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「早春の画家」
と筆者が勝手に名づけている、札幌の池上啓一さん(道展会員)。
今回も、雪解け時期の道内風景を、微妙な空気感までふくめて、おだやかな筆使いで描いた作品が目を引きました。
80歳のベテランで、個展はこれが20回目です。
会場は4回目からずっと札幌時計台ギャラリーで「このギャラリーと一緒に歩んできたようなもの」といいますから、さびしさもひとしおのようです。
今回は油絵30点を展示しました。
冒頭画像、左端は「春を待つ村」。
北広島の郊外にあるホテルの上の階から遠くを望んだ風景です。
そのとなりは、羊蹄山の早春の風景。
さらにとなりは、日高管内浦河町を描いた近作です。
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これも北広島の丘を、雪解けのころに描いた作品です。
奥行きを出すために、実際にはない道を描きいれて、奥へと視線と導き、さらに手前の丘と中景の間に段差を加えて、さらに奥行き感を出しています。
「ぬくもりのあるまなざしで、北の大地と空気の広がりを描きたい」
という池上さんの思いが結実した1点だと思います。
また、左側の壁面には「枯花の静物」「壺の静物」などの静物画が並んでいます。
ところで、今回の個展は、1998年と2000年にフランスを回る旅をした際に描き、新たに手を入れて完成させた絵も、展示されています。
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名高いモン・サン・ミッシェルを描いた大作をはじめ、アルルの遺跡、ストラスブール、シャルトル大聖堂、ノートルダム寺院、アビニオンの橋、ルーアンの広場など、題材はフランスじゅうに及んでいます。
アビニオンの橋は、童謡で「落ちる」とうたわれているとおり、ほんとうに断橋になっていました。
おだやかなタッチと明るい色彩は、道内の風景と変わりません。
ところどころ、鮮明な紫色が配されていてハッとさせられますが、少し離れてみると、ふつうの陰影のように見えます。単純に黒っぽく塗ったり、固有色を濃い目にするよりも、絵の純度といいますか画面全体の透明度を上げているように感じました。
オーソドックスな中にも、この画家らしいくふうがこめられているのです。
2016年11月14日(月)~19日(土)午前10時~午後6時(最終日~午後5時)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3)
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