3年前の札幌での個展「森の瞬間」にいたく感動した筆者ですが、今回も期待を大きく上回るすばらしい写真展でした。
日本のネイチャーフォト・風景写真の最高峰といっても、過言ではないでしょう。ぜひ見ていただきたいです。
フジの「GX617」といったワイドカメラで撮影した、3メートル×1メートルという巨大プリントが16点、ほかにハッセルブラッドなどで撮った写真が10点余り。原始の自然が残る大雪山系の雄大な景観が、圧倒的な質感と大きさで迫り、息をのみます。
すべてカラーフィルム。猛吹雪の山中でもフィルム交換だけは素手で行わなくてはならず「手袋を吹き飛ばされれば、それは即凍傷を意味する」という厳しい環境。そんななかで、粘りに粘ってとらえることができた、まさに自然の精華ばかりです。
「厳冬のニペソツ山 中雲岳から見るトムラウシ山」は、日の出のピンク色に染められた山容が感動的ですし、「御鉢平の水脈」は石狩川の源流域のひとつで、原始のままに山肌を刻む流れの数々が日本離れした景観を生んでいます。
わずか数日で見ごろがすぎてしまう紅葉やお花畑の大パノラマもあります。
残雪のブリッジの手前にエゾノリュウキンカが咲く山奥の風景を逆光で撮った1枚や、猛吹雪のなかに見えた光の輪の作品(雪煙舞う五色ケ原)を見ていると、よくもこんな条件下で1枚をものにしようとガンバルものだなあ-と、感嘆せざるを得ません。
方法論的なことについてすこし述べると、林さんの特徴として、露出のF値を大きくしてスローシャッターを切る-というのがあります。
「草紅葉広がる北海岳斜面」は夕闇にぼうと光るウラジロナナカマドなどを撮ったものですが、F45、シャッタースピードはなんと5分です。
作品によってはF64、なんていうのもありました。こんな露出、ふつうのカメラではできません。
これだけFを大きくすると、ピントは隅々まであいますが、かなり頑丈な三脚を運び込まないとブレて使いものにならないネガしかできないでしょう。高山に持ち込むことを考えると大変なことで、このへんにも、美しいネガ1枚を得るために決して妥協しない写真家の資質がうかがえます。
2009年1月30日(金)-2月4日(水)10:00-18:30、
富士フイルムフォトサロン(中央区北3西3 札幌北三条ビル 地図A)
□林明輝オフィシャルサイト http://homepage2.nifty.com/rin-meiki/
■林明輝写真展「森の瞬間」 (2006年)
日本のネイチャーフォト・風景写真の最高峰といっても、過言ではないでしょう。ぜひ見ていただきたいです。
フジの「GX617」といったワイドカメラで撮影した、3メートル×1メートルという巨大プリントが16点、ほかにハッセルブラッドなどで撮った写真が10点余り。原始の自然が残る大雪山系の雄大な景観が、圧倒的な質感と大きさで迫り、息をのみます。
すべてカラーフィルム。猛吹雪の山中でもフィルム交換だけは素手で行わなくてはならず「手袋を吹き飛ばされれば、それは即凍傷を意味する」という厳しい環境。そんななかで、粘りに粘ってとらえることができた、まさに自然の精華ばかりです。
「厳冬のニペソツ山 中雲岳から見るトムラウシ山」は、日の出のピンク色に染められた山容が感動的ですし、「御鉢平の水脈」は石狩川の源流域のひとつで、原始のままに山肌を刻む流れの数々が日本離れした景観を生んでいます。
わずか数日で見ごろがすぎてしまう紅葉やお花畑の大パノラマもあります。
残雪のブリッジの手前にエゾノリュウキンカが咲く山奥の風景を逆光で撮った1枚や、猛吹雪のなかに見えた光の輪の作品(雪煙舞う五色ケ原)を見ていると、よくもこんな条件下で1枚をものにしようとガンバルものだなあ-と、感嘆せざるを得ません。
方法論的なことについてすこし述べると、林さんの特徴として、露出のF値を大きくしてスローシャッターを切る-というのがあります。
「草紅葉広がる北海岳斜面」は夕闇にぼうと光るウラジロナナカマドなどを撮ったものですが、F45、シャッタースピードはなんと5分です。
作品によってはF64、なんていうのもありました。こんな露出、ふつうのカメラではできません。
これだけFを大きくすると、ピントは隅々まであいますが、かなり頑丈な三脚を運び込まないとブレて使いものにならないネガしかできないでしょう。高山に持ち込むことを考えると大変なことで、このへんにも、美しいネガ1枚を得るために決して妥協しない写真家の資質がうかがえます。
2009年1月30日(金)-2月4日(水)10:00-18:30、
富士フイルムフォトサロン(中央区北3西3 札幌北三条ビル 地図A)
□林明輝オフィシャルサイト http://homepage2.nifty.com/rin-meiki/
■林明輝写真展「森の瞬間」 (2006年)
うーん、意図はわかんないですけど、とにかく迫力に圧倒されました。
ただ、体力勝負!みたいなことは、そうそう続けられないわけで、これから変わっていくのかもしれないですね。