僕がいきつけの
「居酒屋(店名)」には、
いろいろな人が集まっています。
Nちゃんもそんな一人。
僕が店に顔を出すと、カウンターに必ず座っている常連の客です。
小柄で坊主頭、いつも上下揃いのジャージ姿、
そんなくつろいだ格好以外は見たことがありません。
今日もぶらりと顔を出すと、
カウンターでぽつんと一人、
何やら文庫本を読みふけりながら、ちびちび![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/drink_sake.gif)
燗酒を呑んでいました。
Nちゃんは、えらいんです、1日
お銚子2本までと決めていて、
それ以上は呑みません。
マスターもえらいんです。それ以上は出しません。
僕が店に入っていったのをきっかけに、Nちゃんは話でもしようと思ったのか、
読みかけの本を閉じて、
「う~ん、面白い。マスター、この本、どうしたの?」
どうやらその本はNちゃんの本ではなく、
誰かが忘れていったのか、店に置いてあった本のようです。
と、よく見ると、なんとそれは僕の本!
僕が、酔っ払って(?)忘れていった冨澤一誠の音楽評論の文庫本でした。
う~ん、つながってる!
とんだシンクロニシティ(偶然の一致)です。
僕がその不思議さを話すと、
Nちゃんはすかず「ユングのシンクロニシティですね」と返しました。
彼は、なかなかのインテリなんです。
「ハリーさんは吉田拓郎をどう思います?」
Nちゃんは読んでいたその文庫本に書いてある
70年代を中心にしたフォーク+ニューミュージックの話を切り出しました。
そこから話が広がり、しばし
音楽談義。
彼の好きなアーティストは、中島みゆきと矢野顕子と戸川純だそうで、
僕はそう聞いただけで「う~ん、わかる、わかる。Nちゃんがどんな人かわかる」
それにボブ・マーリーなどレゲエが好きだとも言いました。
これも「わかる、わかる」
Nちゃんは、家の近所のOA部品を作る会社派遣社員をしていて、
最近なにかと話題になる派遣社員の実情についても
しばしば貴重な体験談を話してくれます。
どこの会社も、
いまはいつでも雇えていつでも解雇できるというメリットから
正社員ではなく、派遣社員を雇うところが多いそうです。。
でも、待遇面では金額的なことを含めて、
決して十分な保障をしてもらえるわけではなく、
多くの派遣社員の仲間は夜は居酒屋などでバイトをして食いつないでいるとか。
そのあたりの内情やら待遇などの違いなどについては、
会社勤めの経験がない極楽トンボの僕には、
聞かなければまったくわからないことばかりです。
「Nちゃんってどこの出身?」
「僕は東京です」
「9人姉弟の一番下。上は全部女でした」
「へえ~っ、お父さん、お母さん、頑張ったね」
「ええ。でも母は僕は産んだとたんに亡くなったんです」
「あ、そう・・・・」
「父親ももういません。姉たちはみんな嫁いじゃいましたから、
僕は天涯孤独みたいなもんで・・・
ま、ここのマスターが親代わりみたいなもんです」
聞けば、Nちゃんはこの店の2階に住んでいるんだそうです。
マスターの自宅は横浜で、そこから車で通ってくるため、
Nちゃんは店の2階に寝泊りして、夜の留守番役をしているともいえます。
やがてNちゃんが「お先に。おやすみなさい」と言って消えた後、
マスターがぽつりと言いました。
「あいつも可哀想な奴でね。親を亡くして、生活も荒れてたし、
仕事も定まらなくて・・・で、2階に住まわせてやったんです」
僕は、そう語るマスターのやさしさが胸に沁みました。
この広い東京、この世間の片隅には、
TVドラマに出てくるようなカッコいい人生ばかりではなく、
こんなNちゃんのようなちょっといびつだけど味のある人生も
ごくごく当たり前のように転がっているといえます。
そして、それが僕には新鮮な感動でした。
願わくば、こういう平凡を旨とする市井の人々が、
生活に追われて消えることなく、
束の間ささやかに酒やおしゃべり楽しみ、
バカ話をして笑い合って暮らしていける世の中であってほしいと思います。
ところが、世の中、ガソリンがまた上がり、牛乳が、サラダ油が、電気代が・・・
このところ何もかも値上げ値上げで、ますます暮らしにくくなるばかり、
これはもう政治が悪いです。何も手当をしない政治家が悪いです。
明日に不安がある派遣社員やらフリーターが増えた・・・
そういう人はしたくても先の生活不安があるから結婚も出来ないし、
子供も持てません・・・
こういう人たちばかりでなく、お年寄りも含め、
いま日本の多くの人たちには未来が見えないんです。
あの秋葉原の事件は、そんな現代社会のほころびから、
人々の現在に対するいらだちと未来に対する不安が
狂気になって飛び散ったともいえます。
そんなことに思いを馳せながら、酩酊した僕は今夜も千鳥足。
どうか明日がいい日でありますように・・・と祈りながら、家路につきました。
☆インターネットより鑑定予約できます!↓↓↓
渋谷の父 ハリー田西 “渋谷占い”
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0053.gif)
いろいろな人が集まっています。
Nちゃんもそんな一人。
僕が店に顔を出すと、カウンターに必ず座っている常連の客です。
小柄で坊主頭、いつも上下揃いのジャージ姿、
そんなくつろいだ格好以外は見たことがありません。
今日もぶらりと顔を出すと、
カウンターでぽつんと一人、
何やら文庫本を読みふけりながら、ちびちび
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/drink_sake.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/drink_ochoko.gif)
Nちゃんは、えらいんです、1日
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/drink_sake.gif)
それ以上は呑みません。
マスターもえらいんです。それ以上は出しません。
僕が店に入っていったのをきっかけに、Nちゃんは話でもしようと思ったのか、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0070.gif)
「う~ん、面白い。マスター、この本、どうしたの?」
どうやらその本はNちゃんの本ではなく、
誰かが忘れていったのか、店に置いてあった本のようです。
と、よく見ると、なんとそれは僕の本!
僕が、酔っ払って(?)忘れていった冨澤一誠の音楽評論の文庫本でした。
う~ん、つながってる!
とんだシンクロニシティ(偶然の一致)です。
僕がその不思議さを話すと、
Nちゃんはすかず「ユングのシンクロニシティですね」と返しました。
彼は、なかなかのインテリなんです。
「ハリーさんは吉田拓郎をどう思います?」
Nちゃんは読んでいたその文庫本に書いてある
70年代を中心にしたフォーク+ニューミュージックの話を切り出しました。
そこから話が広がり、しばし
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0061.gif)
彼の好きなアーティストは、中島みゆきと矢野顕子と戸川純だそうで、
僕はそう聞いただけで「う~ん、わかる、わかる。Nちゃんがどんな人かわかる」
それにボブ・マーリーなどレゲエが好きだとも言いました。
これも「わかる、わかる」
Nちゃんは、家の近所のOA部品を作る会社派遣社員をしていて、
最近なにかと話題になる派遣社員の実情についても
しばしば貴重な体験談を話してくれます。
どこの会社も、
いまはいつでも雇えていつでも解雇できるというメリットから
正社員ではなく、派遣社員を雇うところが多いそうです。。
でも、待遇面では金額的なことを含めて、
決して十分な保障をしてもらえるわけではなく、
多くの派遣社員の仲間は夜は居酒屋などでバイトをして食いつないでいるとか。
そのあたりの内情やら待遇などの違いなどについては、
会社勤めの経験がない極楽トンボの僕には、
聞かなければまったくわからないことばかりです。
「Nちゃんってどこの出身?」
「僕は東京です」
「9人姉弟の一番下。上は全部女でした」
「へえ~っ、お父さん、お母さん、頑張ったね」
「ええ。でも母は僕は産んだとたんに亡くなったんです」
「あ、そう・・・・」
「父親ももういません。姉たちはみんな嫁いじゃいましたから、
僕は天涯孤独みたいなもんで・・・
ま、ここのマスターが親代わりみたいなもんです」
聞けば、Nちゃんはこの店の2階に住んでいるんだそうです。
マスターの自宅は横浜で、そこから車で通ってくるため、
Nちゃんは店の2階に寝泊りして、夜の留守番役をしているともいえます。
やがてNちゃんが「お先に。おやすみなさい」と言って消えた後、
マスターがぽつりと言いました。
「あいつも可哀想な奴でね。親を亡くして、生活も荒れてたし、
仕事も定まらなくて・・・で、2階に住まわせてやったんです」
僕は、そう語るマスターのやさしさが胸に沁みました。
この広い東京、この世間の片隅には、
TVドラマに出てくるようなカッコいい人生ばかりではなく、
こんなNちゃんのようなちょっといびつだけど味のある人生も
ごくごく当たり前のように転がっているといえます。
そして、それが僕には新鮮な感動でした。
願わくば、こういう平凡を旨とする市井の人々が、
生活に追われて消えることなく、
束の間ささやかに酒やおしゃべり楽しみ、
バカ話をして笑い合って暮らしていける世の中であってほしいと思います。
ところが、世の中、ガソリンがまた上がり、牛乳が、サラダ油が、電気代が・・・
このところ何もかも値上げ値上げで、ますます暮らしにくくなるばかり、
これはもう政治が悪いです。何も手当をしない政治家が悪いです。
明日に不安がある派遣社員やらフリーターが増えた・・・
そういう人はしたくても先の生活不安があるから結婚も出来ないし、
子供も持てません・・・
こういう人たちばかりでなく、お年寄りも含め、
いま日本の多くの人たちには未来が見えないんです。
あの秋葉原の事件は、そんな現代社会のほころびから、
人々の現在に対するいらだちと未来に対する不安が
狂気になって飛び散ったともいえます。
そんなことに思いを馳せながら、酩酊した僕は今夜も千鳥足。
どうか明日がいい日でありますように・・・と祈りながら、家路につきました。
☆インターネットより鑑定予約できます!↓↓↓
渋谷の父 ハリー田西 “渋谷占い”