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■佐藤仁敬/Jinkei Sato Daily Works (2021年3月24~29日、札幌)

2021年04月13日 07時57分36秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 3月末に札幌を訪れた際に見た展覧会の紹介記事が遅れまくっていて、すみません。

 札幌の画家で、単に巧みなだけではない、精神性を感じさせる人物画などを描く佐藤仁敬さん。
 「怖い絵」シリーズで知られる作家中野京子さんの「橋をめぐる物語」の挿絵を担当したり、今年の「昭和会展」に入選を果たしたり、活躍しています。

 今回の個展は、いただいた案内状に、コロナウイルスの感染拡大でステイホーム中に見つけたイメージ―というようなことが書いてあったので、日記のようなおだやかなデッサンっぽい絵が多いのかな~、と予想して足を運んだら、ちがっていました。
 佐藤さんいわく、肉体をつかんだりする「生々しさ」が今回のテーマにあったとのこと。


 とくにこの「portrait」は、絵の具が一部に盛り上がっていて、画面全体に絵の具が厚くなっている絵よりも、鮮烈な印象を見る人に与えます。

 顔の一部が白く抜いてある人物画は、いま世の中で会う人はマスク姿ばかりという実態の反映でしょうか。
 とはいえ、実際に、マスクをした人物の絵を見ることはあまりないだけに、やはりドキッとさせられます。
 つまり、マスク姿イコール顔の一部が描かれていない、という表層的・画像的な類似のレベルではなく、現実の欠落感というか、世界への違和感のようなものが、よぎってくるともいえます。

 花などを描いた作品もありますが、やはり、きれいなだけの静物画とは一線を画しています。

 
 ただ、作者が、コロナ禍の世界に「否(ノン)」を突きつけているとか、そういうパンクロック的な、あるいはダダイズム的な否定的なスタンスかといえば、それも異なるような気がします。
 むしろ、コロナ禍だからこそ、自分の周囲を見つめ直すことで、大事にしたいことや、つながっていきたいものとの関係を確認しなおす、そんな精神的な志向を、描かれた人の痛ましい表情から、むしろ感じられたりもするのでした。

 ちょっと情緒に流れたテキストになってしまいました。
 佐藤仁敬さんの絵画世界については、またじっくりと見直す機会があれば、と思います。


2021年3月24日(水)~29日(月)午前10時~午後10時(土日月~午後7時、最終日展示~5時)
カフェ北都館ギャラリー(札幌市西区琴似1の3)

https://satou-jinkei.tumblr.com/

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