見る前はそれほど期待していなかったけど、見たら案外良かったという展覧会をまとめて紹介します(乱暴なくくりで申し訳ない)。道新ぎゃらりーの「数又万寿保 第3回道内風景画等油彩展」「第3回手づくり製本展 手のねつ・本のぬくもり」(以上5月23日まで)、NHKギャラリーの「森政雄デジタル写真展「アルプスの夏」」(5月25日まで)の3つです。
数又さんは、「天塩川廃船」「滝野公園」「支笏湖」など、横長のキャンバスに描いた道内の風景がメーンです。青など、発色が、七宝焼のように鮮やかです。
目を引いたのが、「病」「意地悪な世界」といった内面の世界を描いた3点ほどの絵。まったく独自の世界だと思いました。
会場にあったプロフィルによると、1939年函館生まれ、2000年に札幌市資料館(中央区大通西13)で、昨年パークギャラリーで2回個展を開いているだけで、公募展などには出していないようです。勝手に推測するに、特定の師匠を持たず、内面の声にしたがって独学で絵筆を握っているのではないかと思いました。それほど、類縁の画風の人が思いあたりません。とくべつうまいのではないけれど、下手でもない、独特のものがあります。
「手づくり製本展」には、道展や「サッポロ未来展」で、本をテーマにしたインスタレーションを出品している竹居田圭子さんが「浸透」「Color Chart」の2点を出品し、異彩を放っています。
「浸透」は、空知管内南幌町の別府肇さんが作った茶色のしみのようなものを元に、折本形式にしたもの。「Color…」は肌の写真集です。
森政雄さんは1928年生まれで、昨年スイスを訪れ、今回の写真は撮影からプリントアウトまですべて自分でしたというからオドロキです。
冒頭の「燃ゆる孤高の巨人」が目を引きます。朝やけを反射して真紅に輝くマッターホルン。劇的な瞬間です。
「もしかしたらと思って、カメラを構えていた」
と森さんは話しておられました。
このほか「モンテローザとゴルナー氷河」は、とにかくスケール感のある光景。
「ベルナーアルプスの眺望」も、手前の花畑、中景の湖と緑の谷間、さらに遠くの山々など、その深い奥行きに息を呑みます。
野生のシカが群れる写真もあります。
デジタルをA1判にプリントアウトしたため、色調の深みや諧調表現では銀塩にゆずりますが、それぞれの写真の迫力は十分です。77歳がこんなにがんばっているのですから、負けていられないゾと、元気をもらった写真展でした。
5月18日(木)-23日(火)10:00-18:00
道新ぎゃらりー(中央区北1西2、時計台ビル地下 地図A)
5月19日(金)-25日(木)10:00-18:00
NHKギャラリー(中央区大通西1 地図A)
数又さんは、「天塩川廃船」「滝野公園」「支笏湖」など、横長のキャンバスに描いた道内の風景がメーンです。青など、発色が、七宝焼のように鮮やかです。
目を引いたのが、「病」「意地悪な世界」といった内面の世界を描いた3点ほどの絵。まったく独自の世界だと思いました。
会場にあったプロフィルによると、1939年函館生まれ、2000年に札幌市資料館(中央区大通西13)で、昨年パークギャラリーで2回個展を開いているだけで、公募展などには出していないようです。勝手に推測するに、特定の師匠を持たず、内面の声にしたがって独学で絵筆を握っているのではないかと思いました。それほど、類縁の画風の人が思いあたりません。とくべつうまいのではないけれど、下手でもない、独特のものがあります。
「手づくり製本展」には、道展や「サッポロ未来展」で、本をテーマにしたインスタレーションを出品している竹居田圭子さんが「浸透」「Color Chart」の2点を出品し、異彩を放っています。
「浸透」は、空知管内南幌町の別府肇さんが作った茶色のしみのようなものを元に、折本形式にしたもの。「Color…」は肌の写真集です。
森政雄さんは1928年生まれで、昨年スイスを訪れ、今回の写真は撮影からプリントアウトまですべて自分でしたというからオドロキです。
冒頭の「燃ゆる孤高の巨人」が目を引きます。朝やけを反射して真紅に輝くマッターホルン。劇的な瞬間です。
「もしかしたらと思って、カメラを構えていた」
と森さんは話しておられました。
このほか「モンテローザとゴルナー氷河」は、とにかくスケール感のある光景。
「ベルナーアルプスの眺望」も、手前の花畑、中景の湖と緑の谷間、さらに遠くの山々など、その深い奥行きに息を呑みます。
野生のシカが群れる写真もあります。
デジタルをA1判にプリントアウトしたため、色調の深みや諧調表現では銀塩にゆずりますが、それぞれの写真の迫力は十分です。77歳がこんなにがんばっているのですから、負けていられないゾと、元気をもらった写真展でした。
5月18日(木)-23日(火)10:00-18:00
道新ぎゃらりー(中央区北1西2、時計台ビル地下 地図A)
5月19日(金)-25日(木)10:00-18:00
NHKギャラリー(中央区大通西1 地図A)
手づくり製本展は手に取れて、本好きがますます昂じる楽しい展示。
書道の上手な方が、巻物や源氏物語の和綴じをつくってらして、こういうものに触れていたらもっとおしとやかになれるのかも・・・と風情を感じました。
今回道新ギャラリー、いいですね。
竹居田圭子という現代美術家にはサッポロ未来展で出会い、彼女の言わんとするところを正確にうけとめることが出来た鑑賞者の一人として数年前からマークしてきた。道展への参加にもなにかしらのメッセージがあり(強い)彫刻という異分野への挑戦ととらえた。
しかし今回は挑戦ではない。なぜ趣味の愛好会の発表会にその場を求めたのだ。「異彩を放つ」とヤナイ氏はソフトに表現します。私が答えるなら「場違い」です。竹居田圭子という作家が発表する会だったのでしょうか。愛好会として冷静に鑑賞したならよい展覧会です。手作りの本が丁寧に作られ品が感じられました。しかし趣味の域です。展示も作り手ごとではなく他の並べ方があってもいいと思います。そのなかで一人趣味ではなく美術を志す作家が参加したのに私の目には一番ひどい扱いをうけた展示場所に感じられました。素人が堂々と広げた余りペースです。何故彼女だけスペースが与えられないのでしょう。ご年配の方が対応されていましたので、年功序列の配置ということか。私はもっとしかるべき会での活躍を見ていきたいと思います。これでは道展での挑戦も同じ様に受け取られても文句ないでは?
ただ、筆者は、べつに場違いとか誇りとか、そういうことをいいたかったわけではないんですよ。
あの展覧会名だと、竹居田さんが出品しているなんてまさか思わないわけで、みなさんへの情報提供という意味なのです。