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人生の後半戦

2011年01月14日 21時18分04秒 | つれづれ日録
 
 経済学者による人気ブログ「池田信夫blog part2」の「同期への最後の年賀状」というエントリを読み、非常に考えさせられた。

http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51660321.html

 もちろん、東大を出てNHKに入り、いまは大学で経済学を教えている池田氏と、地方の新聞社で中間管理職の端くれをやっている筆者とを、同列に置くことはできない。
 また、NHKと地方紙では、ライフサイクルがいささか異なる。
 筆者の勤めている会社には、それほど退屈な役職や、関連会社のポストというのは、あまりたくさんはないように見える。
 不況が長引き、以前のように窓際族を抱えておく余裕はどの会社にもなくなってきているのではないか。
 でも、40代前半からなかばで現場を離れ、管理職になるという点は、NHKと筆者の会社では、共通している。

 自分が中間管理職になっているのは、べつに優秀だからでもなんでもなく、会社にまだ年功序列の風潮が色濃く残っているからだろう。
 もう若いころのような体力はないから、昔とおなじように現場で働くわけにはいくまい。ただ、仕事そのものは、現場のほうがおもしろいに決まっている。
 いまは、部下や同僚、上司に恵まれ、なんとかかんとか仕事をこなしているけれど、しかし、まだ何年も残る自分の会社員人生のことを考えると、特に明るい希望がわいてくるわけもない。 
 自分がこんなに優秀です-とアピールするのが、嫌いだし。べつに出世レースに残れるほど優秀なわけじゃないしね。

 このブログを書くことが天職になればおもしろいだろうけど、それはまったく現実離れした夢物語であって、道内で「アートブロガー」を名乗っていても、ほとんど1円の収入も期待できない。

 筆者の知る範囲で、学校の先生を55歳ぐらいで退き、その後は美術作家活動に専心したという人が何人かおられる。
 辞めるのにふさわしいのは、30歳以下か55歳以上であって、40代で安定した職をなげうつのは、いまの日本社会では、単なる馬鹿であろう。
 いくら会社で中途退職者を募集していたとしても、だ。

 ここから先は個人的な事情でなく、おそらく池田氏が言いたかった(というか、ふだんは別のエントリで繰り返している)主張をめぐる話になる。
 日本経済の停滞の主な原因の一つに、第3次産業の労働生産性の低さがある。
 日本のホワイトカラーは長時間残業で労働生産性の低さをカバーしているのだ。
 これはおそらく、仕事と給与がミスマッチを起こしているのに労働力の流動性が低いために、全社会での適材適所が阻まれているために起きているのだろう。
 労働者を簡単にクビにできないことは、働く側からすれば良い制度・慣習には違いない。しかし、35歳を過ぎての転職がきわめて難しいことは、マイナス面も大きかろう。

 というのは一般論であって、万一この文章を読んだ会社の幹部や上司から「渡りに船だ。ヤナイをお払い箱にしてやろう」と思われると非常に(生活に)困るので、よろしくお願いします。



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2 コメント

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Unknown (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2011-01-15 23:35:05
>まずは同一労働同一賃金をシステム化できるかでしょうか。。

オランダは成し遂げたみたいですが、日本の場合、社会の構成年齢が中高年に偏っていて、彼らの既得権益を崩すのは難しいでしょうね。
難しいなんて評論家みたいなことを言ってる場合ではないのでしょうが、選挙のときの票数が、若者より老人のほうが多いので、若者に手厚い政治を訴える候補はほとんどいません。

いずれにしても、いまの日本の労働市場は
「いったんレールに乗っかるとそのまま。レールから外れると戻るのが難しい」
という日本社会の固着したあり方をそのまま反映していて、もうちょっと柔軟にならんのかと思います。
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Unknown (公募展会員)
2011-01-15 13:01:37
>というのは一般論であって、万一この文章を読んだ会社の幹部や上司から「渡りに船だ。ヤナイをお払い箱にしてやろう」と思われると非常に(生活に)困るので、よろしくお願いします。

まぁ、行き着く所は誰しも同じでしょうね。三人称で語られる方向性と一人称で受け取る方向性には距離があるのはいたし方有りません。

それを分かった上での受け皿(セーフティーネット)と自己責任を両立した社会システムを構築してゆかなければならないでしょうね。

まずは同一労働同一賃金をシステム化できるかでしょうか。。

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