心の風景 認知的体験

癌闘病記
認知的体験
わかりやすい表現
ヒューマンエラー、安全
ポジティブマインド
大学教育
老人心理

心を何にたとえる

2007-06-10 | 認知心理学
「心理学ってどんなもの
 岩波ジュニア新書

Q2-* 心をたとえる

●心をコンピュータにたとえて説明する 
 人はいわずもがな、動物も物も機械も社会も含めて包括的に知の問題を研究しようとするのが認知科学である。1937年のコンピュータ開発以来これまで、認知科学では、知をコンピュータに埋め込むための懸命な努力がなされてきた。(注2)
 そこで認知「心理学」がとったアプローチは、心の働きを、コンピュータという氏素性の知れた機械になぞらえて考えてみようというもので、コンピュータ・アナロジー・アプローチと呼ばれた。
 アナロジー(類推)とは、目の前にある問題(ターゲット)を解こうとするときに、それと構造的に同型で馴染みのある領域(ベース領域)に移して考えてみるというものである。コンピュータ・アナロジー・アプローチは、コンピュータという構造が完璧にわかっている機械に、人の知の世界をたとえてみるとどんなことになるかをみようとするものであり、情報処理論的アプローチと呼ばれた(注4)。
 これは、人の心についての数学的あるいは工学的モデルを作る試みと軌を一にしている。いずれも、心という複雑怪奇な世界を、より単純で、かつ、形式的あるいは工学的な操作が可能な世界に移して考えてみようというものである。かなり強力なアプローチであり、多くの発見・発明の契機を提供してきた。
 しかし、同一世界での説明という制約に違反しているため、心の説明の王道にはなりえない点では、脳還元的説明と同じである。さらに、数学も工学も、自律的な世界である。ひとたび、その世界に入り込むと、そこだけで何でもできてしまう。どんどん抽象化の階段を登るようになってしまう。かくして、心のどろどろした現実とのかかわりを失いがちになる。 心理学は、今、アメーバのごとく増殖しています。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿