北海道美術ネット別館

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■小田啓介銅版画展 (2月3日まで)

2009年02月02日 23時28分25秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 1973年横浜生まれ、4歳から根室管内中標津町などで育ち、東京で過ごした後、2006年から札幌に拠点を移して活動中のイラストレーターによる、道内では初の個展。
 壁面には、二十数点の銅版画がならんでいます。さすがプロ、と思わせる、安定した力量。とくに、女の子が向こう側を向いて立っている「光のシャワー」、やはり顔をあちらに向けた女性が空中でしゃがんでいる「ものおもい」など、余韻を漂わせています。
 犬を連れた男性が、こちらに背中を見せてしゃがみ、大空をかける鳥のほうを見ている作品もいいなあ。派手さはありませんが、構図はかっちりと安定していますし、どこかじぶんの記憶をのぞいているような懐かしさを感じさせるのです。
 これらのリアルな画風とはちょっと異なり、やや漫画風ですが、草の上に寝そべる2頭の牛とギターを弾いて歌う女の子を描いた「牧場の音楽」ものんきで良いです。

 しかし、筆者が真に驚いたのは、店内に置かれた2冊のファイルをめくったときでした。
 展示されている版画は個人的に制作しているものですが、ファイルのほうには、求めに応じて広告やウエブサイトのために描いたイラストがたくさん収められているのです。
 その作風の多彩なこと! 1960年代ふうの明暗を強調したイラストから、くせのない人物画まで、手描きもコンピュータも駆使して、じつにさまざまに描き分けているのです。地下鉄のなかで見た「室蘭市就職U&Iターン説明会」のポスターを手がけているのも小田さんなのでした。
 ファイルを何ページめくってみても、イマジネーションあふれるイラストも、にじみを生かした透明水彩画も、ちょっとした走りがきまで、デッサンの狂いなく的確に描かれているのにはため息が出ました。
 また、機会があれば見てみたいです。


2009年1月8日(木)-2月3日(火)12:00-24:00(日・祝日-21:00)
CAFE ESQUISSE(カフェ・エスキス 中央区北1西23 メゾンドブーケ円山 地図D)

http://www.buongiorno.fm/


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