支え合う義父母の姿は無言の教え
仕事場に、義父が緊急入院したと連絡が入って、大急ぎで病院に駆けつけました。
病院のベッドで、六十五になる父がぐったりと。傍には七十になる義母と長男の家族の姿がありました。「胆石の傷み」と聞き、まずはひと安心です。
付き添いの交代をして、義父の話し相手になりました。二男の嫁のわたしは、日ごろ義父と話す機会などほとんどありませんから、すこし緊張気味です。
「まだまだ倒れられへんのや。おばあちゃん残して死なれへん。あいつわしがおらなんだら、じきにぼけよるがな」としみじみ語る義父。
養子に入られて今日まで、義母を立てて生きてきた義父の生きざまをかいま見た思いです。
老年になって、ますます前向きに支え合う義父母の姿は、無言の教えだと思いました。
(讀賣・1989年8月21日掲載)
仕事場に、義父が緊急入院したと連絡が入って、大急ぎで病院に駆けつけました。
病院のベッドで、六十五になる父がぐったりと。傍には七十になる義母と長男の家族の姿がありました。「胆石の傷み」と聞き、まずはひと安心です。
付き添いの交代をして、義父の話し相手になりました。二男の嫁のわたしは、日ごろ義父と話す機会などほとんどありませんから、すこし緊張気味です。
「まだまだ倒れられへんのや。おばあちゃん残して死なれへん。あいつわしがおらなんだら、じきにぼけよるがな」としみじみ語る義父。
養子に入られて今日まで、義母を立てて生きてきた義父の生きざまをかいま見た思いです。
老年になって、ますます前向きに支え合う義父母の姿は、無言の教えだと思いました。
(讀賣・1989年8月21日掲載)