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■平面と立体の交差 ・北広島のコンテンポラリーアート (2017年11月11~16日、北広島)

2018年01月22日 20時39分18秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 昨年の展覧会ですが、まだ書いていなかったので、簡単に紹介しておきます。

 北広島在住あるいはゆかりの4人によるグループ展。
 上ノ大作、谷口明志、藤沢レオ、武藏未知(藏は蔵の正字)の4氏が出品しています。
 「北広島のコンテンポラリーアート」という副題がついています。この展示内容が果たして contemporary なのかどうかはちょっと留保したい気持ちがありますが、それはあとで書くことにします。

 会場の展示順で、上ノさんと武蔵さんから(以下、藏が機種依存文字なため、新字表記の「武蔵」で表記します。ご諒承ください)。


 上ノさんは北広島に窯を持つ陶芸家。
 ですが「素材による違いはあまり考えない」と言うとおり、土以外の素材にも積極的に取り組んでおり、今回は「竹」です。
 「今回は意外と焼き物っぽい。過程は、手びねりで積み上げていくのと似ています」 

 最近は建築に興味があるといい
「立って半畳、寝て一畳のサイズ。茶室をイメージしてつくった」
と話していました。

 壁にうつる影が美しいですが、作者本人は、そこまで計算していなかったそうです。

 中に入ると、違った眺めが楽しめました。

 これほどまでにスカスカだと、そもそも建築における「外」と「内」とは何だろうと考えてしまいますよね。
 いや、「外」と「内」があるのは建築だけではなくて、たとえば細胞とか生物にもあるのですが。

 そういえば、作品の影からは、当然「虚」と「実」という問題の枠組みが浮かび上がってきます。

 シンプルなように見えて案外、いろいろなことを見る者に考えさせる奥深い作品なのかもしれません。


 武蔵未知さんの「原風景」。

 武蔵さんは小中高校生のとき北広島市西の里で育ったそうです。
 北広島といえば、住宅地のわきの自然豊かな丘陵を思い出すそうで、自分の原風景として、冬の丘陵地で立ち枯れていたオオウバユリがあるそうです。
 オオウバユリは多年草で、開花まで10年以上を要するにもかかわらず、一度花を開くと枯れてしまうとのこと。
 今回はオオウバユリの実からイメージしたそうで、解放感のある空間を生かすような作品を目指しています。

 以上は、会場で行われたアーティストトークの話から。
 ただし武蔵さんは当日欠席したため、谷口明志さんがメッセージを代読しました。

 会場からは
「これまで見た武蔵さんの作品でいちばん生命感、存在感がありびっくりしている」
という声も聞かれました。

 よく見ると、花弁にあたる部分を、天井からテグスでつり下げています。

 以前の武蔵さんは木をダイナミックに使った重厚な彫刻が多かったのですが、ここ数年は軽い素材に活路を見いだしているようです。


 ただ、この2人の作品が、「コンテンポラリーアート」なのかというと、ちょっと首をひねってしまいます。
 要は、従来の彫刻の延長線上にある作品ではないかと思うからです。
 そういう分類自体は作品の良しあしとはまったく関係ありませんし、どうでもいいこととはいえるのですが。


2017年11月11日(土)~16日(木)
北広島市芸術文化ホールギャラリー(北広島市中央6)


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