あおしろみどりくろ

楽園ニュージーランドで見た空の青、雪の白、森の緑、闇の黒の話である。

散歩散歩散歩

2020-04-12 | 日記
ロックダウンであろうがなかろうが、毎日の日課は散歩である。
さて散歩に行くか、となると犬は全身で喜びを表現する。
ついでに言えば飯時も同じだ。とても分かりやすくて良い。
僕が靴下を履き始めると「あれ、ひょっとして、お散歩?」ソワソワし始める。
まだこの時点ではそのまま農作業に入ることもあるので、期待感だけだ。
靴を履き、ウンコ用のゴミ袋をカサカサし始めると、期待度アップ。
僕がリーシュを手に取る時には、喜びは極限に達し「早く行こう、早く行こう」とせかす。
かくして今日もまた散歩に出かけるわけだ。



家から公園の入り口までは5分ぐらいだろう。
実際には我が家の向かいの家の向こう側が公園で距離にすれば50mもないのだが、その向こうに小川が流れており、川を渡る橋まで5分ぐらいなのだ。
ロックダウン中なので車はほとんど通らない。
車の交通量が減ったので、街が静かでベルバードの鳴き声なども響く。
天気が良いと散歩に出る人も増える。
ロックダウン以前に比べて、挨拶をする割合が増えたような気がする。
たまに通る車を運転する人も、目が合うと会釈をする。
昔のニュージーランドってのは、こんな感じだったよなあ。



お気に入りの公園はとにかくだだっ広い。
外周で4キロぐらいあるだろう。
遊水地も兼ねており、池があり黒鳥、雁、鴨、などの水鳥も多い。
公園の中には牧場もあり、羊が普通にいる。
牛や羊の競りを行う場所もあるし、乗馬の施設もある。
ニュージーランドに居ても都会に住んでいれば、日々の暮らしの中で羊など目にすることはない。
普通に羊がいて、遠くに山が見えるこの景色が好きだ。



公園の一角には、キャンピングカーが大量に停めてある。
ロックダウンが始まってすぐに運び入れたものだ。
国境は封鎖しているが、海外にいるニュージーランド人が帰国した時に、このキャンパーバンで2週間ほど隔離して暮らす。
これはとてもいいアイデアだと思う。
ホテルの部屋で2週間暮らすのと、だだっ広い公園でキャンプ生活をしながら過ごすのではだいぶ違うことだろう。
今の所、入っているのは一人なのか一組なのか。
自家用車とゴミ箱が、キャンパーバンの脇においてあった。



公園の外周、住宅地と反対側は高速道路に接している。
道路に沿って、自転車と歩行者用の道がある。
この高速道路が完成したのも8年ぐらい前だったか。
完成間近の道路をココと一緒に散歩をして、これからはここを大型のトラックなんかがビュンビュン走るんだろうなあ、などと思った。
開通してからはそこに車が通るのが当たり前の景色となったが、ロックダウンで車が少なくなり開通前の時を思い出した。



今、ニュージーランドでは非常事態中なのであるが、のんびりと羊を見ながら散歩をしているとそんな事も忘れてしまう。
国という社会において非常事態宣言が出され、そこに住む人としてそれにしたがっているが、少なくとも今の僕の生活は非常事態ではない。
僕は過去に2回、この街で非常事態を体験した。
1回目は9年前の地震の時だ。
電気も水道も止り、さすがにあの時は非常事態という感じだった。
2回目は去年の3月にテロがあった時だ。
その時も街はロックダウンされた。
僕は何も知らずに呑気に公園を散歩していて、通りがかりの人に「テロがあってロックダウンだから早く家に帰った方がいいよ」と教えられた。
女房は勤め先で何時間も閉じ込められ、町中でパトカーが走り回りヘリコプターがバタバタと飛び、とてもじゃないが外に出歩くような雰囲気ではなく、非常事態というものを肌で感じた。
それらの時に比べれば、水道も電気も通っているし散歩に出ることは許されている。
外食は一切できないし買い物は不便になったが、スーパーに行けば食べ物は豊富にあり、飢え死にする心配はない。
毎日規則正しい生活をして、庭仕事をして自作のビールを飲み、庭でバドミントンをしたりジグソーパズルをしたり、生活は平和そのものだ。



では一体、非常事態とは何だろうか、と考えてしまう。
個人の暮らしでは平和でも、国で考えると非常事態なのか?
それか世界中で非常事態だから非常事態なのか?
それよりなにより気に入らないのは、マスコミが使う「コロナとの闘い」といった言葉だ。
まるっきりコロナを悪者扱いして、そこに立ち向かう人類という、ハリウッド映画にありそうな設定が気に入らん。
仲良くしろとは言わないが、あまりに人間本位に物事を動かしているのが見え隠れしている。
ちなみに中国では豚の伝染病が流行って、何百万頭かの豚が処分されたそうだ。
豚から見れば一番怖いのは人間だ。
そんなこともボーっと散歩をしていると考えてしまうのだ。
もっともそれ以上のこともたくさん考えているが、それを書くと炎上しそうだな。



散歩の話だった。
この時期の散歩の楽しみは収穫。
収穫の秋である。
公園には栗の木があり、散歩の途中に栗拾い。
また雨の後にはマッシュルームも出てくる。
このマッシュルームが味が濃くて旨いのである。
収穫のタイミングを逃すとあっという間に笠が開き虫だらけになってしまう。
こういうのも毎日散歩をしていると分かるものだ。
公園への道では大きなカリンの木があり、そこでカリンをいつももらってくる。
レモンも近所の友達の家で散歩がてらもらってくる。
そんな散歩にいつも付き合ってくれるココはやはり幸せそうだ。
ロックダウン万歳と心の中で思っていることだろう。




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