摂津国老朗おじさんのスローな日々

関西の四季を楽しむ老朗おじさんがゆるゆると瞑想しながら、植物観察と徘徊のスローな日々を楽しんでいます。

引き揚げ船の港舞鶴へ

2024年09月12日 | 関西の四季

 今週も青春18切符の旅は続く。何しろ9月10日限りでこの切符は使えなくなるからだ。
 9月9日は朝早く大阪を立って、丹波路快速に乗り福知山線経由(丹波篠山廻り)で舞鶴へ。1日あたり2,410円で、何回でも途中下車可なのが嬉しい青春18切符。何故って、こんな場合通例、普通列車は目的地まで直通では言ってくれないもんな。この日も丹波路快速の終点福知山駅で、次の舞鶴線東舞鶴行が出るまでは約50分あったので、ウォーキング目的の途中下車。明智光秀の居城だったことで知られる福知山城を見に行った。行きは徒歩約25分。帰りはタイミングよく駅までのバスに乗った。途中下車を上手くやるにはバスの時間をこまめにチェックすることが肝要。


 

旨い具合に、東舞鶴行の電車がやって来た。舞鶴線も小浜線もとうの昔に電化されていたんだね。遠い昔、家族旅行で丹後・若狭を旅したときは東海道・北陸線以外はすべてディーゼルかSLやったけどな。あれから60年以上経っているもんな。


  
 京都・亀岡廻りと比べて尼崎・福知山廻りとどちらが早く舞鶴に付くのか。今のダイヤではどちらとも言えないのが現実。上の路線図を見てもわかるやろ。
 さて、目的地の舞鶴について。見出し写真は舞鶴市役所。俺にとって舞鶴はかつて興安丸や白山丸などの引き揚げ船が入って来た港である。ラジオニュースで聞いた引き揚げ者たちとそれを迎える家族の悲喜こもごもの様子は「尋ね人」で肉親を捜すNHK放送と共に今も耳に残っている。敗戦とそれに続く離散の悲劇は未だ生々しい記憶中にある。そんな「岸壁の母」でイメージされる舞鶴へ行ってみたいと思ったのだ。
 当初はまず東舞鶴駅前でバスに乗り、引き揚げ記念館へ行く予定だった。ところが、世俗的な凡人の俺は急に日本海の岩ガキとサザエが食べたくなって、学習を放棄して予定変更。先に西舞鶴で下車し、舞鶴港とれとれセンターへ行くことにした。

 有難いことに列車とバスが上手く繋がっていて、舞鶴港とれとれセンターまでは順調に行けた。バス代200円。ここで鯖寿司、サザエ、岩ガキと海の幸を堪能した。
次に舞鶴に来たときもここには必ず来よう。
 



お腹いっぱいになった後、バスとJRを使って東舞鶴地区へ移動。赤レンガパーク付近を散歩した。海上自衛隊のでっかい護衛艦に威圧される思いがして、港めぐり遊覧船にも乗らず、赤レンガ博物館にも行かずに早々に引き上げて来た。今にして思えば、時間をうまくやりくりすれば遊覧船に乗れないこともなかったのだ。次回は港めぐりにも挑戦しよう。


赤レンガパークは旧海軍舞鶴鎮守府が開かれたころに海軍が建設したレンガ建造物の名残りである。引き揚げ船で知られた舞鶴は海軍のおかげで潤った街でもあったのだ。
 
 炎天下のウオーキングにも疲れたので、今回は引き揚げ記念館へ行くのは取り止め。次回この地へ来たときのお楽しみに取っておくことにした。特急まいづる10号(14:28発京都行)に乗ってさっさと帰ろうかとも思ったが、それではコスパの優れた旅をするという今回のもう一つの趣旨にも反するので、1時間後の普通列車(15:22分発綾部行)まで待合室で時間待ちした。テレビもパソコンもないので図書館代わりの待合室は、手持ちの本「司馬遼太郎の時代」(中公新書)に集中できて良かった。
今回の青春18切符の旅はJR利用分で3,080円分お得だった。昨年運転免許を返上した俺の旅は、もっぱら地球環境にやさしい電車とバスに頼っているのである。

 


カンカン照りの中、青春18切符で梅花藻を見に行った

2024年09月11日 | 関西の四季

 9月7日の土曜日。青春18切符で少し遠出をした。この夏の暑さと人出の多さにげんなりした家人の放出した切符をゲット。超お得に利用させてもらった。諸事・雑用・野暮用の合間を縫って、米原市は醒ヶ井の梅花藻(バイカモ)を観に行った。そこは別天地だった。もはや青春でもないけれど、思いがけずに良い気分転換になった。見出し写真は冷たい湧き水の中を泳ぐハリヨ。


 JR醒ヶ井駅を降りて5分もしないうちに14℃の湧き水の流れる清流とぶつかる。地蔵川沿いにそぞろ歩きを楽しみ、せせらぎの音を聞きながら水中にゆらゆらと咲く梅花藻を眺め、命の洗濯とはこのことだと独りごちた。
醒ヶ井駅の列車時刻表。せわしない大阪と違って電車は基本30分に一本。
駅を降りてすぐに”醒ヶ井駅周辺図”と”醒ヶ井駅湧くわくMAP‟があった。ガイドのいない爺さんの一人旅。これを頼りにウォーキングすることに決定。イザッ進め

  

先ず眼に飛び込んできたのはウォーリー設計による旧醒ヶ井郵便局。今は醒ヶ井宿資料館。このしっかりした重厚さと軽快なモダンさのマッチした建物はウォーリーのもので好ましい。道はやがて地蔵川と出会う。

 

醒ヶ井はかつて宿場町として栄え、おカネも人材も豊富にある街だった。街全体のたたずまいから、ゆとりと落ち着き・清潔感と品の良さが感じ取られた。静けさと言い雰囲気と言い散歩道としては最高だったね。

 
 
梅花藻(バイカモ)はウイキペディアによるとキンポウゲ科キンポウゲ属の多年草の水草。水面に咲く花が梅に似ているから梅花藻(バイカモ)と呼ばれるようになったそうだ。西日本では清流にしか育たないとも。宮城県白石市では掘割に咲くそうだが、そこもきれいな流れのところにあり、東北でも絶滅が危惧されていることには変わりはなさそうである。



梅花藻のある所に生きるハリヨ。これも絶滅危惧種。そもそも梅花藻はかつて良き時代、金魚と一緒に金魚鉢に入れられて鑑賞されていたんだよね。高齢者の皆さん。思い出した?
 

ハリヨ生息地保護区であることを訴える標識。地域ぐるみで希少生物の保護に力を入れている。地蔵川のハリヨについては遺伝子交雑問題なども踏まえて、今も真剣な取り組みが行われている。大阪人としてはこうしたことに力を入れる自治体である滋賀県が羨ましくもある。文化というかこころざしというものがあるよな。わが街は銭儲け一辺倒になっていないだろうか?気にかかるところである。


地蔵川の源泉、加茂神社脇の石垣の下から水が湧き出ている。この居醒(いさめ)の清水(しみず)は平成の水百選にも選ばれている。しっかり管理された貴重な水源と希少生物保護も含めた環境保全活動もあり、選ばれて当然と思うのだ。
 

百日紅の赤と梅花藻の白が絶妙なコントラストで水面に映える地蔵川。



とんでもない暑さが大阪では延々と続いて、すっかり参っていた。とはいえ冷房の効いた室内でじっと息をひそめているばかりでは、足腰だけでなく、あたまも、眼も耳も、口も何もかも、錆びついてやがては動かなくなる。そんな危機感に駆られて街を脱出した。満員で蒸し暑い米原行の新快速電車を出て、乗り換えた米原駅もまたたいへんな人混みで、行きも帰りも決して楽ではなかったが、醒ヶ井のせせらぎにすっかり癒されて元気になった。行って良かった
今回の青春18切符の旅は平常運賃だと3,960円のところおよそ320円のお得だった。