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■山崎亮個展 (5月22日で終了)

2010年09月03日 21時14分14秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 山崎亮さんは札幌在住で、道展油彩部の中堅会員。
 札幌時計台ギャラリーで個展を定期的に開いている画家では、若い方の世代に属するひとりだと思う。

 気楽に見ている立場でいわせてもらえば、山崎さんは何年かに一度、モティーフを変えるので、ギャラリーで退屈しない。
 おなじ画題一筋という人も世の中には多く、それ自体悪いことではないと思うし、また、毎年ころころ作風や題材を変更している人がいればそれはそれでどうかと思うけど、山崎さんのような行き方は大いにあり、だと思う。
 画風は穏健な具象で、安定感ある筆遣いと同様、これは以前から変わっていない。

 近年の山崎さんが手がけているテーマは、飛行機から見た風景や空である。
 当初は、飛行機の窓から見下ろした山岳地帯などの絵が多かったが、しだいに焦点は飛行機そのものにうつってきているようだ。
 それと同時に、ある種の牧歌的な雰囲気が薄れ、時代や戦争を見つめる厳しさが画面に漂いつつある。

 たとえば「大地の孤独(沖縄)」は、沖縄の地図をバックに旧日本軍の戦闘機? が飛んでいる。
 プロパガンダが明確な絵ではないだけに、かえって、沖縄の歴史と今を考えさせる作品となっているように感じた。
 「突入」も日の丸を翼につけた飛行機がモティーフ。神風特攻隊から着想したのだろうか。
 一方で、白いワンピースと羽を付けた少女が登場する「天使の休息」のような作品もある。

 会場全体で筆者がいちばん印象深かったのは、多様な色彩だった。
 空の絵というと、青と白ばかりになってしまいそうだが、「突入」は真っ赤な炎が画面を覆っているし、「飛行機II」では、オレンジ色の雲が浮かんで、なんだかピンク・フロイド「おせっかい」のアルバムジャケットみたいだ。
 「大空の孤独 II」では、緑や薄紫も混ざった複雑な色の競演が見られる。
 それは決して非現実的な色合いではない。日々夕暮れの空を見ていれば、確かに出合える色なのである。


 出品作は次の通り。複数の号数表記のある場合は、同題の作品が複数出品されていることを示す。
ライト兄弟の夢(F8)(F100)
眼下(F6)
ブルーインパルスの空(F10)
空の夕景(F4)
リンドバーグの夢(F4)(F100)
雲海(F20)
天使の休息(F60)
飛行機雲II(F60)(M8)(S6)
大地の孤独 II(F100)
ダビンチの夢(F120)(F8)
突入(F100)
大地の孤独(沖縄)(F120)
何処へ(S100)(S6)
上昇(F10)
虹の雲(M20)
空の黄昏B(S3)
空の黄昏A(S3)
彼方へ(S6)


 アップが遅れて申し訳ありません。
 まだアップできてない展覧会紹介が何本かあります。順次、公開していきます。


2010年5月17日(月)~22日(土)10:00~6:00(最終日~5:00)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A


第7回ノルテの作家展(2009年11月)
第17回山崎亮個展(2008年)
第16回(06年)
第15回(04年)
第14回(02年、画像なし)


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