前回に引き続き食べ物の話である。
ある友達から、食べ物のレシピを書いて欲しいとリクエストがあった。
ボクはかなり大ざっぱ、かつこだわるところにはこだわる、という人間なのでレシピは無いに等しい。
分量は全て目分量で適当。適当とはいいからかげんではなく適度な量である。
こんな作り方をしているので毎回微妙に味が違う。プロにはなれない。
材料も家にある物の傷み具合などで入れる量も変わる。
毎回アドリブであり、気分で味が変わる。
手が滑って調味料を入れすぎた時など、全体の量を増やすなどリカバリー技術も必要だ。
こんなレシピは参考にはならないかもしれないが、ポイントごとのヒントはあるだろう。
今回は得意料理のミートソース。
まず大きめの鍋に油を入れる。
油はオリーブオイル(家ではエクストラバージン)かオイルにガーリックや唐辛子、ローズマリーなどのハーブを漬け込んだ油を使う。
刻みニンニクをいれ炒める。オイルにニンニクの香りがしっかりついたところで挽き肉投入。
挽き肉は安い挽き肉で充分。
ここで塩、コショウ、ナツメグ、月桂樹の葉っぱを入れる。コショウとナツメグは挽き肉のにおい消しになる。肉料理には欠かせないスパイスだ。
そこに玉ねぎ、パセリ、ニンジン、サンドライドトマト、シルバービートの茎をみじん切りにして一緒に炒める。
ワインが残っていればこの時に入れる。無くても可。
そしてトマト缶を入れ、隠し味にウスターソースを少々。いたみそうな生のトマトがあればこれも一緒に入れて煮込む。
弱火でトロトロと煮込み、ブイヨンで味を調える。ボクが使うのはオーガニックの野菜ブイヨンだ。
その他気分でトマトペーストを入れたり、味をみてトマトソースを入れたりもする。
一発でバシッと決まる時もあれば、なかなか決まらない時もある。料理もライブなのだ。
火を止めたら鍋ごと保温できる容器で数時間味を染み込ませる。
これでできあがり。
挽き肉とトマトだけのボロネーズというソースもあるが、ボクは野菜が入った方が好きだ。
昔、長野のスキー場の麓にあるペンションで、毎晩料理を作ったことがある。
そこではイタリア料理と中華料理を日替わりで出していた。
オーナーは豪快な人で、彼のレシピはこうである。
「イタリア料理なんてものはなあ、自分がワインを飲みながら作ってな、ワインに合う味だったらいいんだよ」
そこでは塩尻産のワインの一升瓶が調理台の真ん中にドンと置かれ、ボクとオーナーはワインを飲みながら
料理を作っては
「お、お、こんな美味しいのが出来ちゃった。オーナー、これ赤ワインに合うから食べてみてよ」
「お、旨いなあ。お主、良い出来だぞ。オレはこんなのだぜ。こっちも食ってみろ」
「ん~、美味い。オーナー、こりゃ美味いよ。」
「だろ?オレって天才かな」
「天才、天才」
「だろ?そうじゃないかなと思ってたんだよ。ガハハハ、もっと言って」
「天才、天才」
「ガハハハ。まあ、お主、ワインでも飲め」
「はい、いただきます。乾杯」
そんなことをやりながらお客さんに出す料理と家族スタッフの飯を作っていた。
おかげでデザートへたどり着く頃には二人ともいつもへべれけだった。
ちなみに中華のレシピはワインがそのまま紹興酒になる。いたってシンプルなレシピである。
ボクはそうやって料理を覚えたのでイタリア料理と中華料理は、このレシピで一通りできる。
スパゲティはバリラ。
嬉しいことに最近ではスーパーマーケットでバリラのパスタが買える。
バリラは青い箱に入ったパスタでイタリア産だ。このパスタは美味い。
イタリアスキー界のスター、アルベルト トンバのスポンサーでもある。トンバも食ってるかどうか知らないが。
パスタはこれ、とボクは決めている。腐るものではないので安売りの時にまとめて買い置きしてある。いざという時の非常食にもなる。
イタリア産のパスタをニュージーランドで食うということは地産地消のモットーに反するが、これぐらいは許してもらおう。
パスタを美味しく茹でるコツはたっぷりの湯で茹でる。
そこに塩をかなり多めに入れる。
量は湯を舐めてみて、はっきりと塩の味が分かるくらい。
ブレナムの天然塩をこれに使うのはさすがにもったいないので、これには安い塩を使う。
火加減は鍋の中で麺が軽く踊っているぐらい。
パッケージに書いてある茹で時間は8分。
だが8分では芯があり固い。
後は茹で具合を見ながらあげなさい、ということなのだろう。さすがイタリア。さすがバリラである。
アルデンテにするには9分半ぐらいが目安だ。
アルデンテとは、スパゲティの中心に髪の毛1本分だけ芯が残る、固ゆでのことを言う。
ニュージーランドではその言葉自体存在しない。ここの人は腰の無いうどんのようなスパゲティが好きなのだ。
レストランでアルデンテのスパゲッティを出したら、茹だっていないというクレームが来るだろう。
なのでボクはレストランでスパゲッティを頼まない。
自分で作ったほうが美味いからだ。ウソだと思うなら家に来なさい。
たかがスパゲッティのゆで方だが、シンプルなだけに奥は深い。
鍋でソースと絡める時には、固めに茹でて鍋の中の熱で最後まで火を通す。
一流のシェフになるとウェイターがテーブルまで持っていく時間も計算にいれて料理を作るそうだ。
大ざっぱでいい加減なイタリア人が、こと食べ物のことになると細かくなる。
こだわりがあるのだ。こういうこだわりは大好きだ。
スパゲティを茹でている間に付け合せのシルバービートのバター炒めを作る。
ミートソースで茎の部分を使い、緑の葉っぱの部分は取ってある。
足りない分は庭からさらに取ってきて洗ってザクザクと切る。
シルバービートのような野菜は外側から葉っぱを取っていくと内側からどんどん出てくる。
春になって暖かくなり野菜の育ちも活発になってきて消費がおいつかないぐらいだ。
とてもうれしい。
スパゲッティが茹で上がったらザルにこぼし、オリーブオイルを絡める。
皿に盛りミートソースをかけ横にシルバービートを添える。
そこにパルメザンチーズ、パルミジャーノ・レッジャーノである。
このチーズはジェラルディンのチーズ屋さんで作っているもので、サダオが家に来る時はいつもお土産に買ってきてくれる。
固まりのやつを使う分だけその場で粉にする。
本場イタリアのパルミジャーノ・レッジャーノは食べたことが無いが、ニュージーランド産のこのチーズも香りよく旨い。
細かく削られたチーズがパスタの熱で溶け。、ソースと混ざり合う。
ソースは牛肉の旨み、野菜の甘み、トマトの酸味、スパイスの微妙な辛味のオーケストラだ。
スパゲティの茹で上がりもアルデンテで上々。
ここで赤ワインでもあればいうことなしだが、あいにく空けかけはない。まあがまんしよう。
深雪も喜んでバクバク食べる。
子供が自分の作った物を喜んで食べることは、この世の至福でもある。
全ての物事に感謝して、今日も美味しくいただきます。
ある友達から、食べ物のレシピを書いて欲しいとリクエストがあった。
ボクはかなり大ざっぱ、かつこだわるところにはこだわる、という人間なのでレシピは無いに等しい。
分量は全て目分量で適当。適当とはいいからかげんではなく適度な量である。
こんな作り方をしているので毎回微妙に味が違う。プロにはなれない。
材料も家にある物の傷み具合などで入れる量も変わる。
毎回アドリブであり、気分で味が変わる。
手が滑って調味料を入れすぎた時など、全体の量を増やすなどリカバリー技術も必要だ。
こんなレシピは参考にはならないかもしれないが、ポイントごとのヒントはあるだろう。
今回は得意料理のミートソース。
まず大きめの鍋に油を入れる。
油はオリーブオイル(家ではエクストラバージン)かオイルにガーリックや唐辛子、ローズマリーなどのハーブを漬け込んだ油を使う。
刻みニンニクをいれ炒める。オイルにニンニクの香りがしっかりついたところで挽き肉投入。
挽き肉は安い挽き肉で充分。
ここで塩、コショウ、ナツメグ、月桂樹の葉っぱを入れる。コショウとナツメグは挽き肉のにおい消しになる。肉料理には欠かせないスパイスだ。
そこに玉ねぎ、パセリ、ニンジン、サンドライドトマト、シルバービートの茎をみじん切りにして一緒に炒める。
ワインが残っていればこの時に入れる。無くても可。
そしてトマト缶を入れ、隠し味にウスターソースを少々。いたみそうな生のトマトがあればこれも一緒に入れて煮込む。
弱火でトロトロと煮込み、ブイヨンで味を調える。ボクが使うのはオーガニックの野菜ブイヨンだ。
その他気分でトマトペーストを入れたり、味をみてトマトソースを入れたりもする。
一発でバシッと決まる時もあれば、なかなか決まらない時もある。料理もライブなのだ。
火を止めたら鍋ごと保温できる容器で数時間味を染み込ませる。
これでできあがり。
挽き肉とトマトだけのボロネーズというソースもあるが、ボクは野菜が入った方が好きだ。
昔、長野のスキー場の麓にあるペンションで、毎晩料理を作ったことがある。
そこではイタリア料理と中華料理を日替わりで出していた。
オーナーは豪快な人で、彼のレシピはこうである。
「イタリア料理なんてものはなあ、自分がワインを飲みながら作ってな、ワインに合う味だったらいいんだよ」
そこでは塩尻産のワインの一升瓶が調理台の真ん中にドンと置かれ、ボクとオーナーはワインを飲みながら
料理を作っては
「お、お、こんな美味しいのが出来ちゃった。オーナー、これ赤ワインに合うから食べてみてよ」
「お、旨いなあ。お主、良い出来だぞ。オレはこんなのだぜ。こっちも食ってみろ」
「ん~、美味い。オーナー、こりゃ美味いよ。」
「だろ?オレって天才かな」
「天才、天才」
「だろ?そうじゃないかなと思ってたんだよ。ガハハハ、もっと言って」
「天才、天才」
「ガハハハ。まあ、お主、ワインでも飲め」
「はい、いただきます。乾杯」
そんなことをやりながらお客さんに出す料理と家族スタッフの飯を作っていた。
おかげでデザートへたどり着く頃には二人ともいつもへべれけだった。
ちなみに中華のレシピはワインがそのまま紹興酒になる。いたってシンプルなレシピである。
ボクはそうやって料理を覚えたのでイタリア料理と中華料理は、このレシピで一通りできる。
スパゲティはバリラ。
嬉しいことに最近ではスーパーマーケットでバリラのパスタが買える。
バリラは青い箱に入ったパスタでイタリア産だ。このパスタは美味い。
イタリアスキー界のスター、アルベルト トンバのスポンサーでもある。トンバも食ってるかどうか知らないが。
パスタはこれ、とボクは決めている。腐るものではないので安売りの時にまとめて買い置きしてある。いざという時の非常食にもなる。
イタリア産のパスタをニュージーランドで食うということは地産地消のモットーに反するが、これぐらいは許してもらおう。
パスタを美味しく茹でるコツはたっぷりの湯で茹でる。
そこに塩をかなり多めに入れる。
量は湯を舐めてみて、はっきりと塩の味が分かるくらい。
ブレナムの天然塩をこれに使うのはさすがにもったいないので、これには安い塩を使う。
火加減は鍋の中で麺が軽く踊っているぐらい。
パッケージに書いてある茹で時間は8分。
だが8分では芯があり固い。
後は茹で具合を見ながらあげなさい、ということなのだろう。さすがイタリア。さすがバリラである。
アルデンテにするには9分半ぐらいが目安だ。
アルデンテとは、スパゲティの中心に髪の毛1本分だけ芯が残る、固ゆでのことを言う。
ニュージーランドではその言葉自体存在しない。ここの人は腰の無いうどんのようなスパゲティが好きなのだ。
レストランでアルデンテのスパゲッティを出したら、茹だっていないというクレームが来るだろう。
なのでボクはレストランでスパゲッティを頼まない。
自分で作ったほうが美味いからだ。ウソだと思うなら家に来なさい。
たかがスパゲッティのゆで方だが、シンプルなだけに奥は深い。
鍋でソースと絡める時には、固めに茹でて鍋の中の熱で最後まで火を通す。
一流のシェフになるとウェイターがテーブルまで持っていく時間も計算にいれて料理を作るそうだ。
大ざっぱでいい加減なイタリア人が、こと食べ物のことになると細かくなる。
こだわりがあるのだ。こういうこだわりは大好きだ。
スパゲティを茹でている間に付け合せのシルバービートのバター炒めを作る。
ミートソースで茎の部分を使い、緑の葉っぱの部分は取ってある。
足りない分は庭からさらに取ってきて洗ってザクザクと切る。
シルバービートのような野菜は外側から葉っぱを取っていくと内側からどんどん出てくる。
春になって暖かくなり野菜の育ちも活発になってきて消費がおいつかないぐらいだ。
とてもうれしい。
スパゲッティが茹で上がったらザルにこぼし、オリーブオイルを絡める。
皿に盛りミートソースをかけ横にシルバービートを添える。
そこにパルメザンチーズ、パルミジャーノ・レッジャーノである。
このチーズはジェラルディンのチーズ屋さんで作っているもので、サダオが家に来る時はいつもお土産に買ってきてくれる。
固まりのやつを使う分だけその場で粉にする。
本場イタリアのパルミジャーノ・レッジャーノは食べたことが無いが、ニュージーランド産のこのチーズも香りよく旨い。
細かく削られたチーズがパスタの熱で溶け。、ソースと混ざり合う。
ソースは牛肉の旨み、野菜の甘み、トマトの酸味、スパイスの微妙な辛味のオーケストラだ。
スパゲティの茹で上がりもアルデンテで上々。
ここで赤ワインでもあればいうことなしだが、あいにく空けかけはない。まあがまんしよう。
深雪も喜んでバクバク食べる。
子供が自分の作った物を喜んで食べることは、この世の至福でもある。
全ての物事に感謝して、今日も美味しくいただきます。