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■小川豊展 (5月22日まで)

2010年05月21日 17時57分11秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
Yutaka Ogawa solo exhibition

 小樽在住の若手・小川豊さんの、札幌では初めてとなる個展。
 小川さんは、北海道高等聾学校を卒業後、浅井学園大(現北翔大)で絵画を学んだ。同大大学院を修了後、道展に出品し、入賞も果たしている。中央の団体公募展、新制作展でも入選している。


 茶色の半円をおびただしく重ねたような、独特の抽象画。
 小川さんは「自画像です」と言う。題の「もく」は「黙」を、「とき」は「時」を意味するが、「概念をもって見てほしくない」ので、あえてひらがなにしているという。最初から全体の構想やエスキス(下絵)があるのではなく、或る部分から描きはじめるというからすごい。
「計算しないで描いていくので、最初から全部描き直しっていうこともけっこうあります」
と小川さん。「要領が悪いんです」と謙遜けんそんする。
 



 上は出品作のひとつ。上方に白い部分があるのは、ライトを反射しているためです。すいません。
 今回の作品では、例外的に古い(2002年)の作である「孤独感」と、ことしの「とき1005」の2点だけがモノクロームで、ほかは茶系が画面の大半を占める。
 「茶色が自分にいちばんフィットしているように思う。なかなかそこから脱皮できません」
 小川さんは自分に厳しい方だな~と思う。

 それにしても、と思う。
 これらの絵は決して明るいものではない。
 日本の社会がハンディキャップのある人に決してやさしくないものであることは、わたしは頭ではわかっているつもりでも、自分のこととしてはとらえきれていないのかもしれない。沈黙の世界に生きることのつらさを、刻むように画面に定着させていくと、このような世界が出現するのかもしれない。あるいは、ハンディキャップとはかかわりなく、人の心の深淵しんえんをのぞき込む勇気があれば、こういう表現になるのかもしれない。
 

 出品作は次の通り。
とき0908E F130 2009年
とき0910D F130 2009年
とき0910A F130 2009年
もく0810A P150 2008年
とき0910B F100 2009年
とき1004  F130 2010年
とき1005sB F8  2010年
とき1005  F130 2010年
孤独感   180×90 2002年
とき1008sA F8  2010年


2010年5月17日(月)~22日(土)10:00~6:00(最終日~5:00)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A



北翔大学大学院・研究生6人展(2008年)


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