回顧と展望

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シリア軍事介入ー英国脱落!

2013年08月30日 09時32分44秒 | 日記

ここまでとは予想もしない、また、前例のない保守党内部からの反対票。285票対272票という13票の大差で英国議会はシリアへの軍事介入を否決した。これにより、米仏と共にシリアへの軍事介入をもくろんだキャメロンのシリア政策は大きく挫折した。イラク戦争開戦時の諜報機関からの情報が誤りだったことへの反省が、今回、大量の造反議員を生み出したもの。いくらガスと思われる化学兵器の犠牲になった子供たちの悲惨な映像を突きつけられても、それが政権側によるものだという確信を議員たちが持てなかったのだろう。特に、各勢力が介入して縺れきっているシリアの内戦のことである。イラクのように相手があれほど明確でも、偽情報によって武力介入してしまった英国としては、いみじくもキャメロンが認めたように、国民感情も議会の評決に近いものだったのかもしれない。結局、残虐なアサド政権⇒化学兵器使用⇒懲罰と言った単純な図式に乗っかったキャメロンの状況判断の誤りが明らかになったものだ。キャメロンの誤謬は、また、サウジほか中東諸国が人道的理由ではなく宗教的(すなわち自身の保身のため)理由でシリア反政府軍を支援していることもあり、それが彼の目を曇らせた。

それでも米仏は軍事介入をするのだろう。ここまで来たら、両国には歯止めを効かせるものはない。強大な権限を与える大統領制を採用している2か国はやはり軍産複合体の手の上で踊ることになる。一方今回、英国では、議会が政府の提案した武力行使を阻止した初めてのケースとなった。これはイラク開戦時に端を発した、諜報機関からの情報に議会がいかに不信感を持っているかの象徴である。いくら地上軍の介入がないとしても、また、米国大統領がブッシュでなくオバマだとしても。

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