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■藤本由紀夫「STARS」 (2017年12月2日~18年2月3日、六本木)=東京'18-イ(5)

2018年02月01日 12時07分26秒 | 道外で見た展覧会
(承前)

 六本木でもう2カ所、Shugo Arts(シュウゴアーツ)と小山登美夫ギャラリーに立ち寄った。いずれも、おなじ「complex666」ビルの中にあり、前項で立ち寄った「ピラミドビル」や、地下鉄の六本木駅に近い。
 なかなかしゃれた建物だが、先のWAKO WORKS OF ART といい、このビルといい、若いアート好きが引きも切らず訪れているので、それほど気後れすることなく入ることができる。

 これが札幌だったら、土曜でも、現代アートのギャラリーには自分のほかにあまり客はいないだろうし、いたとしてもかなりの確率で自分の知り合いだったりするんだろうな~などと思う。
 そういえば筆者はかつて東京に住んでいたころ、国立フィルムセンターやアテネフランセ文化センターの自主映画上映会などにずいぶん足を運んだものだが、そこで行列をいっしょにつくっていた人たちとは、ついに知り合いになることがなかったな、などと思い出す。

 それはさておき、藤本由紀夫さんの個展。
 藤本さんは1950年、名古屋生まれ。音を使った現代アートの作品を数多く発表している。
 道内では2011年にギャラリー門馬でのグループ展に出品したことがある。

 今回は高さ185センチぐらいの縦長の木の箱を18個、壁際に、間隔をあけて並べている。
 いずれも同じ外観をで、外側を黒く、内側は落ち着いた緑色に塗り、縦に三つ小さなねじが取り付けてある。
 来場者がねじを回すと、中に仕込んであるオルゴールが鳴る。奏でるのはひとつの音なので、まるで「音楽」と呼べるものではないのだが、会場内のあちこちから音が聞こえてくると、人間とはふしぎなもので、ばらばらの音に連なりを聞き取ってしまうのである。

 ギャラリーの若く美しい女性が、オルゴールの音はもともと、上から「G線上のアリア」「ムーン・リバー」「マイ・フェイバリット・シングス」の旋律だと教えてくれた。
 しかし、そもそも、それぞれのオルゴールからは単音しか出ないので、それらの曲が聞こえるわけもないのだ。


 「STARS」は星座の意味をこめて付けたタイトルだという。
 星座も、ばらばらに点在している星々を、地上の人間がかってに結んでつなげたものだ。
 人間はいろいろなところに、つながりや意味を見いだしてしまう存在なのかもしれない。

 そんなことを考えさせる、シンプルで美しい個展だった。


 なお、同じ建物の隣室にある小山登美夫ギャラリーは桑久保徹展。
 巨大な風景画の画面の中に、スーラの代表作がイーゼルなどに置かれて点在している絵など、楽しいパロディー(というか、引用の)絵画。
 フェルメールやゴッホ、ピカソのバージョンもあり、ピカソのは、「ゲルニカ」にあわせてモノクロームに仕上げていた。

 ここで所用のため、いったん半蔵門に戻った。


2017年12月2日(土)~18年2月3日(土)午前11時~午後7時、日月曜・祝日休み
Shugo Arts (港区六本木6-5-24 complex665 3階 http://shugoarts.com/






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