10月18日(金)午後、「喫茶ペエジ。」に初めて入りました。
古い文学全集が店内あちらこちらに置かれ、昭和レトロな雰囲気の漂う、きれいなお店です。
ガラス窓で仕切られた喫煙者用スペースが店内にあります。
筆者がコーヒーを飲んでいると、ひとりで切り盛りしている女性がレコードプレーヤーのディスクを、ジョン・コルトレーンの「My Favorite Things」に取り替えました。
どうして筆者の好みを知っているんだろうと一瞬思いましたが、そんなの偶然に決まっています。B面はかけずに「Chet Baler Sings」をプレーヤーに載せていました。
(どうでもいい話ですが、チェット・ベイカーは歌とトランペットの二刀流ですが、筆者は彼の歌を聴くときまって眠たくなります)
たまたまかもしれませんが、筆者が行ったときは1人で来店した男女が適宜来店したり立ち去ったりといった感じで、実に静かで落ち着ける店という好印象を抱きました。
店内で今田朋美さんが詩文書を発表しています。
今田さんは教育大を卒業後、団体公募展や社中に属さず創作・発表を続けている、道内では珍しい存在です。
撮影していいかどうかわからず、他の客の目ざわりにもなりたくなかったので、筆者のすわった席の近くにあった、作品入りのガラス瓶に向けてこっそりシャッターを1度だけ切りました。
今田さんは店内にある古本から詩や文章の題材を得たそうです。
これは室生犀星ですが、多かったのは国木田独歩でした。
独歩は「武蔵野」「号外」や、北海道での体験をもとにした「牛肉と馬鈴薯」「空知川の岸辺」といった短篇小説で知られる明治期を代表する文学者ですが、出発点のひとつは新体詩でした(もっと言うと、有名になったのは日露戦争のルポルタージュがきっかけで、ほかにも翻訳や雑誌編集などいろんなことを手がけています)。
筆者は独歩の本を見つけることができませんでしたが、今田さんは高校時代の課題で、詩の代表作「山林に自由存す」を書いたのが独歩との出合いだったそうです。
今回引用しているのは
「今こそは」
「秋の月影」
「行雲流水」
の3篇。
ひとつの詩から複数個所を引いています。
独歩の詩は「青空文庫」になく、文庫化もされておらず、アンソロジー以外ではあまり目に触れる機会もないと思われます。
学研版國木田獨步全集の第1巻から引用しました(ただし漢字は戦後の新字体に改めました)。
「行雲流水」などは代表的な短編小説「忘れえぬ人々」を彷彿とさせる心境をのぞかせています。
「独歩」という号が、今田さんの歩みを思わせるものがあるのかもしれません。
2024年10月7日(月)~28日(月)午前11時~午後8時、火・水曜休み
喫茶ペエジ。(札幌市北区北22西9)
Instagram : @cafe.peeji
Twitter(X) : @peeji22
Twitter(X) : @hokkaidodeshodo
過去の関連記事へのリンク
■今田朋美・裕樹 二人展「まちかどで」 (2023)
■第44回高書研展 (2019、画像なし)
・地下鉄南北線「北24条駅」から約900メートル、徒歩12分
・同「北18条駅」から約1.1キロ、徒歩15分
・札幌駅北口などから中央バス屯田線「屯田6条12丁目」行きに乗り「北21条西5丁目」で降車。約600メートル、徒歩9分
※平日は日中1時間に2、3本、休日は1時間に1、2本
・北24条駅で中央バス「北72 札幌駅前行き」「西51 前田森林公園行き」「西51 手稲高校行き」、ジェイ・アール北海道バス「軒32 二十四軒駅行き」に乗り継ぎ、次の次の停留所「北高校」で降車。約400メートル、徒歩6分
古い文学全集が店内あちらこちらに置かれ、昭和レトロな雰囲気の漂う、きれいなお店です。
ガラス窓で仕切られた喫煙者用スペースが店内にあります。
筆者がコーヒーを飲んでいると、ひとりで切り盛りしている女性がレコードプレーヤーのディスクを、ジョン・コルトレーンの「My Favorite Things」に取り替えました。
どうして筆者の好みを知っているんだろうと一瞬思いましたが、そんなの偶然に決まっています。B面はかけずに「Chet Baler Sings」をプレーヤーに載せていました。
(どうでもいい話ですが、チェット・ベイカーは歌とトランペットの二刀流ですが、筆者は彼の歌を聴くときまって眠たくなります)
たまたまかもしれませんが、筆者が行ったときは1人で来店した男女が適宜来店したり立ち去ったりといった感じで、実に静かで落ち着ける店という好印象を抱きました。
店内で今田朋美さんが詩文書を発表しています。
今田さんは教育大を卒業後、団体公募展や社中に属さず創作・発表を続けている、道内では珍しい存在です。
撮影していいかどうかわからず、他の客の目ざわりにもなりたくなかったので、筆者のすわった席の近くにあった、作品入りのガラス瓶に向けてこっそりシャッターを1度だけ切りました。
今田さんは店内にある古本から詩や文章の題材を得たそうです。
これは室生犀星ですが、多かったのは国木田独歩でした。
独歩は「武蔵野」「号外」や、北海道での体験をもとにした「牛肉と馬鈴薯」「空知川の岸辺」といった短篇小説で知られる明治期を代表する文学者ですが、出発点のひとつは新体詩でした(もっと言うと、有名になったのは日露戦争のルポルタージュがきっかけで、ほかにも翻訳や雑誌編集などいろんなことを手がけています)。
筆者は独歩の本を見つけることができませんでしたが、今田さんは高校時代の課題で、詩の代表作「山林に自由存す」を書いたのが独歩との出合いだったそうです。
今回引用しているのは
「今こそは」
「秋の月影」
「行雲流水」
の3篇。
ひとつの詩から複数個所を引いています。
今こそは
行先は何処にもあれ
行末は如何にともあれ
すぎこしかたの夢もさめにけり
今こそは此身ひとつの旅路なれ
漫々たる大海今より爾にまかす
八重の潮路の朝風よ
浅かりし契のなごりふき払へ
今こそは此身一つの舟路なれ
いざ去らば冨士の高峰もいざ去らば
八百八島今をかぎりの涙かな
たらちねのわが故郷もいざ去らば
今こそは此身一つの舟路なれ
秋の月影
秋の月かげひとりでふめば
をのが影のみさきにたつ
ふりさけ見れば目に涙
露を払へと風がふく
行雲流水
人里遠き深山にも
笑ひて咲けるすみれあり
浮世はなれし此村の
こかげに眠る墓もあり
高嶺ただよふ雲あはく
谷を流るゝ水きよし
わが身一ついかにせん
わが身一ついかにせん
独歩の詩は「青空文庫」になく、文庫化もされておらず、アンソロジー以外ではあまり目に触れる機会もないと思われます。
学研版國木田獨步全集の第1巻から引用しました(ただし漢字は戦後の新字体に改めました)。
「行雲流水」などは代表的な短編小説「忘れえぬ人々」を彷彿とさせる心境をのぞかせています。
「独歩」という号が、今田さんの歩みを思わせるものがあるのかもしれません。
2024年10月7日(月)~28日(月)午前11時~午後8時、火・水曜休み
喫茶ペエジ。(札幌市北区北22西9)
Instagram : @cafe.peeji
Twitter(X) : @peeji22
Twitter(X) : @hokkaidodeshodo
過去の関連記事へのリンク
■今田朋美・裕樹 二人展「まちかどで」 (2023)
■第44回高書研展 (2019、画像なし)
・地下鉄南北線「北24条駅」から約900メートル、徒歩12分
・同「北18条駅」から約1.1キロ、徒歩15分
・札幌駅北口などから中央バス屯田線「屯田6条12丁目」行きに乗り「北21条西5丁目」で降車。約600メートル、徒歩9分
※平日は日中1時間に2、3本、休日は1時間に1、2本
・北24条駅で中央バス「北72 札幌駅前行き」「西51 前田森林公園行き」「西51 手稲高校行き」、ジェイ・アール北海道バス「軒32 二十四軒駅行き」に乗り継ぎ、次の次の停留所「北高校」で降車。約400メートル、徒歩6分