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MAZDA MX-6よ、さらば

2008年03月02日 21時19分11秒 | つれづれ日録
 
 17年間乗ってきた自家用車を買いかえることになった。
 マツダのMX-6(エムエックス・シックス)という車である。

 以下、自動車に興味のない方は読み飛ばしてください。
 全3章からなる長文です。





1.MX-6の出た時代背景

 1970-80年代の自動車業界は、ご存じのとおりトヨタが圧倒的に強く、日産がそれにつづいた。そして、ホンダ、三菱、マツダの3社が3位争いを繰り広げていた。
 80年代半ばに3位だったマツダは「よし、日産の背中が見えた!」と思ったのか、積極的な増強策に打って出て、販売系列を、トヨタとおなじ5つへと一気に拡大した。

 それまで「カペラ」と呼ばれていた車は、マツダ系列で、セダンが「クロノス」、クーペが「MX-6」、アンフィニ系列で「MS-6」「MS-8」、ユーノス系列で「ユーノス500」、オートザム系列で「クレフ」、オートラマ系列で「フォード・プローブテルスター」として販売されることになった。

 しかし、バブル崩壊とともに拡大策が裏目に出て、マツダは経営難におちいる。
 クロノス兄弟と総称された諸車の売れ行きも芳しくなく、つぎつぎと製造・販売が中止になっていった。
 1991年に販売が始まったMX-6は95年に市場から姿を消したそうだ。
(その後、一時的にカペラが復活したあと、アテンザが後継車種として製造されている)

 MX-6は欧米で高く評価されたらしい。筆者もパリやシドニーで何度か見かけた。
 けれども日本ではあまり売れなかった。


 蛇足ながら、ほんとうに日産の背中が見えたのは、ホンダだった。生産量では日産とならぶ存在になったのだ。


2.MX-6は名車だ!

 ユーザーから言わせてもらえば、MX-6は良い車であった。

 まず、これは好みの問題になるが、かっこいい。
 あまりにデザイン優先で、フロントグリルの上に物が置けないのだ。
 後部座席は狭い。(なんだか、ぜんぜんほめてないな)
 もっとも、発売直前に少し広げたらしく、発売当時ライバルとされていたホンダ・プレリュードのような「人権蹂躙シート」ではない。

 エンジンは、ターボのような「ドッカーン」感はないが、レッドゾーンまですーっと吹き上がる。
 高速に入ってすぐ、アクセルを底まで踏むときの快感はこたえられないものがあった。
 4WSを採用しており、車体のわりには取り回しがきく。
 燃費も意外と良く、筆者はリッター14.5キロをたたきだしたことがある。
 筆者は、ドリカムの歌に影響されて、ルーフが電動であくオプションをつけた(デート仕様だなあ)。

 音響にもこだわりがあった。オプションだが、トランクの3分の1をウーファーで埋め尽くすBOSEサウンドシステムがあった。しかし、これを選択すると、CDがつけられないのだ。(筆者はもちろんCDを選択した。当時はCDが聴ける車はあまり多くなかったのだ)
 カセットテープのためにここまでやるというのも、なんというか、すごすぎる。

 いまどき、こんなに車高の低い車はめったにないので、ショッピングセンターの広い駐車場でもすぐにわかるのも好都合だった
 もっとも、となりにワンボックスカーなどが来ると、影に隠れて見えなくなる。
 雪山がうずたかくなった脇道から出るときなども、見通しの悪いことこの上ない(ぜんぜんほめてないな…)。

 というわけで、実用性という面からみればいろいろ制約のある車であったが、なんといってもステアリングを握っていて楽しい車であった。
 楽しければいいのだと思う。
 A社よりB社のほうが4年後の下取り価格が高いだろうとか、白のほうが下取りに有利だろうとか、そんなことばかり考えて車を選んだり乗ったりしても、楽しくないんじゃないだろうか。


この項つづく

http://homepage1.nifty.com/VINTAGE_RED/mx-6/mx-6top.htm(かつてのユーザーの方のページ)


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こういう話には電光石火で書き込みます! (わたじゅん)
2008-03-02 22:43:51
ああ、行ってしまわれましたか。ところで。
<それまで「カペラ」と呼ばれていた車は(中略)オートラマ系列で「フォード・プローブ」として販売されることになった。>
これは「フォード・テルスター」ではないでしょうか。
ただ、クーペボディである「フォード・プローブ」が、ひょっとするとMX-6の姉妹車であるかもしれません。
返信する
昨今の車には魅力が皆無。 (ころなぞ。)
2008-03-02 23:22:30
どうもご無沙汰しております。
自分21から26までST-205初期型に乗っていました。
現在は経済状況により手放してしまったのと
勤務状況によりもっぱら商用車のライトエースですが(汗)。
現在の日本車のラインナップから言うと
「ちょっと無理すれば手が届くかも」
の範囲での
「魅力的な車」
いや、
「美しい」
と思える車は皆無です。
地域的な問題やら経済的な面で実用性から考えるとジムニー(軽)が魅力的ではあるんですが。

「例え通勤に使用する日常であっても非日常を体感できる」

車ってそれこそZだけだと思います。

バブル再来とは言いませんが、感動と躍動感の再来を切に願います。
返信する
とても面白くも切ないエントリでした。 (y@5u5hi)
2008-03-03 22:59:29
やはり、
大人気ですねぇ。

マツダループという俗説もあるように
(中古じゃ人気ないようです・・・)、
同一メーカーのを長く載り続けるというイメージがありますが、
かくいう我が実家(一族も)も、
ファミリア→カペラ→カペラワゴン
とそれぞれ10年ほど載り続けております。

そうですね、
確かにカペラが家に来た90年代初頭のマツダは、
やけに華やかであった印象が幼心にも残っています。
その10年後にきた現在のカペラが、
同一クラスのはずなのに随分と安っぽくなったことに、
がっかりしたものでしたから(90年代後半は最悪でしたね)。


失礼ながら、つづきます。
返信する
みなさん、コメントありがとうございました (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2008-03-03 23:51:47
>わたじゅんさん

早すぎだってば。

フォードの件はおっしゃるとおり。
ふだん「Wikiに頼るな」と言ってるくせに、Wikiに引きずられてしまいました。
あとで直しておきます。


>ころなぞさん

「Z」以外でしたらロードスターというのもありですよ。
かの徳大寺氏が
「ベンツから乗り換えて唯一サマになる国産車」
だかなんだか評していた記憶あり。

ただ、オレは北海道ではFRには乗りたくないです。やっぱり冬道はいやだ。


>y@5u5hiさま

バブル期のマツダは、車種増やしすぎでしたな。
ユーノスコスモとかオートザムクレフとかAZ-1とか、「いったい誰が買うんだろう」的な車の中に、わがMX-6も分類されるんだろうなあ。
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