あおしろみどりくろ

楽園ニュージーランドで見た空の青、雪の白、森の緑、闇の黒の話である。

親方物語 2

2014-09-15 | ガイドの現場
7月20日
撮影初日。
朝も暗いうちにホテルを出た。
美術班の車はスバルレガシー。
新しいタイプでセミオートマとでも言うのか、オートマだがマニュアルモードもありギアもスピードに合わせ6段変速できる。それもギアチェンジの場所がF1のようにハンドルの裏で指でカチカチと変速するのだ。
今時の車はすごいなあ。
下り道でエンジンブレーキを効かせたい時などギアがちょうど良いところで収まり、山道の上り下りに大活躍した。
現場は雪の山道、クロムウェルから30分ぐらいか。
普段ならもっと雪が深く車で登るのも大変な場所だが今年はここでも雪不足。チェーンも付けずに登れた。
さて撮影現場に着いて何をやるか分からずウロウロしていると、そのうちに色々と頼まれるようになる。
水を10リットル持ってこいだの、アレを運べコレを運べだの、エキストラを何人運んでくれだの。
まあ、ボケっとしているより何かをやっている方がいいか。
そんなことをやっているうちにボスの鈴村さんに呼ばれた。
「聖さん、もういいですから車を出してください。」
撮影はまだ続いている。
「へ?もういいんですかい?」
「ええ、もうここでは用は無いので次の現場へ行きましょう」
僕は車を出して、撮影現場を後にした。



さて、撮影における美術とはどういうものか、僕は全く知らなかった。
僕同様、知らない人のために書くと、どうやら美術とは大道具や小道具を管理する人で現場を作る仕事と言ってもよいだろう。
美術班が先ず現場に入りセットを用意して、映像や音声や照明などが準備を済ませ、俳優がやって来て映像を撮るという流れなのだ。
言われて見れば当たり前と言えば当たり前だが、知らない人には未知の世界である。
だから美術班は撮影が始まると小道具など必要な人を残して、次の現場、そしてまた次の現場へと先回りしてセットを作っていく。
撮るシーンの時代背景や場所に合わせた物を用意して、そこに一時的にせよ『場』を作る。
だから昔のシーンでは古臭い道具などを集め、現代の物は外すか隠す。
南米のシーンではスペイン語の看板を用意して、英語の看板を隠した。
そういう事を繰り返しながら撮影隊より先に動いていき、同時に撮影の現場にも立ち会ってと、とても忙しい部署だ。



ホテルへ一度戻り、準備をして次の現場へ。
次の現場は国道脇のフルーツショップ、ホテルから車で3分だ。
そこではすでにキウィのスタッフが現場入りしていて作業をしていた。
ここでは僕が通訳となってボスの指示を与え、手伝ってセットを作る。
先ほどの現場ではニュージーランド人の通訳がいたので僕は単なるドライバーだったが、ここからはこうやって美術監督とニュージーランドのチームと一緒に働くのか。
やっとこさ、流れが見え始めた。
キウィのチームと一緒に働き始めてしばらくしてヤツの存在に気がついた。
どこかで見たことがあるぞ、この大男、誰だっけなあ、そうだサイモンだ。ヒゲを伸ばしていたから分からなかった。
僕は彼と二十年来のつきあいで昔はよく一緒にビールを飲んだ古いスキーの友達である。
近況を聞くと、首をケガしてしばらく入院して、女房と離婚して娘を連れてかれ財産をほとんど持っていかれたと言う。
「鈴村さん、こいつ僕の古い友達で久しぶりに会ったんだけど、重い話を聞いちゃいましたよ」
「どうした?女房に逃げられたってか?」
「よく分かりますね。それで娘と資産の8割を持っていかれたんだって。元の嫁さんがイギリス人だから8割持ってかれたって、ニュージーランド人だったら五分五分なんですって。ホントかなあ? おまけに首を大怪我して何ヶ月も入院していたって・・・」
「そんな話は重くならずに笑ってあげな。サイモンに言ってやれ、俺なんか借金だらけだよ、しかも億単位でな、ワハハハ」
サイモンにそれを伝えると笑ってバカ陽気に手を上げた。こいつのいいところは暗くならない所だ。
同時に僕はボスの事も少し好きになった。
「そんでサイモン、別れた女房はイギリスへ帰ったのか?」
「いや、クィーンズタウンにまだいる。2歳になる娘も女房が連れて出てな、でも法律で子供はここクィーンズタウンからまだ離れられないんだ。あいつ(女房)はどこへでも行けるが、子供を連れて行くことはできない。ざまあみろだぜ、グフフ」
こいつも笑う時はグフフと笑う。
「そりゃ・・・よかったな・・・」
「それにな、雪が降ると娘が『ダディ、スキーへ連れてって』って言うんだぞ。グフフフ」
あーあ、ここでもスキーバカの親子がいる。



クロムウェルのフルーツショップでは50年代のアメリカの市場の設定である。
年代物のレジスターや計り、古臭いポスターなどを貼り、現代のライトや装飾品を隠す。
設定が市場なのでキャベツやシルバービートや人参などの野菜を並べる。
ちなみにこういった野菜も全部買うのだそうな。そりゃ金もかかるわけだな。
昼食を挟み、作業をしているうちに冬山のシーンを取り終えた撮影本隊がやってきて、作りたての市場の中でカメラなどのセットを始めた。
準備ができた頃、俳優達を乗せた車が着く。
何をやればいいのか分からず、ウロウロしていると又ボスに呼ばれた。
「聖さん。ここはもういいですから次に行きましょう」
そして次の現場へ向かった。



次の現場はプールバーン。
ボスは何回も行っているが僕は初めてだが、あらかじめ地図をもらっているので大丈夫だろう。
クロムウェルから車で一時間ほど、セントラルオタゴのど真ん中、荒野である。
この辺りは10年以上前になるか、レイルトレイルで3日間自転車を走らせたこともあるし、時々仕事でも近くを通る。
延々と荒野のような牧場が続く殺風景な景色、これぞセントラルオタゴ。
「しっかし、まあ、よくこんな場所見つけるね」と思うような場所がロケ地である。
スパイツの宣伝にも使えそうな景色の中、車を走らせる。
そんな荒野の真っ只中に家がポツリ。その前に500坪ぐらいのきれいな畝の畑がある。
今回の為に作ったセットだ。
そこでは大工が何人も忙しそうに働いていた。
現場に着いたが、ボスの表情が渋い。
どうやら予想より大幅に遅れているようだ。
家の壁の下あたりなんて、やっつけ仕事だから隙間ができている。
ボスが自らスコップを持ち地面を掘り出した。近くのギャップを削り家の壁の隙間に土を入れる。
親方自らやってるのに自分が見ているわけにはいくまい。僕もスコップで掘り出した。
僕は土方の経験もありこういう作業は苦にならない。どちらかというと好きだ。でなかったら庭で野菜なんか作れない。
せっせと土を掘る間に太陽は西の空に沈み綺麗な夕焼けになった。
だが親方の心境はそれどころではないだろう。素人の僕が見ても「明朝の撮影、大丈夫ですか?」と聞きたくなってしまうぐらいだ。
しかも、この後ゲートを作るという仕事も控えている。
大工とゲートの位置を再確認、そこを今晩中にやってもらって、明日は朝7時から始めるという言葉を信じて僕達は現場を後にした。
帰りの車の中でボスに聞いた。
「明日の出発は何時にしますか?」
明日はホテルを朝チェックアウト、車で移動して撮影、その後3時間ほど走りオアマルへ移動というツアーの中で一番あれやこれや忙しい日だ。
その忙しい1日が僕の誕生日でもある。
「そうだな、彼らは7時くらいから始めると言うから7時半ぐらいに着けばいいでしょう。逆算して6時半出発でどうでしょう?」 
「分かりました」
この時に気持ちに引っ掛かるものがあったのだが、自分の気のせいだと思うようにしてそれ以上は黙っていた。
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親方物語 1

2014-09-14 | ガイドの現場
それは1本の電話から始まった。
ガイドの友達を通じて、ドライバー依頼の話である。
南島でテレビドラマの撮影をするのでドライバーが必要だと言う。
いつもはこの時期には山にいるのだが、今年は雪の降り始めが遅く7月に入っても未だスキー場がオープンできない。
こういうタイミングで事が起こる時は全てが上手く行く。
そして直感が行けと言っている。
僕は一も二もなく承諾をした。
仕事の日が近づくに連れ、だんだんと詳細が出る。
どうやら僕の仕事は美術の監督と一緒にロケ地を先回りするらしい。
なんか、よく分からないが、まあなんとかなるだろう。
こんな仕事で馬の合わない人に当たったらどうしよう、などという考えも頭をかすめたが、それよりも素晴らしい出会いがあるのではという気持ちでワクワクして仕事の日を待った。
そしてそのワクワク感は最後の最後まで僕を裏切ることはなかった。


7月19日
ツアー初日は移動日。
僕はクライストチャーチからクィーンズタウンまで飛行機で飛んだ。
今日の仕事はクロムウェルへ移動後、クィーンズタウンへ車で戻り撮影隊を迎えに行くだけという、わりと簡単な仕事だ。
ちなみに僕は撮影の仕事はこれで3回目である。
1回目は映画クライマーズハイ。
一期一会 ある映画の話
2回目はNHKのグレートサミットという山のドキュメンタリー。
グレートサミット 1
グレートサミット 2
そして今回はフジテレビのテレビドラマのロケ。
主演男優のOさんの出たドラマを一回二回見たはずだが全く記憶に無く、空港で皆を出迎えてもどの人がそうか分からなかった。
もちろん女優のTさんも知らない。
他にも俳優は何人かいたが、見事に誰も知らない。
まあ、ニュージーランドに住んでいてなおかつテレビも見なけりゃ知らないのは当たり前だが、本人達にわざわざ「僕はあなたの事を全く知りませんが、よろしくお願いします」などと言うわけでなく当たり障りのない挨拶をして過ごした。
それぐらいの社会性は身に付けている。
その日の夕方に美術の人と面会をした。
鈴村さんという50代後半の人当たりの良さそうなおじさんだ。
とりあえずこの人の指示に従っていればよいようだ。
その晩は顔合わせを兼ねた食事会。
今回は総勢60人ぐらいか、大きなグループだ。
一応一通り紹介があったが、とても一気には覚えきれない。
僕は人の顔と名前を覚えるのが絶望的に下手くそで、教えてもらってもすぐに忘れてしまう。
ボスの名前のスズムラだって間違えてミズムラと言ってしまう。
主演のOさんとTさんのことを、自信を持って「この人がそうです」と言えるまで2日かかった。
チーム全体のメンバーと役割がなんとなく把握できたのは撮影ツアー最終日だ。


続く
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あなたは○○だから・・・

2014-09-13 | 日記
僕は言いたいことをずけずけと言う。
時にはそれで傷つく人もいる。
人が傷ついた時に言う言葉は大体同じだ。
「あなたは○○だからそんな事が言えるのだ」
とかく、あなたは、あなたは、あなたは。
「あなたはニュージーランドに住んでいるからそんな事が言えるのだ」
「あなたは北海道に住んでいるからそんな事が言えるだ」
「あなたは若いからそんなことが言えるのだ」
この三つの本質は同じである。

そして出て来る言葉は
「あなたも私の立場だったら分かるよ」
結局行き着くところはそこ。
自己正当化。
分からないさ、だって僕はあなたではない。
僕は僕の立ち位置があり、僕なりの経験があり、意見を言っている。
自分という物をとことん見つめて、やるべき事をやっているつもりだ。
大体そうやって自己正当化をする人は自分自身を見つめていない。
あなたは・・・と人を見ているうちは自分を見なくてすむ。
自分自身と向き合うことから避けている人も多い。

以前、映画の仕事をして堤真一という俳優と仲良くなった。
ガイドの仕事をしていて彼の名前を借りる時もある。
芸能人の名前を出すと話の質が落ちるのであまり使わないが、エンターテイメント性として場を盛り上げるために使わせてもらうこともある。
「それはあなたがあの人を知らないからそうやって仲良くなれたのよ」
とあるお客さんは言った。
僕はそれ以上の反論はしなかったが、そのお客さんの心が見えてしまった。
それは、自分が有名人に対したら態度を変えてしまうであろうという思い。
そこにあるのは人間の本質というものでなく、社会的地位などで人を判断する心。
もっときびしく言えばテレビなどのマスコミに踊らされている自分。
それを正当化するためにそういう発言をする。
そこまで突き詰めて言ったら傷つくだろうから言わない。
せっかくの旅行でイヤな思いをしたくないだろうし。
同時にそのお客さんとの会話も深いところまでは行かずに、終始浅いところだった。

こうやって本音で書くと賛同してくれる人もいるが、そうでない人からは「偉そう」「上から目線」「何様だと思っているの」という心の声が聞こえる。
実際は上から目線ではなく、深いポイントで理解をしていると浅いポイントの人にはついて来れないのだが、「選民意識」などと言われてしまう。
上から目線の上下というのはその人の心が作っているものであって、実際はワンネス、全てが一つなのだが、これも分かる人には分かるし分からない人には分からない。
また殻を破るのが怖くて分からないふりをしている人もいる。
『分からない』のではなく『分かろうとしない』のだ。
まあそういった気づきのタイミングも個人ごとに違うので、必要以上には言わないようにしている。
それこそ「大きなお世話」で片付けられてしまう。

僕はあなたが○○だから・・・と言わない。
その代わりにこう言う。
あなたの立場であなたは常に正しく、あなたの身の周りに起こっている出来事は全てあなたの心が作り上げている。
あなたはあなたの心の向くところに進んでいけばよい。
他人を欺くことはできても、自分自身の心を偽る事は出来ない。


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9月11日 Porters

2014-09-12 | 最新雪情報
一つの仕事が終わった。
お客さんの家族とはこれで3年越しのつきあいだ。

キウィスピリッツ

この家族はポーターズの大ファンで滞在中ほとんどポーターズなのだが、去年は全員でライフォルド、そして今年は娘だけブロークンリバーとオリンパスへ連れて行った。
1週間を超える滞在期間中、毎日僕が送迎をしたわけだが、天気は毎日快晴。
親父は初めてスノーボードに挑戦、娘はクラブフィールドデビュー、そして彼らのスキーホリデーが終わった。
スタッフともなじみなので別れを惜しみ来年の再会を誓い、山を後にした。
ポーターズも平日はガラガラ。
スタッフの数も減らし、こうなると何時閉めるのか、という話になる。
仕事を終えて家に帰ってきたら、桜が綺麗に咲いていた。
巷は春満開、いつまでもスキーという気分じゃなくなるのも無理はないな、と思った。


オリンパスへの道は四つの丘の真ん中を抜けていく。昨日はあそこからこちらを見上げた。


そして滑った斜面も登った稜線もこちらから丸見え。西から雲が押し寄せているのが見える。嵐が来るかな。


反対側をみればクライストチャーチのポートヒルもくっきり。今日は街も良く晴れているようだ。


日当たりの良い斜面には雪は全く無く、日陰の斜面にはそこそこ残っている。


来年はここにチェアリフトがかかる。


ブラフフェイスは今日もクローズ。今年はここを滑ることなくお別れかもしれない。


手前の車が並んでいる辺り、ベースビルディングの屋根ぐらいの高さまで土を盛りリフト乗り場が出来る。夏の一大プロジェクトだな。


家族がスタッフと別れを惜しむ。「来年会おう」という挨拶で山を下った。


家に帰ったら桜が綺麗に咲いていた。


桜の写真は娘が撮った。思い起こせば僕が親父のカメラを借りて自分で写真を撮ったのも娘の年頃だ。

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9月10日 Mt.Olympus

2014-09-11 | 最新雪情報
オリンパスも春である。
駐車場に車は5台。
ゲレンデにも人影はちらほら。
来週末でここもクローズ。
クローズに向けてサマーロードと呼ばれるロッジまでの道の除雪が始まった。
短いシーズンだったがここには2回来れた。
馴染みのスタッフに別れを告げて山を後にした。
さらばオリンパス、また来年会おう。


オリンパスまでの道は牧場を抜けていく。途中でレイクコーリッジが見える場所がある。電柱がじゃまだな。


昼前にロッジに着くと、もう一杯やっている人が居た。


平日のオリンパス。とことん人が少ない。


気持ちは分かる。


今日のランチ


メシが出来たぞ~!


ランチの後はちょっとハイクアップしてバックリッジへ。


左からドイツ人のマイケル、ワーホリで来てリマーカブルでリフト係をしていた。
真ん中がお客さんのメラニー。ニュージーランド人で来年から大学へ行く。
右はアメリカ人のスキーインストラクターのキース。


さて、どこを滑ろうかね。


メラニーは初めてのバックカントリー経験。去年はライフォルドで初めてのロープトーを経験し、今年はブロークンリバーそしてオリンパス。何事も経験、経験。


マイケルはこの日の朝、ボトムハットで立ち往生していたのを助けてあげた。「あなたがいなかったらここに滑りに来れなかったよ」とえらく感謝された。


リマーカブルでもこの調子でガンガン滑っていたんだろうな。若さが溢れるってのはこういうことだ。


穏やかな一日


このバーもまもなくクローズ。クローズの後にどんちゃん騒ぎをするんだろうな。


夏道の除雪が始まった。


駐車場までの帰りは夏道に沿ってゆっくりと下る。
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9月8日 Porters

2014-09-09 | 最新雪情報
春である。
街では花が咲き、牧場では子羊が飛び跳ねる春。
山もすっかり春の形相で、春スキー真っ盛りという感じだ。
つい先日シーズンが始まったばかりなんだけどなあ・・・。
平日のポーターズは人気も少なく、ついでに雪も少ない。
ブラフフェイスには雪があるが固くてオープンできないまま。
日当たりの良い斜面には雪はほとんどない。
Tバーの所も雪が薄くなっているのでシャベルで雪出し。
この時季のスキーパトロールの主な仕事だ。
9月に入っても雪はほとんど降らず、こうなるといつまで営業できるかという事に話題は集中する。
実際にチーズマンはすでにクローズしてしまったし、ライフォルドもクローズした。
9月に大雪が降るという僕の勘も今ではすっかり自信が無く、単なる希望的予測だったのかなと思ってしまう毎日なのだ。
まあ何が来ようと不平不満を言わず、あるがままに今ある状況を受け入れる。
それだけである。


ブラフフェイスは今日もクローズ。今年はまだ滑っていない。


山頂からのこの景色が好きだ。


遠目にはアオラキ・マウントクックも見える。


すごいスキーを見つけた。30年、いや40年ぐらい前のスキーか。コレを現役で使っている人がいるのか・・・。


スキー博物館にあってもおかしくない代物だ。


リフトを手伝っていたパトロールのブラットに声をかけた。「ブラット、来いよ。すごい代物があるぞ」
「おおお、すげえ」とお客さんそっちのけで写真を撮る。


山頂から下る道もこんな感じ。


そこだけかろうじて雪が残っている。


地元小学校のスキートリップがあったので、初心者エリアはそこそこの賑わい。


来年はこのスキー場にもチェアリフトがかかる予定。


この駐車場のレイアウトも変わるんだろうな。


新しい物が出来ると古いものは忘れ去られてしまう。この建物がカフェだった頃が懐かしい。


スキーの持ち主がいたので写真を撮らせてもらい話を聞いた。
「このスキーの持ち主はこの人の義理の兄で山のガイドをやっていたが25年前に雪崩で死んだ。
このスキーはモンブランをはじめ、ヨーロッパの主だった山はほとんど行っている。
自分にとって思い出のスキー板だ。新しい道具があるのは知っている。
だが大切なのは道具ではない。山を楽しむ心だ。」
その言葉が心にしみた。
こういう出会いがあるから楽しい。
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9月6日 Broken River

2014-09-07 | 最新雪情報
生きのいい若いヤツが入ってきた。
名前はユータ、21歳。
ニセコで育ち、妙高のアウトドアの学校へ行き、白馬の友人ガイドのカズヤ経由で僕の所へ来た。
人生初海外、初ニュージー、夜にクライストチャーチへ着き我が家で一泊した後にクライストチャーチの街も見ず、そのままブロークンリバーへ。
ブロークンリバーでは感動の嵐である。
まるで二十年前の自分を見ているようだ。
日帰りでBRから戻り我が家でもう一泊、そして再びBRへ。
その日はホワイトスターが一杯だったのでメンバーのマリリンに面倒を見てもらい、翌日から1週間ホワイトスターに泊まりこみでスキー修行。
この1週間は彼の人生の中でも忘れようの無い1週間になるだろう。



パーマーロッジ。僕が一番好きな山小屋だ。


ユータ、雪を出す。


ここでもバーベキューを焼くのは男の仕事だ。


負けずに僕も焼く。今日のメニューは韓国風焼肉と春の味覚アスパラガス。


ユータ働く。


パーマーロッジにアフロ軍団がいた。


アフロ軍団。いろいろな人がいて楽しい。


ユータ、皿を洗う。


アランズベイスンに雪山実習の雪洞があった。


アランズベイスンからの帰る道は雪が薄くなっていた。なので・・・


ユータ、雪をつける。


ナーバスノブ山頂。


ユータ、マリリンと歩く。


そして、ユータ滑る。


今週はこういう人がたくさんいた。これもありだな。
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9月3日 Porters

2014-09-05 | 最新雪情報
この日の仕事はクレーギーバーンで何日か滑っていたお客さんを朝ピックアップしてポーターズへ連れて行き、1日滑った後でクライストチャーチまで送り届ける。
しかもポーターズではバックカントリーのクリスタルバレーを滑るおまけつきだ。
お客さんのボブはオーストラリア、タスマニア在住。
風力発電関連の仕事をしており自然の物事にも詳しく話が合った。
上から8歳、6歳、4歳、2歳の子供がいて、来年は家族でブロークンリバーに来るなんていう話にもなった。
今シーズン初のポーターズだが、日当たりの良い斜面に雪は無く日陰の斜面はかろうじて雪が残る。
他のスキー場と比べても雪は少なめ。今年は厳しいシーズンだ。


クレーギーバーンの駐車場。僕のクラブフィールドライフが始まったスキー場だが今年はここで滑る機会はないかもしれない。


そしてポーターズへ。Tバーは両手が空いているので乗りながら写真も撮れる。


今日は地元の小学校のレースがあった。


山頂からオリンパスを望む。奥に見えているのはマウントロールストンか。


アリソンピークまで20分ぐらいのハイクアップ。その向こうがクリスタルバレーだ。


登ろうとしたら先を行く人達がいた。


アリソンピーク山頂にて、今日のお客さんでパートナーでもあるボブ。嫌味な所がなく心が通ずる相手だ。


クリスタルバレー。上部には雪はある。下部は無い・・・たぶん。狙いは石の隙間を抜けたフォールラインかな。


先客が滑っていったのが見えた。


僕も狙い通りのラインをいただいた。あー、美味しかった。御馳走さまでした。


ボブがその先のラインをめがけ稜線を歩く。


先客二人は登り返す。


ボブが上から滑ってきた。


気持ち良さそうだね。


滑り終わった後は雪のある所を狙って滑れるだけ滑り、後はあのロッジまで歩く。40分ぐらいの歩きか。


車で迎えに来てもらってゲレンデへ戻る。


ポーターズの名物バーン、ビッグママもご覧の有様。今年はこのバーンを滑る事もないだろうな。
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8月31日  Broken River

2014-09-01 | 最新雪情報
8月も終わりの週末、やっとブロークンリバーに行く機会ができた。
ここのメンバーになって長くなるが、この時季に初めてこの山に上がるというのも今までにないことだ。
僕達は皆、今までの常識が通用しない世界に生きている。
それは地球規模の話であり、この先何が起こるか分からないという事を忘れてはならない。
だからと言って悲観するのではなく、今ある状況を見つめそれを受け入れながら、感謝をしつつ楽しむことを忘れない。
山のてっぺんで手を合わせ拝み、そんな事を考えた。

出だしの遅いシーズンだったが、雪の量はやや少なめ。そして質は良い。
固いがアイスバーンではなく、よく締まりエッジが効く雪だ。
日当たりの良い場所は春の雪で、刻一刻と雪質が変わる。
毎日毎日晴れが続き、気になるのは次の降雪はいつ?という話だ。
高気圧がどかんと南島の中央に居座り動かない。
これは夏によくある天気のパターンで、冬はだいたい1週間のサイクルで高気圧と低気圧が入れ替わる。
今までの天気のパターンが通用しない状況であり、先の天候が全く読めない。
天候が読めないのは植物も同じで、いつもなら10月くらいに咲くソラマメの花が今年はすでに咲いてしまった。
晴れてくれるのは写真も良く撮れてうれしいのだが、新雪を待ち焦がれる心もある。
今日の一句。

春が来て なお雪求める スキーバカ 



何かの拍子で、スキー初めてという人が来てしまうこともある。当然ながらロープトーに乗れない。スタッフの手が空いていればパーマーロッジまでの送迎サービスもある。だけど帰りは歩いてね。


今年のニュースは携帯電話が通じるようになった事。すごく便利になった。だがそれが良いのか悪いのか分からない。


メイントーも健在。


毎年何かしら進展があるのだが、今年はパーマーロッジ前のデッキが広くなった。


パラグライダーとスキーを合わせた人達の集まりがあった。ロープトーで山頂に登り空を飛びスキーで着地をする。こういう山の楽しみ方もありだ。


日陰の場所は雪質も良く、みんなが滑るのでコブができた。


とことん平和な場所である。


パーマーロッジでのひとコマ。子供のサングラスを取っちゃった。


いろいろな山の楽しみ方を受け入れる。排他的でないところが良い。


これも今年から、初級者の為にアクセスラグビートーのスピードを遅くするスイッチ。


ハミルトンフェイス。


しっかりとエッジの効く雪なのでこんな所も平気。


パーマーロッジで突発的におままごとが始まった。


自分も昔はこうやって滑っていた事を思い出した。


アランズベイスンから戻る道にも雪は充分にある。


パトロールが売店の売り子にもなる。クラブフィールドは一人何役もこなす。
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