月刊「祭御宅(祭オタク)」

一番後を行くマツオタ月刊誌

<月刊「祭」2012.9月 第6号> 韓国と日本、信仰に見る相互敬意の歴史

2012-08-31 21:04:22 | コリア、外国

■はじめに■
 韓国と日本、たとえ政治的には対立する中でも、人間同士はお互いに敬意と優しさをもって交流してきた歴史もあったのではないか。そんなことを感じる今夏の韓国旅行でした。というわけで、日本海(東海)を経て向かい合う国同士がお互いに敬意をもっていたのではいかということを、それぞれの事例から見て生きたいと思います。ちなみに、本稿は韓国でお世話になった方への感謝をこめて、韓国語版もアップする予定です。

■両国に見る異国浄土の信仰■
 日韓両国に見られるのは、海の向こうの異国を異界とか、浄土とか、神聖なものとしてみる信仰ではないでしょうか。そこで、日本海(東海)沿岸地域を中心にそれぞれの国の信仰を見ていきます。今回は旅行直後なので韓国側から見ることにし、日本側からの記事は11月号(10月末か11月頭に発行予定)に掲載します。

■韓国■
●海の向こうからやってくる天体を迎える地名●
 釜山付近の地名を見るだけでも、日光、日山、月内、迎日湾、月浦と東から上る月や太陽を崇めていたことが伺えます。

●海東龍寺●
 東の海に面して建つお寺です。20世紀になってからの再建ですが、おおかた夏至の日の日の出が本堂に入り込むしかけとなっていそうです。また、日の出を迎えるための日出岩とよばれるものも存在します。
 
海に面した海東龍宮寺                       日の出をあがめる日出岩
 
●石窟庵●
 さらに慶州の石窟庵、釜山の海東龍寺、2つの宗教施設について見ていきます。
 石窟庵は、上から見ると前方後円の鍵型の形をしていて、後円部がドーム上で石造の如来が座っています。冬至になると前方部の入り口から日の光が入り込む仕掛けだそうです(管理人も方位をみて、自分で気づいたのですが、すでに他の人がみつけていたようです。)。
 石窟庵は倭人の侵入を防ぐために東龍となり、国を守る文武王が眠る文武王陵も向いています。ですが、この文武王陵を訪れたとき、倭人の私を現地の方は暖かく迎えてくださいました。バス代の両替の仕方が分からないとき、自分のバスが間に合わないかもしれないのに、走って両替できるお店まで連れて行ってくださいました。
 石窟庵が日の光を取り込む方向を「日本」と今でも呼んでくれるのは、争いがありながらも常に敬意と優しさをもって隣国と接した歴史があったのではと感じています。


石窟庵の略図                 石窟庵内部イラスト 
 
文武王陵                                海中の文武王陵を奉るためのテント


■謝辞■
 感謝を述べたい方に名前掲載の許可を頂く予定です。

<月刊「祭」2012.10月号の発行について>
 ほぼ一月ごと前月の月末か、その月の初旬に発行している月刊「祭」ですが、10月は祭とか祭とか祭の関係で多忙になります。ですので、10月号も今のうちに間をおかずに発行する予定です。