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JR北海道の身勝手な主張を許すな!

2010-03-06 23:48:58 | 鉄道・公共交通/交通政策
不採用者の雇用は困難 JR北海道社長(北海道新聞)

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 国鉄分割・民営化に伴う国労組合員らのJR不採用問題で、中島尚俊JR北海道社長は5日、国土交通省で北海道新聞の取材に対し、JR各社で200人の雇用確保を求めた与党和解案について「裁判で決着している話」と述べ、不採用者の受け入れは困難との見方を示した。

 不採用問題では、2003年12月に「使用者としてJRに不当労働行為の責任はない」との最高裁判決が出ている。

 さらに中島社長は「ぎりぎりの経営をやっており、要員も効率化している」と経営の厳しさを強調。国鉄分割・民営化で道内職員の相当数が民間企業や道外のJRへ移ったことから「多くの人が、鉄道を捨てるか北海道を捨てるかしてきた経緯をお考えいただきたい」と理解を求めた。
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結論から先に言えば、当ブログがこのような自分勝手な主張に「理解を示す」ことは1万年後もあり得ない。中島社長の主張は、全てが完璧に間違っている。

まず裁判で決着云々については、そうなるように国鉄改革法23条という「解雇合法化法」が作られたというだけのことである。裁判所から国鉄法務担当に天下っていた江見弘武氏が、JRに責任が及ばないよう、この法律を作った。「名簿作成(=解雇者選定)は旧国鉄が行い、全員が国鉄清算事業団に移った後、新会社への採用候補者名簿に載っている職員だけが希望に応じて各社に振り分けられる」という枠組みが作られたのである。この時点で、新会社への採用候補者名簿に載っていなかった人は、「雇用対策事業」が終わる1990年3月限り解雇の運命が待っていた。

この法律作成を主導した江見氏は、今、「解雇のA級戦犯」である葛西敬之氏(JR東海会長)に請われてJR東海の役員になっている。ついでに言えば、彼をお手盛り人事で役員に迎えた葛西会長は、被解雇者の生活も地方の人たちの実情も顧みることなく、リニアに湯水のごとく金を投じる一方で、名松線を切り捨てようとしている。これがJRという企業の実態である。

次に「ぎりぎりの経営をやっており、要員も効率化している」について。最近、北海道では事故やトラブルが相次いでいる。2009年1月15日には江差線で下請業者の信号配線ミスにより、赤が表示されるべきところに黄が表示され、あわや追突という事態が起きた。2009年2月16日には特急「スーパーおおぞら12号」からのブレーキ部品脱落、さらに2009年3月21日にも江差線でレール破断が発生している。さらに、2009年12月28日夜、富良野線で普通列車と除雪列車が衝突した事故が記憶に新しいところだ。

中島社長に当ブログは問う。こうした一連の事故・トラブルはご自身が誇らしげに自慢する、その要員合理化が原因ではないのか。人減らし、行き過ぎた外注化、技術伝承の失敗がもたらした事故の検証もせず、ごまかしておきながら、「合理化したのだから被解雇者の受け入れができない」とはどういうことか。寝ぼけているなら北海道の冷たい水で顔を洗い、ついでに辞表を書け。

最後に、「多くの人が、鉄道を捨てるか北海道を捨てるかしてきた経緯をお考えいただきたい」という中島社長の主張について。かつて、これと同じような主張を、私はどこかで聞いたことがある。

『私たちの仲間が7万人から10万人、3本柱や広域異動を含めて努力をしてきた。血を流し、汗を流し、涙を流してきたのである。それらの仲間の苦労からも、このような政治家と国労幹部などとの間で政治決着という名における国鉄回帰の動向を、私は認めるわけにはいかないということである』(亀井静香運輸相(当時)による1047名問題解決のあっせん案が示されたことに関連して、95年6月のJR総連大会で行われた福原福太郎委員長の挨拶)

『今さら体の悪い人、両親に問題のある人は北海道と言い、後は本州3社で採るなどという馬鹿な話は休み休みにしろと言いたい。私は井戸掘りを一生懸命やってきた人と水を飲みたい。…井戸を掘る苦労というものがある。お前は働いたか。実際に我々の仲間は傷ついた。私は傷ついた仲間を大切にする。1047名は1人も採るわけにはいかないのが結論だ』(95年6月、松崎明・JR東労組委員長(当時)の講演)

ヤクザまがいの言葉遣いで、労働組合の委員長が「お前は働いたか」と問い、自分と考え方を異にする元仲間に向かって「1人も来るな」と言う。いまだにこういう連中に支配されているのがJR北海道である。仮にそうでなかったとしても、被解雇者たちもまた23年間のなかで、血を流し、汗を流し、涙を流してきた。107人が死亡する大事故がJRで起こっても安全を追及することもなく、JRでぬくぬくとしてきたJR総連の連中なんかよりよほど多くの血と涙を流してきたのだ。

もし彼らが、「自分たちの流してきた血と涙は正しく、他人の流した血と涙は正しくない」という理由で被解雇者の復帰に反対するなら、彼らは労働組合の看板など今すぐ下ろして解散すべきだ。こんな連中の身勝手な振る舞いを、公共交通の職場においてこれ以上許し続けることは、私にはできない。

JR東日本、北海道には、こうした魑魅魍魎が跋扈し続けている。指導部が被解雇者を地元JRに戻したいと考えるなら、こうした連中との闘いに勝たねばならない。そしてそれは、「責任を取るべき組織は国鉄の業務を引き継いでおらず、国鉄の業務を引き継いだ会社は法的に免責される」という枠組みを作った国鉄改革法23条との闘いでもある。1人でも被解雇者がJRに戻るなら、「解雇合法化法」に大きな風穴を開けることができる。

指導部にとって、ここが最大の頑張りどころである。失敗したら腹を切る覚悟をもって、銃弾の雨の中を倒れても倒れても一糸乱れず進み続ける闘いが必要である。

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