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■北海道陶芸会50周年記念 陶・創造者たち-北の大地と共に (2018年10月6~14日、江別)

2018年10月14日 16時06分02秒 | 展覧会の紹介-工芸、クラフト
 道内のプロ陶芸家の集まり、北海道陶芸会は6月から7月にかけ、札幌芸術の森美術館で
「50周年記念展 陶・創造者たち―北の大地と共に」
を開いた。
 インスタレーションや大作オブジェが並ぶとともに、交流のある米オレゴン州陶芸協会の作品も展示され、北海道の工芸の歴史に残る展覧会になった。
 10月に入り、こんどは江別市セラミックアートセンターでおなじ題の展覧会を開催しているが、こちらは器が中心で、芸術の森美術館とは内容を一新している。オレゴン州の陶芸家の作品も、壁掛けの小品が並んでいる。
 6~7月の展覧会と、もうひとつの大きな違いは、会員ではない道内の陶芸家が多数出品していることや、先達の作り手の作品をも紹介していること。
 もちろん、これが道内陶芸のすべてではないが、いま考えられるベストメンバーに近いのではないかと思う。

 欲を言えば、これほどの顔ぶれがそろっているのに、そのことを意義付けるテキスト類が会場にまったく見当たらないのは、いささか残念だった。

 冒頭画像、左は会長の中村裕「樹林文花器」。
 シラカバを思わせる木々が浮かび上がる、北国らしい叙情と気品が漂う。

 そのとなりは阿妻一直「花桃彩鶴首瓶」。
 赤と緑の釉薬が散る細かい文様。

 右は白戸孝行「レンガ工場の煙突の中で」。
 にょきにょきと生える3本の筒。1本は縦じま、1本は横じま、もう1本は丸のちらばりと、それぞれ絵柄が異なる。


 右端は下澤土泡(1926~2002)「北海ありそ花生」。
 北海荒磯焼の創始者として、オホーツクや留萌管内、道南など陶芸になじみの薄い地域への普及にも力を入れた。
 志野焼をさらに大胆にしたような白釉のダイナミックなかけ方はこの人ならでは。

 ほかにも、こぶし焼を創始して道内陶芸家の草分けのひとり山岡三秋をはじめ、谷内丞(1933~2011)、石坂勝美(1939~2001)、板東陶光(1911~2011)、対馬英二(1914~95)、石坂勝美(1939~2001)、吉田時彦(1932~)、高橋武志(1928~2005)などの作品が並ぶ。
 高橋の「渓雪釉花瓶」は、藍色と白の混じりあい、溶け合うさまが美しい。


 右端は、中村照子「海からの贈り物」。
 ふだん、上品で質素なボンボニエールなどを作っているベテランとは思えない、斬新な作。
 銀色に光る部分と、白く光沢がなく多くの波型模様がついている部分とが、複雑に組み合わさっている。

 そのとなりは石川進一「虚」。
 小ぶりな花瓶だが、ちょっと首をかしげたような口が特徴。ざっくりとした土味だ。

 その奥の石川雅昭「流文縞扁壺」。
 びっくりするぐらい表面が炭化で黒ずんでいる。
 優雅で流れるような波模様とのミスマッチのようでおもしろい。


 左は土橋陶媛「四季花鳥図象嵌六角器」。
 これほどカラフルな象嵌の器を作る人は道内では珍しい。華麗という形容が似合う。

 右は進境著しい丹波シゲユキ「華蓮」。
 白磁の、たおやかなオブジェ。

 2人とも、北海道陶芸会の会員ではない。


 小山七郎「流氷紋宝珠」。
 この作家の透かし彫りもすごい。いったいどうやって作って、つじつまを合わせているのだろうと、いつも思う。

 画像はないが、この近くに荒関雄星「青磁花入」は、しっとりした色合い。
 荒関さんといえば野趣あふれる器という先入観があったので、いい意味で意外だった。


 左は林雅治「2018-1」。
 林さんも現在は陶芸会会員ではない。
 乳房を思わせるユーモラスなオブジェ。

 右は相馬康宏「non-title」。
 相馬さんも非会員。
 画像ではあまりよくわからないが、発色の豊かさには驚く。


 長くなってきたので、続きます。


2018年10月6日(土)~14日(日)午前9時半~午後5時、火曜休み
江別市セラミックアートセンター(江別市西野幌114の5)


□北海道陶芸会 https://hokkaido-pottery-society.jimdo.com/



江別市セラミックアートセンターへのアクセス(都市間高速バス「野幌」からの道順)

(この項続く) 


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