぼっくりだと思います。
 
 
 森吉さんも、孫田さんがひょんなことで知り合った人。

 女子美大を卒業した由で、いまはパッチワークキルトを作っています。

 小川さんと同様、札幌では発表した機会がほとんどないとのこと。

 米国のコンテストで入賞した経験もあるとのこと。
 筆者はこの方面には疎いのですが、右側の作品(冒頭画像参照)は青系の正方形でうまくまとめています。
 縫製も丁寧で、布のたわみなどがありません。
 
 
 一方、久藤さんと楓月さんは新道展会員です。
 各種グループ展にも、非常に精力的に参加しています。
 
 久藤さんは以前から切り絵に取り組んでいます。
 この数年は抽象的な文様を切りぬいた紙を天井からつるし、インスタレーションとして発表しています。
 
 今回は孫田さんの写真プリントもいっしょにつり下げられていて、合作のようにも見えています。
 
 
 床や壁に反射する影も見どころです。

 また、これもどの会場でも共通していますが、空調でゆらゆらゆれるのも彼女の作品の特徴です。

 作者にこっそり教えてもらったのですが、紙にすこしまるみをつけることで、空調の風を受けやすくしているとのことでした。
 
 
 楓月さんのインスタレーションは、天井部分はネットと、シフォンという布、それにリボンで作られています。

 床置きの部分には、電動ファンが仕込まれていて、かすかな風が送られています。
 
 
 壁側に、孫田さんの布による大型プリント作品がつり下げられています。

 薄い布を通して、楓月さんの作品や会場を透かし見ることもできます。
 
 楓月さんの作品はほかにも会場のあちこちにありました。

 次の画像は、レジンによる作品。
 会場入り口附近の壁に貼ってありました。

 
 
 
2024年12月3日(火)~8日(日)午前10時~午後6時(最終日~5時)
GALLERY ESSE (札幌市北区北9西4 レ・ノール北9条)

□孫田さんの Instagram : @sats_s6713
□久藤さんのサイト http://www7.plala.or.jp/LivingROOTS/index/

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