摂津国老朗おじさんのスローな日々

関西の四季を楽しむ老朗おじさんがゆるゆると瞑想しながら、植物観察と徘徊のスローな日々を楽しんでいます。

絵を愛でるのも眼の楽しみ

2024年05月14日 | 関西の四季

山笑う五月。新緑が目に映え、花咲き誇り、一年で一番いい季節と思うな。弱り気味のわが足腰も出歩きたがっている。
ゴールデンウィークの谷間に大阪駅前からバスで中之島美術館に行った。市バス1番乗り場から53系統舟津橋行に乗り田蓑橋で降りてすぐ、目の前にあった。市バスの料金は210円。足を運ぶ気になったのは、ここでやっていた特別展の副題に心惹かれたせいもある。「連作で読み解くモネ~光と色を追い求めた生涯~」


見出し画像はゴールデンウィークのお土産の北斎の絵はがき。

チケット売り場前の背丈よりもでっかい「ジヴェルニーの積みわら」1884年作 の写真
そしてモネと言えば「睡蓮の池」1907年作 モネの水面の表現が俺は好きだなあ一瞬の光と影をうつしとってお見事!
 

 1918年頃から白内障に苦しんだモネ。若い頃の画にはキラキラと輝いていた水面が「睡蓮の池」1918年頃作 では曖昧模糊とした靄(もや)のような光に変化し「藤の習作」1918年作 では輪郭や縁取りが更に粗くなってきた。色調も黄色っぽく大きく変化し、白内障の影響と思われるねんな。偉大なモネとなぞらえるもおかしいけれど、後期高齢者にして白内障患者・手術間近のこの俺に見える世界と、下の二枚の画は感じがよく似ていてビックリしたよ。
 白内障のせいもあって曖昧模糊にしてますます大胆な作風になった「睡蓮」を画壇では抽象絵画の源流と評価しているらしい。絵としての迫力は確かにある。いずれにしても目の病と闘いながら最後まで絵筆をとり続けたモネの気力と執念に脱帽
 

 次いで同じくゴールデンウィークの谷間の日に行ったのは中之島香雪美術館。地下鉄の料金は大阪西梅田から190円。


 最初はわかりにくくて迷いかけたので行き方をここにメモする。大阪メトロ肥後橋駅下車、北改札口を出て直進。地下道を案内通りに歩いて行けば比較的簡単。出口4番から階段を降りて下のフロアを直進。突き当りを左奥へ行けば中之島フェスティバルタワーウエストというビルのエレベーターがある。そこは地下3階なので地上4階まで昇るとそこに美術館があった。
 印象派の画家たちに大きな影響力を持った日本の浮世絵。一度本物にお眼にかかりたいと思っていた。今回のお勧めは東京都江戸東京博物館の富岳三十六景と東海道五十三次。わざわざ東京まで出かけなくても絵画の方から大阪まで来てくれる、特別展という催しは有難いもんやなあ。

  
 富岳三十六景の富士はどれも構図が素晴らしいなかでも「神奈川沖浪裏」1832年頃作 は大波の砕け散る波頭の表現、翻弄される木舟と遠方に鎮座する富士と、構成・色の組み合わせどれをとっても素晴らしいこうした1級の作品が版画によって量産され広く世間に流通した江戸時代は、文化の面でいえばなかなかに優れたものを持っていたのではないかな。
 後世に名を遺した偉大な絵師北斎といえども粗末なあばら家に住み、せんべい布団を被って創作に励んでいたが,プロシャンブル―など画材には惜しみなく良いものを求めた。そのため貧乏したのかも知れん。東海道五十三次で名をあげた広重も元々の生活は苦しかったようで、越後屋さんや鴻池などの大店の旦那のような恵まれた生活はしていなかったかも知れんな。浮世絵のスポンサーは王侯貴族ではなくて、名もない庶民だったもんな。
 

 広重の北斎との際立った違いは、「日本橋朝の景」1835年頃作 に見られるようにその時代を生きる人びとの描写が必ずと言ってよいほど入っていることと違うかな。そこには同時代を生きる人びとへの共感があるような気がする。それこそが浮世絵のええとこやと誰かが発言していたな。
 ただ浮世絵は小さな画面にたくさんの情報がびっしり描き込まれているので、顔を近づけてもはっきり見えないところがつらいね。白内障の手術が終わるまでは浮世絵の良さを十分に味わえないかも知れない。というわけで、今は手術による視力の回復を楽しみにしているところなんや。


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