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井手氏らJR西日本歴代3社長、強制起訴へ

2010-03-26 23:08:34 | 鉄道・公共交通/安全問題
<福知山線事故>JR西歴代3社長の起訴議決 神戸第1検審(毎日新聞)

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 兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故(05年4月)で、神戸第1検察審査会は26日、神戸地検が不起訴としたJR西日本歴代社長の井手正敬(74)▽南谷昌二郎(68)▽垣内剛(65)の3氏について、業務上過失致死傷罪で「起訴議決」したと公表した。改正検察審査会法に基づき、神戸地裁が指定する弁護士が検察官役となり、3人を強制的に起訴する。元常務鉄道本部長の山崎正夫前社長(66)は同罪で既に地検が起訴しており、乗客106人が死亡したJR史上最大の惨事は、社長経験者4人が刑事責任を問われる事態となった。

 昨年12月の検察の不起訴を受けた再審査による議決は同日付。3人は社長かつ「総合安全対策委員会」(後に総合安全推進委員会)委員長として、事故防止を統括する立場だったと認定。同委員会で、自動列車停止装置(ATS)が整備されていれば防止できた事故例として96年のJR函館線脱線事故が挙げられていたほか、カーブ変更や高速走行が可能な列車を大量投入したことで現場は特に危険性の高いカーブとなったのに、ATSを整備する注意義務を怠ったため、事故が発生したと指摘した。3人について「現場の危険性を認識していなかったとは到底考えられない」とも述べた。

 再審査では、同地検の担当検事と遺族双方から意見を聞いた。審査員11人中、起訴議決に必要な8人以上が起訴すべきだと判断した。地裁から指定された弁護士は、県警や地検の捜査書類などをもとに起訴状を作成。05年4月30日に106人目の乗客が亡くなったため、公訴時効は今年4月30日となり、同日午前0時までに3人を起訴するとみられる。今回の議決で同検審は「議決時期が公訴時効完成後になることは絶対回避する必要がある」としている。

 地検は昨年7月、事故を唯一、予見できる立場だったのにATSを設置しなかったとして、カーブ付け替え当時に常務鉄道本部長だった山崎被告を在宅起訴。井手元社長ら3人は「安全管理の権限を山崎被告に一任していた」などとして不起訴にした。このため20遺族35人が8月、起訴を求めて神戸第1検審に審査を申し立て。同検審は10月、地検に3人の起訴を求める「起訴相当」を議決したが、地検は12月、3人を改めて不起訴にした。

 検察審査会の審査を巡っては今年1月27日、明石歩道橋事故で神戸第2検審が、当時の県警明石署副署長について起訴議決し、強制的に起訴されることが決まった。【吉川雄策】
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なお、この件に関しては、別サイトに掲載した当ブログの見解を示す。

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尼崎事故を巡るJR西日本歴代3社長への「起訴議決」を歓迎する
~今こそJR史上最大の事故の真相究明を~

 2005年4月25日、JR福知山線塚口~尼崎間において、速度超過を主因として列車が脱線・転覆し、乗客・運転士107名が死亡したいわゆる「尼崎事故」について、本日、神戸第1検察審査会は、JR西日本の井手正敬氏、南谷昌二郎氏、垣内剛氏の歴代3社長に対し再び「起訴相当」の議決をした。この結果、改正検察審査会法の規定に基づき、3社長は自動的に起訴されることになる。当ブログは、神戸第1検察審査会の勇気ある決定を歓迎する。

 起訴は刑事訴訟の入口であり、始まりに過ぎないが、この巨大な成果は、理不尽な死に直面した遺族、事故に人生を狂わされた負傷者たちによる粘り強い闘いによってもたらされたものである。また、この事故に先行して起訴議決制度適用第1号事件となった明石歩道橋事故関係者の10年近い闘いによって作り出された起訴議決の先例が、尼崎事故への起訴議決適用に大きく道を開いたことは明らかであり、当ブログは、明石歩道橋事故関係者に最大級の謝意を表明する。明石歩道橋事故と尼崎事故の両遺族らが連携して闘い、この結果を勝ち取ったことは、今後のモデルケースともなるだろう。

 「社長だった3人が、現場カーブを急角度に変更し、高速走行できる新型車両を大量投入したために特に危険性が高まっていたことを知っていた」「安全対策の基本方針を実行すべき最高責任者として、自動列車停止装置(ATS)を整備するよう職員に指示すべき注意義務があったのに放置した」(議決要旨)と検察審査会は断罪した。これこそが、現在までに明らかにされている3社長の罪状である。

昨年秋、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会委員による尼崎事故調査報告書の漏えい事件が発覚したが、この際、事故の最高責任者である井手氏は、遺族への漏えい問題の説明会にも出席せず逃げ回り続けた。南谷氏は、社長時代、政府が保有していたJR西日本株の売却に力を注ぎ、「株式会社としてきちんとした経営をやった方が利用者や株主のためになるというあるべき姿を示す」(1997年7月14日付「京都新聞」)と述べるなど、利益最優先・安全軽視の「完全民営化」に突き進んでいった。彼らのこうした姿勢こそが事故を引き起こしたのであり、尼崎事故はまさに民営化が生んだ犯罪である。

今回の起訴議決は、有罪立証の見込みが立たなければ起訴しない代わりに、起訴したからには100%有罪を目指すという、硬直した起訴制度のあり方を大きく変えるものとなった。それはまた、検察による公訴権の独占に阻まれ、硬直的で画一的な運用が行われてきた結果、有罪の確証が得られない事件は法廷での真相解明の機会すら得られずに来たこれまでの刑事訴訟のあり方にも大きな変化をもたらした。今後、3社長の裁判は、裁判所が指定する弁護士による論告求刑という前例のない事態を迎えることになるが、私たちは、先行する明石歩道橋事故裁判の関係者とも連携しながら、法廷において事故の真相を究明し、再発防止につなげていかなければならない。

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えん罪の菅谷さんに正式に無罪判決

2010-03-26 22:06:02 | その他社会・時事
足利事件再審 裁判長が菅家さんに謝罪(産経新聞)

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 足利事件の再審判決公判で宇都宮地裁の佐藤正信裁判長は、菅家利和さん(63)への無罪言い渡しの最後に、「菅家さんの真実の声に十分に耳を傾けられず、17年間の長きにわたり自由を奪ったことを再審公判を担当した裁判官として謝罪します。申し訳ありませんでした」と述べ、佐藤裁判長以下裁判官3人が起立し深々と頭を下げた。

 佐藤裁判長は、判決言い渡し後、「事件につきまして自戒の意味を込めて菅家さんに謝罪させていただこうと思います」と述べ、謝罪を始めた。裁判官3人で頭を下げた後、佐藤裁判長が「二度とこのようなことを起こしてはいけないとの思いを強くしました。今後の菅家さんの人生に幸多きことをお祈りします。菅家さんの思いを胸に刻み、再審公判を終わります」と述べ、閉廷を告げた。

 菅家さんは裁判長の言葉に黙って頭を下げた。
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「謝罪あり納得、感無量」=笑顔で会見-菅家さん・足利事件(時事通信)


 「謝罪があり納得した。感無量です」。足利事件再審で無罪判決を受けた菅家利和さん(63)は、栃木県庁内で笑顔で記者会見した。

 菅家さんは「考えていた通りの謝罪があり、納得した。まさか裁判官3人が、ああいう形で謝罪するとは思ってなかった」とひと言ひと言かみしめるように話した。

 一方、事件発生当時に犯人視されたことについて、菅家さんは「腹立たしいというよりほかない」と顔をしかめた。さらに「絶対にわたしと同じような冤罪(えんざい)をつくってほしくない」と語気を強めた。

 今後の生活について尋ねられると、菅家さんは「運転免許が取れたら温泉に行ってみたい」と楽しそうに話した。 
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晴れて「法的に」自由の身となった菅谷さん。しかし、奪われた17年間は永遠に戻ってこない。

謝罪をしたところに裁判長の良識は感じられるが、やはり警察・検察・裁判所の3者が誰ひとりとして誤りに気付かず、無実の人間を「犯罪者」にした事実は消えない。しかも検察は謝罪すらしていない。

関係者は今回の事件を教訓にしてほしいし、えん罪の生まれた背景を解析し、同様のことが再発しないようにしなければならない。

菅谷さんに謝罪もせず、「陥れたいと思う者」に対して恣意的な捜査を繰り返す検察への批判は、改めて機会を設けて書く。

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