梅津薫(岩見沢)、川本ヤスヒロ(石狩)、斉藤嗣火(札幌)、田崎謙一(江別)、藤井高志(北広島)、福島幸寿(札幌)、渡辺貞之(深川)の7氏が、毎年ひらいている絵画展。昨年までは「グループ櫂」でしたが、今年から「グループ」の文字がなくなりました。
7人全員が全道展会員とあって、見ごたえのある展覧会になったと思います。
田崎さんは「clone baby」シリーズを5点。
歪んだかたちにデフォルメされた赤ん坊(あるいは胎児)と、画面全体に飛び散る絵の具の飛沫。
2003年からつづいている連作ですが、何度見てもドキッとします。
頭が異様なかたちに伸びたり、目鼻が複数あったりする畸形の赤ん坊は、現代人の象徴のように感じられるからです。
川本さんは、以前からよくモティーフにしているしゃれこうべの作品と、動物の頭骨の絵。
「西方」という題には昨年亡くなり、ことし札幌と釧路で遺作展がひらかれている父親ヒロシさんへの思いがこめられているのでしょう。
川本さんの絵は、分厚い塗りと、骨だけに的を絞ったシンプルな構図に、つねに「人の生とは? 死とは?」という本源的な問いをはらませ、重々しいです。
しばらく見ないうちに画風がやや変わったように感じられたのは福島さん。
今回は「時刻」と題した女性像ですが、裸婦だけでなく、着衣の女性ふたりを描いた絵もあり、ゆるやかな空気感が伝わります。
藤井さんはリアリズム的な絵を描きます。
近年は、風景と人間を組み合わせた絵に取り組んでいます。
空がいずれもアイボリーホワイトに、平滑に塗られているのが特徴です。
「流れていく時間のようなものを表しているつもり。また、以前は隅々まで細かく描いていたけれど、全体のなかで白く抜くところも必要なので」
と藤井さん。
「赤平の思い出 配給所のあった頃」は、赤平に住んでいた時代を思い出しながら、昔の弟と母親を描いた作品で、配給所とは、炭鉱地区にあった売店のようなものだそうです。
B室にうつります。
梅津さんは、唯一風景画を制作しています。
ただし、ご本人が「心象風景画」と称しているとおり、一般的な風景画ではありません。
草むらを近くから描いたような絵です。植物の生命力のような、原初的な力が、秘められているように思えます。
個展を終えたばかりの斉藤さんが新作をそろえてきたことには敬意を表したいと思います。
「碧風」と題した絵が2点あり、1点は背中合わせに立つふたりの女性、もう1点は大きな車輪と3人の女性を描いています。人物と機械、動物を組み合わせて画面を構築してきた斉藤さんにはめずらしく、古典的な西洋画ふうの端正な作品だと思います。
最後に渡辺さん。
子どもたちの群像を、モノクロームを主調に描いています。
よく見ると、羽があったり、頭に小さな角のはえている子もいます。
遊んだり食事をしている子どもたちは、無邪気で天真爛漫というよりは、どこか影があり、おのずと大人社会の諷刺のようなところもあります。
7月31日(月)-8月5日(土)10:00-18:00(最終日-17:00)
札幌時計台ギャラリーA・B室(中央区北1西3 地図A)、
9月2日(土)-19日(火)10:00-18:00、月曜休み
アートホール東洲館(深川市1-9-19、深川駅前)・うなかがめーゆの美術館(深川市9-17-44)=月・金曜休み=
■第1回展(03年)
7人全員が全道展会員とあって、見ごたえのある展覧会になったと思います。
田崎さんは「clone baby」シリーズを5点。
歪んだかたちにデフォルメされた赤ん坊(あるいは胎児)と、画面全体に飛び散る絵の具の飛沫。
2003年からつづいている連作ですが、何度見てもドキッとします。
頭が異様なかたちに伸びたり、目鼻が複数あったりする畸形の赤ん坊は、現代人の象徴のように感じられるからです。
川本さんは、以前からよくモティーフにしているしゃれこうべの作品と、動物の頭骨の絵。
「西方」という題には昨年亡くなり、ことし札幌と釧路で遺作展がひらかれている父親ヒロシさんへの思いがこめられているのでしょう。
川本さんの絵は、分厚い塗りと、骨だけに的を絞ったシンプルな構図に、つねに「人の生とは? 死とは?」という本源的な問いをはらませ、重々しいです。
しばらく見ないうちに画風がやや変わったように感じられたのは福島さん。
今回は「時刻」と題した女性像ですが、裸婦だけでなく、着衣の女性ふたりを描いた絵もあり、ゆるやかな空気感が伝わります。
藤井さんはリアリズム的な絵を描きます。
近年は、風景と人間を組み合わせた絵に取り組んでいます。
空がいずれもアイボリーホワイトに、平滑に塗られているのが特徴です。
「流れていく時間のようなものを表しているつもり。また、以前は隅々まで細かく描いていたけれど、全体のなかで白く抜くところも必要なので」
と藤井さん。
「赤平の思い出 配給所のあった頃」は、赤平に住んでいた時代を思い出しながら、昔の弟と母親を描いた作品で、配給所とは、炭鉱地区にあった売店のようなものだそうです。
B室にうつります。
梅津さんは、唯一風景画を制作しています。
ただし、ご本人が「心象風景画」と称しているとおり、一般的な風景画ではありません。
草むらを近くから描いたような絵です。植物の生命力のような、原初的な力が、秘められているように思えます。
個展を終えたばかりの斉藤さんが新作をそろえてきたことには敬意を表したいと思います。
「碧風」と題した絵が2点あり、1点は背中合わせに立つふたりの女性、もう1点は大きな車輪と3人の女性を描いています。人物と機械、動物を組み合わせて画面を構築してきた斉藤さんにはめずらしく、古典的な西洋画ふうの端正な作品だと思います。
最後に渡辺さん。
子どもたちの群像を、モノクロームを主調に描いています。
よく見ると、羽があったり、頭に小さな角のはえている子もいます。
遊んだり食事をしている子どもたちは、無邪気で天真爛漫というよりは、どこか影があり、おのずと大人社会の諷刺のようなところもあります。
7月31日(月)-8月5日(土)10:00-18:00(最終日-17:00)
札幌時計台ギャラリーA・B室(中央区北1西3 地図A)、
9月2日(土)-19日(火)10:00-18:00、月曜休み
アートホール東洲館(深川市1-9-19、深川駅前)・うなかがめーゆの美術館(深川市9-17-44)=月・金曜休み=
■第1回展(03年)