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次の100年と過去の100年を探る。明和電機、エネスなど出品へ―札幌国際芸術祭(SIAF2024)の記者発表

2023年02月15日 23時33分31秒 | 札幌国際芸術祭
(冒頭画像は、エネス「エアシップ・オーケストラ」。参考作品。 Photo by Ben WEINSTEIN)

 来年1月20日~2月25日に開かれる札幌国際芸術祭(SIAF=サイアフ)の記者発表が、2月14日、札幌市中央区の東1丁目劇場施設(旧北海道四季劇場)で行われ、筆者も出かけてきました。

 もともと3年に1度の開催の上に、前回(2020~21年)が新型コロナウイルス感染拡大を受けて中止になったため(中止といいつつ、SIAF TV の連日の配信や図録の発行など、ずいぶんがんばっていましたが)、そして2017年のSIAF が個人的には実に楽しい芸術祭だったため、約1年後の開催がほんとうに待ち遠しく感じられます。

 今回発表になったのは、シンボルマークや、キャラクターの「まるさん」をはじめ、各会場の性格付け・特徴が中心でした。

 会場は次の通りです。

未来劇場(東1丁目劇場施設)
 中央バスターミナルの裏手で、昨年「サンエックス展」を開いた会場であり、今回の記者発表の舞台でもあります。
 ここは「100年後の未来を考える場所」という位置づけ。
 札幌育ちで惜しくも昨年急逝したガラス作家・青木美歌、胆振管内白老町を拠点にアートプロジェクトを手がけつつ木彫を作る國松希根太のほか、韓国のチェ・ウラム、SIAFヒューマノイドプロジェクトの四者がなを連ねています。

 記者発表の後で、劇場内を巡るツアーが行われました(じつは、発表よりこちらの方が楽しかった印象)。
 小川秀明ディレクターは、舞台の上や奈落などで、地球環境や気候変動などに触れながら、アートとテクノロジーがどんな未来をつくっていくか、ここで一緒に考えたい―と熱く語っていました。


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青木美歌さん死去の情報 (2022年6月)


さっぽろ雪まつり大通2丁目会場
 ここは「雪と未来の実験区」。
 冬の暮らしや楽しみ方を、アートを介して模索するエリアで、幅広い層が楽しめる大型作品などを紹介するとのこと。冒頭画像の「エネス」は、2月12日まで北3条広場に展示されていた作品「ステム」を手がけたオーストラリアのスタジオです。
 
 ステム君はの登場は、作品が果たして札幌の雪や寒さに耐えられるかどうかの実験も兼ねていたのでした。
 果たして、さっぽろ雪まつり大通2丁目会場にこの画像の通りの展示になるかどうかはわかりませんが、実現すれば、あいちトリエンナーレ2019のウーゴ・ロンディノーネ「孤独のボキャブラリー」のような、象徴的なビジュアルになるのではないかと、大いに期待できます。


札幌文化芸術交流センター SCARTS(スカーツ)
 北1西1。例の「onちゃん」が挟まっている複合ビルのアートセンターです。
 スタート情報地点と位置づけられています。
 前回2017年のときは札幌駅がインフォメーションカウンターとして機能していましたが、当時はまだSCARTS がなかったはず。雪まつり会場にも近く、情報提供場所としては適切でしょう。
 札幌のマチについての解説展示なども想定されています。


道立近代美術館
 キーワードは「フラジャイル=取り扱い注意」となっています。
 アーティストとして、故人の画家国松登のほか、刺繍の宮田彩加、行武治美が挙げられています。

 未来劇場が2124年を見据えた展示になるとすれば、近美は1924年から現在の流れを追った会場になるということです。
 北海道新聞で「200年の旅」という言葉が見出しにあったのは、そういうわけなのです。


モエレ沼公園
 「雪×スポーツ×テクノロジー」がテーマ。
 もともと冬はスキーを楽しむ人が訪れる公園なので、美術展というよりは、新しい体の動かし方を考える会場になりそうです。


札幌芸術の森美術館

 ここはメディアアート都市・札幌らしく、メディアアートの展示。おなじみ「明和電機」が登場します。
(画像は、明和電機のヒット作「オタマトーン」)


 もう1カ所、「地下公園」というのが挙がっています。

 チ・カ・ホを公園に見立てて何かするのかな?

 それにしても、ディレクターが交替するごとに、中味も性格もガラッと一変してしまうのが、SIAFのおもしろいところだと言えるかもしれません。
 今回はいつもに比べ、未来志向、テクノロジー志向が強いような印象をあらためて受けます。



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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (SH)
2023-02-18 08:42:11
ヤナイさん、こんにちは。
SIAF2024のテーマですが、未来の100年は単なる切りのよい数値ということでしょうが、過去を100年で区切ったのは何か意図があるのか(いや、無さそう)気になりました。
昭和生まれとしては、昭和100年に開催するのでその100年を振り返るというのであれば、それはそれで…、という気もしますが。
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Unknown (ねむいヤナイ)
2023-02-18 17:16:41
SHさん、ちゃんと書かなくてすみません。
昨年が市政施行100年というのも関係あるようです。
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Unknown (SH)
2023-02-19 09:03:23
一応、市制100年も関係しているのですか。
まあ、それはそれでという感じですが、変な切り取り方をすると「それ以前は何もないってこと?」となりそうで、気になりました。
教えていただきありがとうございます。
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Unknown (ねむいヤナイ)
2023-02-19 09:25:14
まあ、切りが良いからでしょうね。
へたに1868年なんかで区切ると、歴史観がかえって問われますからね。
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