殺人の隠蔽をはじめとする逮捕当初の7つの重罪から収賄、横領および権限濫用といういわば微罪ともいうべき罪状によって訴追されている薄 熙来の裁判が開始された。公判の様子は完全ではないものの公開され、そして世界を驚かせたのはあまりに稚拙な検察側の裁判運営である、一方、一部に噂されていたように薄 熙来は取り乱すという事もなく、むしろその理路整然とした説得力のある罪状否認の方が注目された。執行猶予付き死刑を宣告された谷 開来の精神に異常をきたしたかのような挙動に比べ、薄 熙来の明晰ぶりが目立った裁判の初日。
どう考えても先の3つの罪での極刑宣告はもはや有り得ないだろう。訴追した以上、無罪という事はないから、習指導部としては終身刑か15年の刑期で出来るだけ早期に落着させ、国民の関心を外交問題(たとえば対日、尖閣)など他にそらすしかない。金には興味がなく、ひたすら権力に執着する薄 熙来と、それを支えている弁護団、さすが元紅衛兵運動の首魁だけのことはある。そして、薄 熙来の過少評価という読み違いおよび検察の無能ぶりが白日の下にさらされた事で、筋書き通りの形式的な裁判をもくろんでいた習政権への打撃ははかり知れない。