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集中し過ぎによるミスを防ぐ]集中力とミス第4回

2014-07-16 | 健康・スポーツ心理学
第4回集中し過ぎによるミスを防ぐ
ーー集中力の特性③配分・能動
●選択のあとは配分、そして持続
 集中力が能動的にコントロールできているときは、見たいものを見て(選択)、重要度に応じて集中力の程度を調整し(配分)、さらに、それを一定時間維持する(持続)ことができます。
 その能動的な集中力の配分にかかわる問題が今回のテーマです。

●集中力の配分ってどんなもの
点検作業のように一点集中もあれば、監視業務などのようにあえて1点集中をせずに満遍なく集中することもあります。
状況に応じて、能動的な集中力はその配分を自在にコントロールできるはずなのですが、ここにもミスへと誘うものが潜んでいます。
その一つが、能動的な集中の脱意識化という問題です。最初は能動的に集中していることは意識できていても、とりわけ1点集中のケースでは、次第に仕事そのものにすべての資源が集中してしまい、集中状態の意識的な自己チェックができなくなってしまうのです。だからこそ仕事の能率も質もあがるのですが。
たとえば、発明発見時のエピソードとして知られているようなフロー(熱中)状態、スポーツでは、ゾーン状態のケース、あるいは、何時間、何日、いや何か月にもわたり、非常にレベルの高い集中力を発揮し続けるケースです。
日常的なケースをあげてみます。ただし、こちらはお笑いともいえるようなケースばかりですが。
・電車で小説を読んでいって、乗り過ごしてしまった
・ゲームをしていて、宿題を忘れた
・友達とだべっていて、約束の時間に電話するのを忘れた
・難しい問題を解いていたら、約束を忘れてしまった
当人は、どんな集中状態なのかについてはほとんど意識がありません。
 いずれもミスのほうを重視すれば好ましいことではありませんが、ミスを補ってあまりある至福状態の体験、そしてそれが生み出すもののほうを考えれば、割にあってはいます。
 しかし、ここでは、ミス防止の話ですので、そうとばかりは言っていられません。周りに迷惑をかけることになるし、場合によっては自分の破滅になるかもしれないからです。

●過度の一点集中によるミスを防ぐ集中対策
①7;3の法則を心がける
 図に示すような「山型法則」がスポーツの領域などでは広く知られています。いわば、「ほどほどが大事」法則です。


図 「ほどほどが大事」法則

 この法則でとりわけ大事なのは、一つには「ほどほど」のところ(ゾーン)で最大のパフォーマンスになること、2つは、右端で集中する/させらるほどパフォーマンスが低下することです。
 集中力神話の一つ「集中せよ。さすれば何事も成し遂げられる」は、集中力が低下しているときには有効な檄ですが、あるレベルを超えるとかえってパフォーマンスの低下をきたします。
 そこで、日常的な集中力管理の心がまえとしてのおすすめが、「7:3の配分法則」です。10の集中力のうちの7を仕事に、あとの3割を集中力の管理や心身の管理用に取っておくのです。
 その管理用の集中力で何をするかというと、
自分自身の今の状態を監視し、制御するのです。
・今かなりいい調子で仕事しているなー(モニター機能)
・すこし集中力がきれてきたら一休みしよう(コントロール機能)
となります。自分を一段上から眺めるのです。これは、メタ認知と呼ばれていますが、これによって、過度の集中力の発揮によるミスを防げることになります。
 なお、メタ認知力を高めるためには、普段からみずからの心を冷静にみつめる習慣をつけておくことです。集中状態のメタ認知だけでなく、たとえば、ヒヤリハット体験をしたら、そのときの自分の心や振る舞いがどうだったかを内省するようにするのです。
②他からの助けを借りる
 集中力の発揮はすぐれて個人的な世界のことです。外からはなかなか見えないところがあります。同じようにパソコンに向かって仕事をしていても、ゆっくりのんびりの人もいるし、しゃかりきの人もいます。そんな中でも、過剰集中状態でいつも仕事をしてしまう人は、周りにそのことを指摘してくれる人がいると助かります。あなたが部下の仕事ぶりを監督する立場なら、こうした観点からの見守りもあってよいと思います。

 

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